目次
- 1 ラヴェル「ボレロ」名盤試聴記
- 1.1 構成と特徴
- 1.2 作品の背景と意図
- 1.3 アンドレ・クリュイタンス/パリ音楽院管弦楽団
- 1.4 ピエール・ブーレーズ/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
- 1.5 シャルル・ミュンシュ/パリ管弦楽団
- 1.6 ヘルベルト・フォン・カラヤン/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 1966年
- 1.7 大植 英次/大阪フィルハーモニー交響楽団
- 1.8 ヴァレリー・ゲルギエフ/ロンドン交響楽団
- 1.9 リッカルド・ムーティー/フィラデルフィア管弦楽団
- 1.10 ヘルベルト・フォン・カラヤン/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 1985年
- 1.11 ジャン・マルティノン/フランス国立放送管弦楽団
- 1.12 シャルル・デュトワ/モントリオール交響楽団
- 1.13 ロリン・マゼール/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
- 1.14 エルネス・アンセルメ/スイス・ロマンド管弦楽団
- 1.15 ズービン・メータ/ロサンジェルス・フィルハーモニック
- 1.16 スタニスワフ・スクロヴァチェフスキ/読売日本交響楽団
- 1.17 イゴール・マルケビィッチ/スペイン放送交響楽団
- 1.18 セルジウ・チェリビダッケ/ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団 1993年
- 1.19 チョン・ミョンフン/東京フィルハーモニー交響楽団
- 1.20 アルミン・ジョルダン/スイス・ロマンド管弦楽団
- 1.21 ジャンルイジ・ジェルメッティ/シュトゥットガルト放送交響楽団
- 1.22 クラウディオ・アバド/ロンドン交響楽団
- 1.23 ジョルジュ・プレートル/RAI国立交響楽団
- 1.24 ゲオルグ・ショルティ/シカゴ交響楽団
- 1.25 エフゲニー・ムラヴィンスキー/レニングラード・フイルハーモニー交響楽団
- 1.26 クリストフ・エッシェンバッハ/パリ管弦楽団
- 1.27 クラウス・テンシュテット/フィラデルフィア管弦楽団
- 1.28 ジョセップ・ポンズ/スペイン国立管弦楽団
- 1.29 金 聖響/東京フィルハーモニー管弦楽団
- 1.30 リッカルド・シャイー/ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
- 1.31 モートン・グールド/ロンドン交響楽団
- 1.32 小澤征爾/ボストン交響楽団
- 1.33 ヘルベルト・フォン・カラヤン/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 1977年
- 1.34 ダニエル・バレンボイム/ウェスト=イースタン・ディヴァン管弦楽団
- 1.35 ダニエル・バレンボイム/シカゴ交響楽団
- 1.36 ダニエル・バレンボイム/パリ管弦楽団
- 1.37 ロリン・マゼール/フランス国立管弦楽団
- 1.38 レナード・バーンスタイン/フランス国立管弦楽団
- 1.39 エルネスト・アンセルメ/パリ音楽院管弦楽団
- 1.40 西本 智実/ロシア・ボリショイ交響楽団
- 1.41 ジャン=クリストフ・スピノジ/hr交響楽団
- 1.42 ヴィセンテ・アルベローラ/ガリシア交響楽団
- 1.43 ベルナルト・ハイティンク/ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
- 1.44 ダニエレ・ガッティ/フランス国立管弦楽団
- 1.45 グスターボ・ドゥダメル/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
- 1.46 レナード・バーンスタイン/ニューヨーク・フィルハーモニー管弦楽団
- 1.47 ユージン・オーマンディー/フィラデルフィア管弦楽団
- 1.48 ディーマ・スロボデニューク/ガリシア交響楽団
- 1.49 ジャン・フルネ/チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
- 1.50 ジャン・フルネ/NHK交響楽団
- 1.51 レナード・スラットキン/リヨン国立管弦楽団
- 1.52 コンスタンティン・シルヴェストリ/パリ音楽院管弦楽団
- 1.53 ケント・ナガノ/ロシア・ナショナル交響楽団
- 1.54 ネーメ・ヤルヴィ/デトロイト交響楽団
ラヴェル「ボレロ」名盤試聴記
ラヴェルの「ボレロ」は、1928年に作曲された非常にユニークなオーケストラ作品で、彼の代表作の一つとして知られています。この作品は、シンプルなメロディとリズムの反復が特徴で、15分以上の曲全体がほとんど変化のない音楽素材の繰り返しだけで成り立っていますが、徐々に盛り上がっていく迫力ある構成で聴衆を圧倒します。
構成と特徴
「ボレロ」は、以下の特徴が際立っています:
- シンプルなメロディの繰り返し
最初にフルートが提示するシンプルな旋律が、曲の最後まで何度も繰り返されます。メロディはスペイン風の舞曲を思わせるものですが、その旋律自体には変化がなく、リズムも同様に一定です。この単調さが独特の緊張感を生み出します。 - リズムの変わらないスネアドラム
スネアドラムの一定のリズムが曲の冒頭から最後まで絶え間なく刻まれ、曲全体の土台を支えます。このリズムはスペインの舞曲「ボレロ」のリズムを模したものです。ラヴェルはこれを通して徐々に音楽の緊張感を高め、最後のクライマックスに向かわせます。 - 楽器の変化と音量の増加
メロディとリズムは変わらないものの、演奏する楽器が次々と変わり、オーケストラの様々な楽器が順番に旋律を受け継いでいきます。最初は柔らかな音色のフルートから始まり、途中ではオーボエ、クラリネット、サクソフォーン、トランペットなど、色彩豊かな管楽器が加わります。曲が進むにつれ、音量も次第に増し、オーケストラ全体が加わっていくことで、圧倒的なクライマックスに到達します。 - クライマックスの爆発的なフィナーレ
作品は終盤に向けて次第に緊張を高め、最後は壮大なフォルテッシモ(非常に強い音量)で爆発するようなフィナーレを迎えます。ここではオーケストラの全体が一体となり、聴衆を圧倒する迫力を生み出します。
作品の背景と意図
「ボレロ」は、ラヴェルが試験的に「楽器法とリズムだけでどれだけの変化を作り出せるか」に挑んだ作品とされています。当時、友人からバレエ曲を依頼されたラヴェルは、「ある種の音の実験として、変化のないメロディとリズムの反復だけで人を魅了する音楽を作りたい」と考え、この作品を作曲しました。
初演時にはその単調さから一部で批判もありましたが、ラヴェル自身はこの曲を「狂気の音楽」と呼び、意図的に「陶酔的な興奮を伴う音楽」を追求していました。曲が持つ独特のリズムと展開により、次第に聴衆が没入し、圧倒的な高揚感を得る体験ができるのです。
「ボレロ」は単純さと壮大さが融合した異色の名作で、クラシック音楽のみならず、さまざまなジャンルの人々に愛されています。
アンドレ・クリュイタンス/パリ音楽院管弦楽団
★★★★★
割と大きめでスネアの響きがはっきりと聞こえる冒頭。ゆったりとしたテンポで、テヌート気味で太い響きのフルート。ビブラートも含めてとても色気のあるファゴット。匂い立つようなオーボエダモーレ。ホルンが刻むリズムが大きいです。サックスは比較的ストレートな表現です。ピッコロとホルンとチェレスタは柔らかくブレンドされた響きです。トロンボーンもビブラートを効かせて極上のセクシーさです。木管群とヴァイオリンの爽やかなA。トランペットの八分音符が強く演奏されますが、しっかりと地に足が付いています。最後のAはトランペットが突き抜けて来ます。最後は二台のスネアの足並みが乱れる部分もあります。ボレロは優雅なAとセクシーなBの旋律を繰り返しますが、どちらも両立した演奏でした。極端に強弱の振幅がある演奏ではありませんでしたし、フランスのオーケストラらしいいい加減なアンサンブルもありますが、ソロのセクシーさでは群を抜いている演奏だと思います。
ピエール・ブーレーズ/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
★★★★★
リム付近を叩くコツコツと響くスネア。明るい響きのフルート。ドイツのクラリネットの響き。ファゴットもEbクラも歌いますがまありセクシーではありません。テヌト気味のオーボエダーモーレ。装飾音も付けて歌うテナーサックスとソプラノサックス。どのソロも洗練されていて上手いです。歯切れよく小気味よいスネア。トロンボーンは嬉しくなるほどセクシーです。2台目のスネアが入るのは分かりませんでした。個人的には、これくらい引き締まったスネアが理想的だと思います。コーダに入って自然なクレッシェンド。シンバルやドラが入る直前でさらにクレッシェンド。ソロはソロである程度自由に表現させて、アンサンブルは整然と整った美しい演奏でした。
シャルル・ミュンシュ/パリ管弦楽団
★★★★★
最初からスネアの音が聞こえます。この状態だと、ffではユルユルの響きになりそうですが・・・・。太く暖かいフルート。明るいクラリネット。独特の響きで色気のあるファゴット。Ebクラもとても豊かな表現です。フルートとミュートしたトランペットはトランペットが強いです。意外と素直なテナーサッククスとソプラノサックス。ピッコロとホルンとチェレスタはとても良くブレンドされています。なかなかセクシーなトロンボーン。木管と第一ヴァイオリンのAや続く第一、第二ブァイオリンのAでは、旋律が走る?かスネアが遅れる部分もありました。トランペットが八分音符を吐き捨てるように雑に演奏します。やはりスネアはユルユルです。最後のBでアッチェレランドです。トランペットも強烈です。ミュンシュのやりたい放題のかなり乱暴な演奏でしたが、なかなか聴きごたえがありました。
ヘルベルト・フォン・カラヤン/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 1966年
★★★★★
リムのギリギリを叩くコツコツと言うスネア。全くスネアのシャリシャリした響きはありません。ppからffまで演奏しないといけないので、どの音量でベストな響きにするのかは奏者の判断ですが、この締まったスネアはある程度の音量でベストな響きになるセッティングでしょう。かなり強く絞められたスネアは遠くで聞いても歯切れ良い響きになるとても良いチューニングです。芳醇なフルート。Bの旋律は割と自由に演奏させているような感じです。フルートとミュートしたトランペットがとても良くブレンドされています。歯切れの良いスネアが心地よく響きます。テナーサックスは艶のある表現です。ソプララノサックスもテンポの中で揺れる表現で、カラヤンが極端に制御している感じではありません。ピッコロ・ホルン・チェレスタもブレンドされた不思議な響きです。トロンボーンもセクシーな表現です。トロンボーンの後のスネアの響きは抜群です。木管群のAとBの間でスネアが2台になるのがはっきりと分かります。クライマッックスに近付くにつれて金管が遠くから抜けて来たりします。コーダでもトロンボーンが抜けて来たり、カラヤンが何もかも制御するのでは無く、楽員にも自由度を与えながら上手くまとめた演奏で、ベルリンpoもとても良い状態の演奏だったと思います。
大植 英次/大阪フィルハーモニー交響楽団
★★★★★
スティックをかなり短く持って、ヘッドの中央付近を叩いているスネア。指の感覚に近いフィーリングで叩こうとしているのか。明るい響きのフルート。抜けの良いクラリネット。表情はありますが、やはり真面目なファゴット。美しく響きますがやはりセクシーでは無いEbクラ。ビブラートも掛けて歌うテナーサックス。ソプラノサックスもビブラートを掛けて装飾音符も付けて歌いますがセクシーな表現ではありません。プツプツと締まった響きのスネア。ピッコロ・ホルン・チェレスタはバランスが良い感じです。木管群の演奏中に明らかにクレッシェンドしたスネア。トロンボーンは、はっきりとタンギンせずルーズな感じでとてもセクシーな演奏でした。トロンボーンの後の木管群も華やかでした。第一ヴァイオリンが入るとサラッとした感じになり、とても色彩感が豊かです。最後から3番目のBはまろやかな響きです。最後まで引き締まったスネアは素晴らしい響きです。コーダに入って大きくクレッシェンド。豊かな色彩感と、最後まで統率された素晴らしい演奏でした。
ヴァレリー・ゲルギエフ/ロンドン交響楽団
★★★★★
リム付近を叩いているからか、胴鳴りなのか、スネアが僅かに響いているのか、良く分からないスネア。太く暖かいフルート。ニュートラルなクラリネット。途中少し走るような表現でした。フルートとミュートしたトランペットはトランペットがカップミュートをしているので、とても良くブレンドされています。セクシーなテナーサックス。ソプラノサックスも艶めかしく色気のある演奏でした。スネアは少し緩い感じがします。トロンボーンもなかなか良い演奏でした。木管群も華やかです。最後のAの直前で大きくクレッシェンドしました。スネアはユルユルになって来ました。最後の堂々としたエネルギー感は凄かったです。
リッカルド・ムーティー/フィラデルフィア管弦楽団
★★★★★
かなり緩いようなスネアの響き。太めのフルート。クラリネットもファゴットも独特な響きです。Ebクラもゴムの管を吹いているような独特の響きです。ロウのような滑らかさのテナーサックスはセクシーな演奏でした。ソプラノサックスも装飾音を含んでセクシーでした。トロンボーンもクネクネとした表現でとてもセクシーでした。八分音符を刻むトランペットはとても柔らかく演奏しています。最後のAでピッコロトランペットが輝かしく響きます。最後はゆっくりとこれでもかとグリッサンドするトロンボーン。最後は堂々とした演奏でした。
ヘルベルト・フォン・カラヤン/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 1985年
★★★★☆
1966年盤よりも若干緩いスネアです。フルートも若干細身か、これぞクラリネットと言う響き。あまり潤いの無いEbクラ。1966年盤ほどブレンドされないフルートとミュートしたトランペット。テナーサックスも細身で表現もあまり積極的ではありません。ソプラノサックスはかなり歌いました。トロンボーンもよく表現しますが、セクシーではありません。スネアは常に控えめで、2台目が入ったのもあまりはっきりとは分かりませんでした。かなりカラヤンによって制御されているようで、金管が突き抜けて来るようなことは無く、全体のバランスも保って演奏されています。最後のAは華やかで力強いです。スネアもどんどんクレッシェンドして来てかなりの存在感になっています。強弱の振幅は1966年盤よりもかなり大きかったように感じました。ただ、表現の自由さはかなり抑えられていて、最後の力強さを聞かせたかったのかなと感じました。
ジャン・マルティノン/フランス国立放送管弦楽団
★★★★☆
小さいスネアを使っているような響きです。最初からスネアが鳴っています。色彩感のはっきりとした演奏です。テヌートぎみの柔らかい表現です。ファゴットは際立った色気は感じません。Ebクラも表現は控えめです。フルートとトランペットのミュートの後半でフルートが旋律を間違えます。テナーサックスも取り立ててセクシーな演奏ではありません。ソプラノサックスも大きな表現はありませんが、ここまで、フランスのオケとしてはとても整った演奏です。トロンボーンは少しセクシーでしたが、抑制された表現です。二台目のスネアが入ったところは分かりませんでした。スネアは涼し気な響きです。トランペットの八分音符が大きく響きますが、ミュンシュの演奏ほど乱暴で突き抜けてはいません。コーダはかなりの音量になったように感じました。しっかりとコントロールされた演奏でした。
シャルル・デュトワ/モントリオール交響楽団
★★★★☆
冒頭からスネアの響きが僅かに聞こえるチューニングです。いつものデュトワの演奏と同様に温度感の低い、透明感の高い演奏です。細身のファゴットが少し表現を加えた演奏をします。滑らかなEbクラがさらりと演奏します。テナーサックスもあっさりとした表現です。ソプラノサックスもほとんど表現らしい表現が無くあっさりとしています。ピッコロとホルンとチェレスタはホルンが強めです。トロンボーンは少し表情のある演奏ですが、セクシーさは全くありません。二台目のスネアが入ったのはほとんど分かりませんでした。チューバの存在感がかなりあります。スネアが緩い感じがして来ました。弱音を優先したチューニングでffになると緩いです。コーダはかなり強くなりましたが、全体にとても制御された演奏で、オケはとても上手いのですが、セクシーさよりも清潔感のある清楚な演奏で、私がイメージするボレロとはかなり違う演奏でした。
ロリン・マゼール/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
★★★★☆
リム付近を叩く甲高い音のスネア。速めのテンポで滑らかなフルート。ウィーンらしい潤いのあるクラリネット。乾いた響きのファゴット。Ebクラはあっさりとした表現です。なまめかしいテナーサックス。ピッコロ・ホルン・チェレスタは盛大に響きます。暗い響きのトロンボーン。陰湿なセクシーさで独特の表現です。木管群やヴァイオリンなどの旋律もなぜか暗い。最後のBで急ブレーキ。陰湿で暗い、変態のようなセクシーさ。マゼール独特の表現でした。異色のボレロでかなり好き嫌いの分かれる演奏だと思います。私は、この変態のようなセクシーさは好きです。
エルネス・アンセルメ/スイス・ロマンド管弦楽団
★★★★
かなり緩いスネア。豊かな響きを伴ったフルート。フルートもクラリネットも歌おうとするのか、スネアより若干遅くなる部分もありました。ストレートな表現のファゴット。Ebクラもストレートな表現でした。間接音を含んだオーボエダモーレ。ミュートしたトランペットが強く響きます。テナーサックスもあまり大きい表現はしません。装飾音符を含んだソプラノサックスですが、やはりセクシーな表現では無く、後半で音を短く演奏する部分もありました。ピッコロ・ホルン・チェレスタはとても盛大に鳴ります。笑うようなトロンボーンは少しセクシーでした。木管群はとても華やかです。ヴァイオリンが入ると涼やかな響きになります。とても色彩感は豊かです。スネアはユルユルです。最後のAとBでピッコロトランペットが輝かしく響きます。表現はあま積極的ではありませんでしたが、濃厚な色彩感はさすがでした。
ズービン・メータ/ロサンジェルス・フィルハーモニック
★★★★
径の小さいスネアでスネアは緩めです。明るいフルート。テンポも軽快です。ストレートでセクシーでは無いファゴット。明るく沸き立つようなオーボエダモーレ。軽快なテンポに乗って微妙な表情を付けるテナーサックス。ピッコロ・ホルン・チェレスタは盛大に鳴ります。少し沈んだ木管群。テンポに乗って歌うトロンボーンですが、やはりセクシーな表現とは違います。スネアがとても力強く推進力があります。マットなヴァイオリン。個人的にはもう少し締まっていて欲しいスネアです。2台目のスネアが入るのがはっきりと分かりました。2台のスネアが少しバラけます。最後もスネアはバラバラでした。若いメータの勢いそのまま。絶好調の時代の演奏でした。
スタニスワフ・スクロヴァチェフスキ/読売日本交響楽団
★★★★
強くミュートしてあるようなスネア。陰影のあるクラリネット。豊かな響きを伴ったファゴットですが、正直な演奏です。Ebクラもセクシーではありません。オーボエダモーレも豊かな響きを伴って美しいです。フルートとミュートしたトランペットはトランペットが強いです。テナーサックスも素直な表現です。ソプラノサックスは少しセクシーでした。ピッコロ・ホルン・チェレスタはバランス良く響きます。木管群は控えめです。とてもセクシーなトロンボーン。スネアは良い音になって来ました。ウァイオリンが入ると涼やかな響きになります。2台目のスネアが入ったのははっきりと分かりました。最後までスッキリとした響きの演奏でした。
イゴール・マルケビィッチ/スペイン放送交響楽団
★★★★
胴鳴りのような響きがするスネア。割と速めのテンポで進みます。サックスのような響きのファゴット。一本調子のEbクラ。タメも無くテナーサックスも一本調子です。ソプラノサックスは少し表現しました。軍隊の行進のような推進力です。笑うようなトロンボーン。ここでも表現は少しです。水彩画のような淡い色彩。ゴム毬が跳ねるようなチューバの響き。最後のAとBで見事なバランスで突き抜けて来るピッコロトランペット。スネアは少し緩いか。コーダに入って若干テンポが上がったか?表現は抑制されていて、色彩感もてとも渋いものでしたが、オケをしっかりと統率した演奏は見事でした。
セルジウ・チェリビダッケ/ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団 1993年
★★★★
チェリビダッケらしくゆっくりとしたテンポ。極端な弱音でスタートします。リム付近を叩く硬い響きのスネア。ふくよかで暖かいフルート。ファゴットはあまり表現の無い平板な演奏です。フルートとミュートしたトランペットは明らかに分離しています。テナーサックスはかなりセクシーな演奏でした。ピッコロとホルン、チェレスタの後、トランペットのリズムを刻む音が大きくなります。トロンボーンも表現しますが、何かチェリビダッケから「表現しろ」と言われて、どうして良いのか分からずに戸惑いながら表現しているような感じがしました。この辺りになると、スネアの緩さが目立って来ます。2台のスネアも6連符では、リズムが揃わずダラダラになります。16回目の繰り返しでトランペットの八分音符を刻む音が強くなりますが、上の音だけで、下の音はほとんど聞こえません。テナーサックスとトロンボーン以外は表現を抑えて、整えられた演奏ですが、ライブと言うこともあって、細部の精度はそんなに高い演奏でも無く、最後の盛り上がりも強いものではありませんでした。
チョン・ミョンフン/東京フィルハーモニー交響楽団
★★★★
抜けの悪い感じはありますが、リム付近を叩くスネア。ゆったりと表現するクラリネット。明るい響きのファゴット。ストレートな表現のEbクラ。少しセクシーなテナーサックス。良く歌いますが、セクシーでは無いソプラノサックス。ピッコロ。ホルン・チェレスタはやはり大きく響きます。トロンボーンはテンポも揺らして表現します。スネアは引き締まった良い音です。第一ヴァイオリンが入ると華やかな響きになります。第二ヴァイオリンも入るとさらに華やかになります。二台目のスネアは明らかに入ったのが分かりました。何と二台目のスネアはステージ奥の客席にいます。オーケストラが一体になった盛り上がりは見事でした。チョン・ミョンフンの統率力を発揮した演奏でしたが、日本のオケにセクシーな演奏を求めても無理なのか?
アルミン・ジョルダン/スイス・ロマンド管弦楽団
★★★★
リム付近を叩いていますが、僅かに胴鳴りのような響きも聞こえます。ファゴットまで抑えた表現です。滑らかですが、ストレートな表現のEbクラ。フルートとミュートしたトランペットはトランペットが強く響きます。テナーサックスも抑制的でセクシーではありません。ソプラノサックスはテナーサックスよりも積極的に表現します。トロンボーンはかなり積極的に歌いますが、やはりセクシーではありません。スネアは若干緩い感じになって来ました。第一ヴァイオリンが入ると涼やかな感じになります。スネアのマイクポジションはバター側では無く、スネア側から音を拾っているような感じです。最後のAのトランペットが切れ味鋭い音です。最後はフルパワーの演奏で、ヴァイオリンが入った時には涼やかだった響きが熱い響きに変わるのは見事でした。
ジャンルイジ・ジェルメッティ/シュトゥットガルト放送交響楽団
★★★★
ほとんどスネアの音が聞こえません。ゆったりとしたテンポで落ち着いて演奏されるフルート。内に秘めたようなクラリネットはなかなか良い表現です。大きく歌うファゴットですが、セクシーではありません。Ebクラも良く歌いますが、やはりセクシーな表現ではありません。オーボエダモーレはテヌート気味に表現します。抑え目の音量でやはり内に秘めたような表現のテナーサックス。スネアが引き締まった響きで聞こえて来ます。トロンボーンは色んな表現をしますが、やはりセクシーとは言えません。アンサンブルはとても整っています。第一ヴァイオリンが入るととても爽やかな響きになります。トランペットの八分音符はとても短く弱めです。最後もフルパワーにはならず、抑制された感じでした。良く歌う演奏でしたが、セクシーではありませんでした。それでも、とても良く鍛えられたアンサンブルは見事でした。
クラウディオ・アバド/ロンドン交響楽団
★★★★
速めのテンポで径の小さく浅いスネアを使っているような響きです。遠くから響くようなフルート。速いテンポも相まってとてもあっさりとした演奏です。滑らかで潤いのあるクラリネット。Ebクラも滑らかに流れて行きます。フルートとミュートしたトランペットは明らかにトランペットが強いです。控えめでセクシーな感じはほとんどないテナーサックス。ピッコロ、ホルン、チェレスタはよくブレンドされています。直後のトランペットがスネアと同じリズムを刻みますが、モタモタです。トロンボーンも表現はしますが、セクシーではありません。木管だけのBはとても華やかです。最後のAとBはトランペットが突き抜けて来ます。このトランペットは凄いです。最後は弦楽器奏者が自然に歓声を上げたと記載されていますが、そんなことは無いだろうと思います。事前に準備されたものだと思います。色彩感や盛り上がりはありましたが、セクシーさが無かったのが少し残念でした。
ジョルジュ・プレートル/RAI国立交響楽団
★★★☆
リムの際より少し離れたところを叩いているようでたどたどしいリズムで始まったスネア。途中でテヌート気味の表現をするフルート。あまり大きな表現の無いファゴット。途中で少し遅くなるEbクラ。オーボエダモーレも途中でテヌートの表現です。ミュートしたトランペットに負けてあまり聞こえないフルート。テナーサックスも途中で遅くなったりします。Bの旋律は皆、下降旋律で遅くなります。ピッコロ・ホルン・チェレスタはバランスの良い響きです。Aの旋律は皆途中でテヌートです。細い響きのトロンボーンも途中で遅く演奏しますが、セクシーな表現とは言えません。リズムを刻む楽器が良く聞こえて小気味良いです。木管群のBも揃えて遅くなります。あまり色彩感は濃厚ではありません。クレッシェンドもあまり大きくはありません。最後のAとBでピッコロトランペットが突き抜けて来ますが、そんなに音量が増した感じは無く、埃っぽい響きです。独特の表現の演奏でしたが、セクシーさや色彩感や音量の変化も乏しい演奏だったのは残念でした。
ゲオルグ・ショルティ/シカゴ交響楽団
★★★☆
リム付近を叩いていますが、僅かにスネアの音が聞こえます。径の小さいスネアを使用しているのか?フルートもクラリネットもくっきりと浮かび上がります。表現はしますが、セクシーでは無いファゴット。Ebクラも見事ですが、セクシーではありません。どの楽器も際立っていて、色彩感がとても豊かです。フルートとミュートしたトランペットはほとんどトランペットを聞いている感じです。アメリカ的で金属的なテナーサックス。装飾音もあってセクシーな感じです。トロンボーンは大きな表現をしますが、ちょっと作為的で、セクシーを通り越して滑稽に聞こえます。トロンボーン以降の木管群にヴァイオリンや、トランペット、トロンボーンが加わる色彩感もとても豊かです。色彩感はとても豊かな演奏でしたが、セクシーさはあまり感じませんでした。ショルティにセクシーさを求めても無理か!
エフゲニー・ムラヴィンスキー/レニングラード・フイルハーモニー交響楽団
★★★☆
物凄く遅いテンポで、リムよりも内側を叩いているようで、最初からスネアの響きがします。テンポはチェリビダッケにも劣らない遅さです。フルートも息が続きません。ファゴットは表現しますが、かなり抑えられています。フルートとミュートしたトランペットのあたりになるとかなりテンポが速くなりましたが、まだ一般的なテンポに比べるとかなり遅いです。聞きなれたテナーサックスの響きとは違います。そんなに大きな表現はしません。アルトサックスのような響きのソプラノサックス。もしかしたら本当にアルトサックスで代用したのか?独特の響きのトロンボーンですが、セクシーさは全くありません。厳格なムラヴィンスキーにセクシーな表現は元々無理な気はしますが・・・。ヴァイオリンはとても近く、残響もほとんど伴っていません。ヴァイオリンが入るあたりでは一般的なテンポになって来ました。叩きつけるようなスネア。ピッコロトランペットが歪んでいます。かなり埃っぽい録音になって来ました。コーダに入って猛烈に加速します。一貫してテンポを速める演奏はなかなか良かったと思います。ただ、ムラヴィンスキーはセクシーとは対極にある人なので、脱力するようなセクシーさは全く感じませんでした。
クリストフ・エッシェンバッハ/パリ管弦楽団
★★★☆
胴の浅いスネアでコツコツとした響きです。太く暖かい響きのフルート。黄昏を感じさせるクラリネット。強弱の変化も付けて表現するファゴット。Ebクラはファゴットとは違う表現をします。フルートとミュートしたトランペットは少しトランペットが強い。軽快なテンポで進みます。装飾音も付けて少しセクシーなテナーサックス。割とストレートなソプラノサックス。スネアは緩い感じになって来ました。テンポよりも遅く遅くねちっこい表現でとてもセクシーなトロンボーン。滑らかな木管群。ヴァイオリンはマットな響きで、渋い響きになりました。パリ管とは思えないような渋い響きです。スネアはユルユルになりました。最後もピッコロトランペットが突き抜けることも無く、渋い響きのままです。ソロは色彩感がありましたが、楽器が重なるにつれて渋い響きになりました。
クラウス・テンシュテット/フィラデルフィア管弦楽団
★★★☆
低音がボンつく感じで、スネアの響きが太く感じます。笛の音がするフルート。スネアはかなり緩い感じです。ファゴットはあまりセクシーではありません。Ebクラも積極的な表現ですがセクシーではありません。控えめに入って次第に大きくなる表現でセクシーなテナーサックス。スネアはかなり緩い感じがはっきりとして来ました。ビブラートを効かせたトロンボーンは笑いながらセクシーです。ヴァイオリンが入ってもくすんだ響きです。ミュンシュ/パリ管の演奏でもスネアは緩かったですが、それと同じかそれ以上に緩いです。トゥッテイの中からビブラートを掛けるトロンボーンが聞こえます。ピッコロトランペットが入って華やかで輝かしくなります。
ジョセップ・ポンズ/スペイン国立管弦楽団
★★★
リム付近を叩くパツパツとした響きのスネア。ゆったりとしたテンポです。陰影のあるクラリネット。浅い響きのファゴットは割とストレートな表現です。ゆったりと大きな表現のEbクラ。装飾音符を含んで少しセクシーな表現のテナーサックス。ミュートしたトランペットの八分音符がはっきりと響きます。酔えるようにセクシーなトロンボーン。スネアは締まった良い音です。ヴァイオリンが入ったあたりから、ゆったりとしたテンポを少し持て余しているような感じもします。奥からピッコロトランペットが響きます。
金 聖響/東京フィルハーモニー管弦楽団
★★★
匂い立つようなクラリネット。ミストーンはありましたが生き生きとしたファゴット。艶やかで生き生きとしたEbクラ。暖かいテナーサックス。とても濃厚な色彩感です。日本のオケにセクシーな表現を求めても無理なのか。とても歯切れの良いスネア。スッキリとした清潔感のある響きです。最後の六連符はゆっくりでした。あまり大きなクレッシェンドにはならず細身でスッキリとした演奏でした。
リッカルド・シャイー/ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
★★★
冒頭からスネアの響きが少し聞こえるチューニングです。太くはありませんが、暖かいフルート。くっきりと浮かび上がるファゴット。細身のテナーサックス。ソプラノサックスもテナーサックスと同じような表現ですが、セクシーではありません。ピッコロとホルンとチェレスタは良くブレンドされています。トロンボーンも細身で、豊かな表現ではありますが、セクシーな表現ではありません。ホルンの刻むリズムが良く聞こえます。二台目のスネアが入ったのはほとんど分かりませんでした。スネアはかなり緩くなって来ました。最後のAの前からティンパニが強くなりました。若干テンポを上げたか?アバド盤と同様にコーダで歓声が入りますが、アバドほど大きくはありませんでした。コンセルトヘボウらしい濃厚な色彩を期待しましたが、あっさりとした色彩と表現で、セクシーさはほとんど感じませんでした。
モートン・グールド/ロンドン交響楽団
★★★
弦のピチカートは聞こえますが、スネアはほとんど聞こえません。静寂感の中に響くフルート。テンポはゆったりとしています。ソロはそれぞれ上手いのですが、色彩感はあまり濃厚ではありません。フルートとミュートを付けたトランペットは明らかにトランペットが強いです。テナーサックスもソプラノサックスも真面目です。トロンボーンは大きく、表現も積極的でしたが、やはりセクシーではありません。木管群は切れのいい響きで気持ちが良いです。ティパニが大きく響き、底辺を支えている感じです。14回目と15回目の繰り返しの間と16回目の間でスネアが大きくクレッシェンドしました。最後はフルパワーを感じさせる演奏で、強弱の振幅は最も大きい演奏だったかも知れません。しかし、Bの旋律に全くセクシーさが無かったのはとても残念でした。
小澤征爾/ボストン交響楽団
★★★
スネアの響きがする冒頭。自然で美しい、フルートとクラリネット。表現は控えめなファゴット。フルートとミュートのトランペットはトランペットが支配的です。ふくよかさは余り無いテナーサックス。ソプラノサックスもあまり大きな表現はありません。首が締まったような細いトロンボーン。軽快なテンポで推進力があります。2代目のスネアが入ったのは分かりました。スネアのリズムが独特で3連符の頭を少し強く演奏しています。最後、スネアはかなり緩く感じます。最後は若干テンポを速めて終わりました。とても音色に気を配った演奏のように感じました。最後も音が荒れることの無い範囲で収めた感じで、安全運転のような感じで禁欲的した。
ヘルベルト・フォン・カラヤン/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 1977年
★★★
ゆったりとしたテンポで僅かにスネアの響きが聞こえます。66年盤よりも少しスリムなフルート。小さく入ってクレッシェンドするクラリネット。大きくは歌わないファゴット。大きく入ったEbクラ。カラヤンの3回の録音の中では一番細いテナーサックス。表現も抑制的でした。ソプラノサックスもあまり自由な表現ではありません。フルートとミュートしたトランペットはトランペットが強かったですが、ピッコロ・ホルン・チェレスタは良くブレンドされていました。トロンボーンは作為的な表現もありましたが、セクシーでした。スネアは最後まで引き締まっています。最後まで大きな盛り上がりが無く、表現も3回の録音の中で一番カラヤンによって制御された演奏で面白みがありませんでした。
ダニエル・バレンボイム/ウェスト=イースタン・ディヴァン管弦楽団
★★★
リム付近を叩くパチパチとした響きのスネア。控えめで籠った響きのクラリネット。ほとんどセクシーな表現をしないファゴット。フルートとミュートしたトランペットはとてもバランスの良い響きです。テナーサックスは歌いますが、セクシーではありません。ソプラノサックスは上手い表現をしますが、セクシーではありませんでした。ピッコロ・ホルン・チェレスタも盛大にならず、良いバランスです。渋い響きの笛を含まない木管群。細く詰まったようなトロンボーン。大きな表現なのですが、やはりセクシーではありません。少しだけ華やかになる木管群。第一ヴァイオリンが入っても渋い響きです。トランペットが入ると、とても強くなったり引っ込んだりします。スネアは若干緩さが感じられます。パリ管との演奏よりも全体は盛り上がりましたが、色彩感の乏しい演奏でした。
ダニエル・バレンボイム/シカゴ交響楽団
★★★
少し遠いスネア。フルートも遠くにいます。どのソロもほとんど表情がありません。テナーサックスは美しい響きでセクシーでした。ソプラノサックスは表現しますがセクシーではありませんでした。弦のピチカートが克明に録音されています。ビブラートを効かせたトロンボーンでしたが、セクシーとは言えない演奏でした。続く木管は華やかです。最後のAはバランス良く華やかな響きです。バレンボイムが何をしたかったのか、ただ演奏しただけのような演奏に感じました。
ダニエル・バレンボイム/パリ管弦楽団
★★★
ゆったりとしたテンポでリム付近を叩くコツコツとした響きのスネア。落ち着いた響きのフルート。あまりセクシーな表現をしないファゴット。丁寧なEbクラ。テヌート気味の表現のオーボエダモーレ。艶っぽくでセクシーさもあるテナーサックス。ミュートしているような打音が硬いスネアの響きです。ソプラノサックスは抑え気味の表現です。ピッコロ・ホルン・チェレスタは良くブレンドされていますが、これまでの音量から一段大きくなりました。トロンボーンは少し大げさな表現で興醒めします。木管群の色彩はとても華やかです。テンポの遅さにパリ管が乗り切れてないような感じがします。くっきりと浮かび上がるトランペットの八分音符。スネアがこれでもかとクレッシェンドして行きます。スネアの盛り上がりに比べると他のパートは醒めている感じがして、今一つ盛り上がりませんでした。「笛吹けど踊らず」では無く、「太鼓叩けど踊らず」でした。
ロリン・マゼール/フランス国立管弦楽団
★★★
緩めではっきりとスネアの響きが聞こえます。軽快なテンポです。ウィーンpoとの録音と同じ表現のファゴット。テナーサックスは少し細身で、ファゴットと同じ表現です。このあたりでスネアが程良い響きになっているので、後半はかなり緩い響きになるのでは。ピッコロ・ホルン・チェレスタが盛大に鳴るのもウィーンpoの演奏と同じで。続く木管群で音量が落ちるのがとても変です。トロンボーンはファゴットやテナーサックスとは違う表現で積極的でしたが、セクシーさはありません。2台目のスネアが入るのははっきりと分かりました。コーダで一段とボリュームアップです。ウィーンpoのような急ブレーキも無く、マゼールらしい仕掛けはありませんでした。ウィーンpoのような変態っぽいようなセクシーさも無く、個性の無い演奏でした。
レナード・バーンスタイン/フランス国立管弦楽団
★★★
コツコツと響くスネア。陰影のあるクラリネット。独特な響きで歌うファゴットですが、あまりセクシーな表現ではありません。ファゴットは違う歌い方をするEbクラ。フルートとミュートしたトランペットはトランペットがストレートミュートなので、トランペットが強く響きます。艶っぽいテナーサックス。表現はさほどではありませんが、音色自体がセクシーです。良く音が通るソプラノサックス。トロンボーンは豊かに歌いますが、あまりセクシーではありません。第二ヴァイオリンが入るととても華やかになります。大きく盛り上がることも無くなんとなく終わった感じです。バーンスタインの最晩年の濃厚な表現で聞いてみたかったと感じました。
エルネスト・アンセルメ/パリ音楽院管弦楽団
★★★
ゆったりとしたテンポでスネアの響きが聞こえます。奥まって響くフルート。細い響きのファゴット。ほとんどセクシーな表現はありません。テンポを引き延ばすようなEbクラ。二枚リード独特の響きのオーボエダモーレ。リズムを刻む楽器も後ろ乗りするような、テンポを遅らそう遅らそうとするような感じで、推進力は全くありません。テナーサックスには全くセクシーさを感じませんでした。ビブラートを掛けたソプラノサックスはセクシーです。ピッコロ・ホルン・チェレスタは盛大に響きます。酔っぱらっているようなトロンボーン。テンポが前に進まないのがとても気になります。最後のAとBはピッコロトランペットが極端に突き抜けて来ます。かなり奏者にやりたいように演奏さているような感じでしたが、テンポが前に進まないのがとても気になりました。
西本 智実/ロシア・ボリショイ交響楽団
★★★
コツコツと響くスネア。何かノイズを含んでいるようなフルート。ロシアのクラリネットです。柔らかく美しいファゴット。かなり甲高く強い響きのEbクラ。フルートとミュートしたトランペットのバランスも良いです。テナーサックスは装飾音も入れて演奏しますが、セクシーな感じはありません。ピッコロ・ホルン・チェレスタもバランスが良いです。このあたりは日本人の繊細さか。積極的に表現するトロンボーンですが、やはりセクシーではありません。最後も極端に盛り上がることも無く、丁寧にまとめた感じです。日本人指揮者にセクシーなボレロを求めても無理なのか?
ジャン=クリストフ・スピノジ/hr交響楽団
★★★
とても速いテンポで、リム付近を叩くスネア。テンポが速いので、乗りが良く一気に吹き終えるフルートとクラリネット。ファゴットにはテンポが速すぎるような感じがしました。Ebクラももう少し遅めに演奏したそうな感じでした。ミュートしたトランペットももう少しゆっくり演奏したそうです。テナーサックスは大きく表現しますが、あまりセクシーな表現ではありません。ソプラノサックスもテーナックスと同様の表現です。トロンボーンもサックスと同じような表現で、セクシーではありません。スネアは少し緩い感じです。最後のAとBでピッコロトランペットが強く響きます。後半に進むにつれてテンポに乗るようになったオケ。後半は良かったですが、最初のうち、テンポに乗り切れない演奏が残念でした。
ヴィセンテ・アルベローラ/ガリシア交響楽団
★★☆
少し緩めでスネアの響きが聞こえます。ゆったりとしたテンポです。太い響きのフルート。フルートもクラリネットもフレーズの頭を遅らせて出ます。大きな表現はしないファゴット。少しセクシーさのあるテナーサックス。装飾音符を付けて表現するソプラノサックス。かなり大きな表現をするトロンボーンですが、あまりセクシーな表現ではありません。スネアは三連符の頭を少し強く叩いています。華やかな木管群。ちょっと間が持たない感じで、ダレているような感じがします。八分音符も強く演奏されないので、ソフトな表現で、緩い感じです。単純な旋律の繰り返しなので、ゆったりとしたテンポでも緊張感を保つのは難しいのか?
ベルナルト・ハイティンク/ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
★★
弦のピチカートが強くてスネアはあまり聞こえません。あまり響きの無いフルート。ストレートな表現でセクシーでは無いファゴット。テナーサックスもあまり響きが無く、装飾音符を伴った演奏をしますが、セクシーではありません。絞り出すような響きのソプラノサックス。ピッコロ・ホルン・チェレスタは柔らかい響きです。木管群は渋い響きです。ビブラートを掛けたトロンボーンですが、グリッサンドを強調していて、セクシーではありません。スネアきかなり緩くなって来ました。トランペットの八分音符が強く響きます。ピッコロトランペットがねっとりとした響きで響いて来ます。
ダニエレ・ガッティ/フランス国立管弦楽団
★★
リムよりも少し内側を叩いていて、スネアの音が聞こえます。若干細目で暖かいフルート。フランスのクラリネットです。割とストレートなファゴット。Ebクラもファゴッット同様ストレートです。ミュートしたトランペットが奥から聞こえますが、それでもフルートよりも強いです。装飾音を含んだテナーサックスでしたがセクシーではありません。滑らかな表現のソプラノサックスもセクシーではありませんでした。フルート・ホルン・チェレスタはホルンが少し弱い感じでブレンドされた響きにはなりませんでした。細く締まったトロンボーンも全くセクシーな表現ではありません。木管群も華やかにはならずまろやかです。ヴァイオリンが入っても渋い響きです。スネアは少し緩い感じになって来ました。最後になってもマットな響きで、色彩感も表現も盛り上がりも今一つの演奏でした。
グスターボ・ドゥダメル/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
★★
太鼓の音がするスネア。ゆったりとしたテンポです。陰影のある秘めた響きのクラリネット。ストレートな表現のファゴット。ゆったりとしたテンポを持て余しているような感じが続きます。チェリビダッケの演奏では、こんな持て余しているような印象は無かったのですが、ちょっと密度が薄いかも知れません。細い響きのテナーサックス。装飾音符を含んで僅かにセクシーさのある演奏でした。ソプラノサックスも装飾音符を含んだ演奏ですが、セクシーではありません。ピッコロ・ホルン・チェレスタは盛大にならず、バランスも良いです。渋い響きの笛を含まない木管群。トロンボーンはセクシーでした。笛を含んだ木管群はそんなに華やかにはなりませんでした。第一ヴァイオリンが入ると少し涼やかになりますが、あまり色彩感は濃厚ではありません。二台のスネアが微妙にズレて、リズムが緩く感じます。コーダで六連符を少し遅くするところもありました。とても長い演奏に感じました。
レナード・バーンスタイン/ニューヨーク・フィルハーモニー管弦楽団
★★
かなり緩いスネア。速めのテンポで、細いフルート。少しもたつくようなファゴットですが、表現は豊かです。金属的なEbクラ。アメリカ的なテナーサックスですが、控えめで響きを伴っています。ソプラノサックスは装飾音も伴った演奏です。ピッコロ・ホルン・チェレスタはかなり盛大です。ミュートしたトランペットの八分音符が強く響きます。トロンボーンも積極的ですが、表現が強くてセクシーではありません。スネアが緩緩になって来ました。第一ヴァイオリンが入ると少し金属的な響きになります。トランペットの八分音符は強いです。最後のAのトランペットも凄く強いです。スネアはもうダラダラの響きです。最後のBはもう混濁しているような埃っぽい響きになってしまいます。若い頃のバーンスタイン/ニューヨークpo独特の勢いに任せた乱暴な演奏に感じました。
ユージン・オーマンディー/フィラデルフィア管弦楽団
★★
リム付近よりも内側を叩いているようなスネア。笛の音がするフルート。独特な表現です。陰影のあるクラリネット。テンポを揺らして表現します。ファゴットも豊かな表現です。あまり美しさを感じないEbクラ。フルートよりもミュートしたトランペットが強いです。アメリカ的なテナーサックス。トランペットが刻むリズムが強く響きます。ピッコロ・ホルン・チェレスタはかなり盛大です。続く木管群の方が音量が下がります。トロンボーンの前にスネアが一旦音量を落とします。トロンボーンはちょっと極端な表現で少し滑稽にも聞こえます。第一ヴァイオリンが入る前にまたスネアが音量を一段上げました。何故ストレートにクレッシェンドしないんでしょう。Aの旋律はオーマンディ独特の歌いまわしがあります。二台のスネアがズレてリズムが甘くなる部分もありした。最後はミキシングで音量を落とされたような不自然さを感じました。ちょっと不自然な演奏でした。
ディーマ・スロボデニューク/ガリシア交響楽団
★★
深い胴で緩めのスネアです。途中スタッカートぎみに演奏するフルートとクラリネット。ファゴットの前でハープがはっきりと入ります。表現はしますがセクシーでは無いファゴット。Ebクラもストレートな表現です。装飾音符を加えて演奏するテナーサックス。大きい表現でセクシーなソプラノサックス。大きい表現ですが、脱力したようなセクシーさはありません。ヴァイオリンが強く清涼感のある響きです。2台目のスネアはかなり強く入りました。軍隊が進軍するようなスネアです。最後も大きな盛り上がりはありませんでしたが、優雅さやセクシーさはあまり無く、軍隊のように突き進むスネアが作品とは合わない感じがしました。
ジャン・フルネ/チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
★★
深い胴でチューニングも緩めのスネア。途中スタッカートで演奏するフルート。セクシーさは全く無いファゴット。少しセクシーなEbクラ。ミュートしたトランペットとフルートはブレンドされず分離しているような感じです。セクシーな表現はしようとしているテナーサックス。あまりセクシーには感じないソプラノサックス。フルート・ホルン・チェレスタもブレンドされた響きではありません。真面目なトロンボーン。ゆったりとしたテンポを持て余しているような感じがします。アンサンブの精度のあまり高くは感じませんでした。
ジャン・フルネ/NHK交響楽団
★★
緩いスネア。途中でスタッカートの表現もあるAの旋律。セクシーさは無いファゴット。フルートを完全に上回って朗々と歌うミュートしたトランペット。テナーサックスはセクシーな表現をしようとしますが、イマイチでした。ソプラノサックスはまあまあの演奏。トロンボーンの前でもうすでに緩い響きになっているスネア。トロンボーンはかなり歌っていますが、いくつかやらかしてもいます。二台目のスネアが入ったのは分かりました。二台目にスネアを締めたチューニングにしてリズムをある程度はっきり出そうとしているような感じです。トランペットが刻む八分音符が上の音が聞こえません。そんなに大きく盛り上がることも無く程々の演奏と言った感じであまり印象に残りませんでした。
レナード・スラットキン/リヨン国立管弦楽団
★★
弦のピチカートがボンと響きスネアの音があまり聞こえません。表現はしますが、セクシーでは無いファゴット。Ebクラもラクシーではありません。セクシーに表現しようとするテナーサックスですが、脱力するようなセクシーな表現にはなりませんでした。ピッコロ・ホルン・チェレスタはホルンが弱いです。木管群は華やかでは無くマットな響きです。表現は大きいですが、セクシーでは無いトロンボーン。ヴァイオリンが入ってもマットな響きで色彩感は乏しいです。スネアはあまり強くありませんが、かなり緩い響きになって来ました。ピッコロトランペットも響いて来ますが輝かしい響きでは無く最後を飾るような響きにはなりません。セシクーな表現も無く、色彩感も乏しい演奏であまり魅力を感じませんでした。
コンスタンティン・シルヴェストリ/パリ音楽院管弦楽団
★
いかにも古い録音で、鈍いスネアの響き。お風呂で聞くような太くたどたどしいフルート。フルートとミュートしたトランペットの部分で、弦のピィチカートが強く演奏されます。かなり強いソプラノサックス。自由に演奏させているのか、表現が統一されていないのか、かなりバラバラな表現のソロが続きます。二枚リードの木管とクラリネットでは音量が落ちます。かなり音程が怪しいトロンボーン。高音域の木管と第一ヴァイオリンのAでスネアがリズムを間違えます。三連符の頭を強めに演奏する独特のリズムです。最後はトロンボーンのグリッサンドが強烈でした。プロの演奏としてはかなりいい加減な演奏でした。
ケント・ナガノ/ロシア・ナショナル交響楽団
★
二拍目の八分音符を強く叩く独特のリズムで、少し緩いスネア。ソプラノサックスまで、あまり大きな表現はありません。テナーサックスも表現はありますが、あまり大きな表現ではありません。詰まったような響きであまり伸びやかでは無いトロンボーン。表現はしますが、セクシーではありません。二拍目の後の八分音符が強いスネアがとても不自然です。あまり華やかにならない木管群。第一ヴァイオリンが入ってもマットです。最後のAで大きくクレッシェンド。ピッコロトランペットが突き抜けて来ます。最後のBはピッコロトランペットがかなり強いです。スネアのリズムが変でとても気になりました。色彩感も乏しくあまり楽しめませんでした。
ネーメ・ヤルヴィ/デトロイト交響楽団
★
スネアの音が聞こえます。浅い響きのフルート。ファゴットも浅い響きで、ほとんど表現はありません。Ebクラも素っ気ない演奏です。オーボエダモーレは少しテヌート気味の表現です。フルートのミュートしたトランペットもテヌートした演奏です。色気のある音色のテナーサックスですが、表現はあまりセクシーではありません。ソプラノサックスもほとんど表現の無い素っ気ない演奏です。スネアは緩い感じになって来ました。木管群も華やかではありません。少しセクシーなトロンボーン。ヴァイオリンが入っても渋い響きです。楽器が重なっても色彩感はほとんど無くモノトーンのような演奏です。最後までスネアのリズムが強く、オーケストラは大きな盛り上がりもありませんでした。何をしたかったのかあまり分からない演奏でした。