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たいこ叩きのベートーヴェン 交響曲第8番名盤試聴記
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
★★☆
一楽章、堂々とした始まり、ちょっと引っかかるようなところがありました。
二楽章、落ち着いたテンポで丁寧な演奏です。
三楽章、ホルンとクラリネットの掛け合いは呼吸感があってとても良かった。
四楽章、この曲も終わりへ向けてテンポが次第に速くなって行きます。
アンドレ・クリュイタンス/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
★★☆
一楽章、ゆったりとした運びです。流麗な音楽の流れです。激しい部分もこの演奏に見合った激しさで、暴走はありません。
二楽章、速めのテンポです。あまり歌い込むことはありません。
三楽章、この楽章も速めです。
四楽章、オケも上手いし不満のある演奏ではありませんが、模範演奏を聴いているような・・・・・。心が躍るようなところがありません。
ブルーノ・ワルター/コロンビア交響楽団
★★
一楽章、軽快なテンポです。付点にアクセントがありすぎて、つづく短い音がほとんど聞こえません。ティンパニが楽譜にはないクレッシェンドをしたり表情をつけていますが、押し付けがましいところがありません。
二楽章、
三楽章、三番でも感じたことなのですが、全体に音が短めに演奏されています。特にトランペットが短めに入ってくるので、全体としては、しっとりした演奏をしているのに、トランペットだけが元気いっぱいな感じで違和感があります。
四楽章、ゆったりしたテンポです。一音一音確かめながら進むような堅実さ。最晩年の録音ということもあって、枯れた味わいなのかもしれないが、もう少し生き生きした演奏を求めたい感じがしました。
オイゲン・ヨッフム/ロンドン交響楽団
★★
一楽章、元気な演奏です。ただ、静寂感や緊張感はあまり感じません。
この全集のところどころでアンサンブルの乱れもあります。アインザッツをあわせようとする張りつめた空気感があまりないのです。
二楽章、強い音への反応は良いのですが、弱音の緊張感がないのが残念です。
三楽章、決して悪い演奏ではないのですが、何かが足りないような・・・・・・・。
オケがダレている訳ではないのですが、何となく音楽が流れて行くようで、
四楽章、バランスが高音に寄っているので聴き疲れします。
ヘルマン・シェルヘン/ルガノ放送管弦楽団
★★
一楽章、すごく速いです。かなりせっかちな音楽に感じます。ルバートすることもありますが、すぐに速いテンポになります。この曲はもっと優雅な曲だと思っているのですが、そのイメージとは全く違います。
二楽章、この時代のライヴ録音の限界か?かなり雑に聞こえてしまいます。
三楽章、また、かなり速いです。テンポが速いためにトランペットの演奏が唐突で雑に聞こえます。ホルンは極端なほどの表情付けがありました。
四楽章、この楽章も速いです。オケがこの速いテンポを楽しんでいるかのように生き生きしています。 この演奏でもシェルヘンがオケを掌握しているような印象ではなく、統率が取れているとは言えない演奏でした。
シュミット・イッセルシュテット/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
★★
一楽章、艶やかで美しい響きですがヴァイオリンが強調されているようにも感じます。演奏は極めて自然体で、ウィーンpoにかなり任せているような感じがします。高域が強くてトゥッティの厚みがありません。特にこれと言った表現は無く、中庸の演奏です。
二楽章、ウィーンpoの伝統に根差した演奏と言ってしまえば、それまでなのですが、没個性と感じてしまうのは私だけでしょうか?その分安心して聞くことができます。
三楽章、トリオのホルンはふくよかで美しいです。
四楽章、やはりこれと言った表現は無く淡々と進んで行きます。テンポは昔ながらの遅めのテンポで確実に進みます。
落ち着いたテンポで、別段変わった表現も無く、淡々と過ぎて行きました。高域に少し寄った録音でしたが、美しい響きは魅力的でしたが、ただ演奏しただけと言う感じがしてしまいました。
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エルネスト・アンセルメ/スイス・ロマンド管弦楽団
★
一楽章、ビックリするようなハイ上がり、とてもメタリックな響きの弦です。ほとんど低音を伴っていない感じです。録音の影響か、曲の持っている優しさはあまり感じることが出来ず、かなり荒れて激しい演奏に聞こえます。
二楽章、歌われているのですが、それが痛く響いて来てしまいます。
三楽章、トリオのホルンはふくよかで美しいです。テンポも動いています。
四楽章、聞き進むにつれて録音には慣れて来ましたが、それでもささくれ立ったようなザラザラした響きには抵抗があります。テンポの動きや積極的な表現もありましたが、やはり録音が問題です。
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ユージン・オーマンディ/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
★
一楽章、かなり古い録画でモノクロです。残響成分も少ない録音です。速めのテンポで開始されます。いつもの豊麗なフィラデルフィア・サウンドのイメージからするとかなりギスギスした響きで、表現も取り立てて目立ったものもないので、何を聴いて良いのか分かりません。
二楽章、
三楽章、この楽章は速めのテンポです。
四楽章、何の変哲もないオーソドックスな演奏です。
極めてオーソドックスな演奏でした。録音が新しければ美しさなども伝わったと思いますが・・・・・。
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ジョージ・セル/ニュー・フィルハーモニア管弦楽団
★
一楽章、僅かに遠く、少しザラザラとして雑に響く演奏です。強奏で音が割れます。同じニュー・フィルハーモニアoでもクレンペラーの緩い雰囲気とはかなり違い、キリッと締った雰囲気があります。バネのように弾むリズムなど聴きどころもありますが、歪がひどくて聞くのが辛いです。
二楽章、非常に締った演奏で、内側に凝縮するような集中力を感じます。最後の追い込みも集中力があって力強いものでした。
三楽章、弱音部分は良いのですが、ティンパニが入ると音が歪んでしまうので、音が暴れているように聞こえてしまい、弱音の部分と真逆になってしまいます。トリオのホルンはあまり伸びはありませんが、美しいです。クラリネットに強弱の変化を付けています。
四楽章、弱音の内側に凝縮するような演奏と、録音による強奏の暴れるような音のギャップに戸惑います。
弱音の凝縮するような集中度からすると、録音状態が良ければかなり良い演奏だったのではないかと想像できますが、この録音ではいかんともしがたい。
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