ムソルグスキー 組曲「展覧会の絵」(ラヴェル編)4

たいこ叩きのムソルグスキー 組曲「展覧会の絵」名盤試聴記

ユージン・オーマンディ/フィラデルフィア管弦楽団

icon★★★☆
「プロムナード」艶やかなトランペットですがブレスで音が途切れるのが気になります。暖かみのある響きの「こびと」です。サックスのソロも暖かい響きの「古城」です。「テュイルリーの庭」ゆったりとしたテンポで豊かな表現です。速いテンポで味わいのない「ビドロ」です、表情も淡白です。「サミュエル・ゴールデンベルクとシュミュイレ」ミュートを付けたトランペットが哀愁に満ちた演奏でした。「リモージュ」賑やかな市場の音楽としては大人しい演奏でした。「カタコンブ」奥まったところで響くブラスセクション、アタックが雑な印象も・・・。「バーバ・ヤーガの小屋」速めのテンポです。金管大活躍です。「キエフの大きな門」全開でした。

アルトゥーロ・トスカニーニ/NBC交響楽団

トスカニーニ★★★☆
プロムナード、ナローレンジで粘りのあるトランペット。パリッと響く金管。
こびと、足取りの重い弦。かなりダイナミックで明快な表現。強く押し付けてくるようなトランペット。
プロムナード、美しく歌う木管。
古城、細く硬めなサックス。テンポの動きはありませんが、情感豊かな歌が溢れています。即物的と言う評価は当たらない感じの演奏です。
プロムナード、元気な演奏です。
テュイルリーの庭、ゆったりとしたテンポで豊かに歌います。
ビドロ、一転して速いテンポでグングン進みます。硬い響きのソロはユーフォニアムのようです。
プロムナード、キリッとしていて鮮明な木管。
殻をつけたひなの踊り、落ち着いたテンポでひなの動きを明快に表現します。
サミュエル・ゴールデンベルクとシュミュイレ、力強く荒々しいゴールデンベルク。かなり強いシュミュイレ。
リモージュの市場、マットなホルン。ここでも活発な動きを表現しています。
カタコンブ、強弱の振幅の大きな演奏で、トランペットやトロンボーンがかなり強いです。
バーバ・ヤーガの小屋、硬いマレットで叩いているティンパニ。トランペットやトロンボーンは強烈です。
キエフの大きな門、速めのテンポで音も短めで盛大な演奏です。広大なスケール感は無く、せっかちな感じです。最後はムソルグスキー的で粗野な演奏でした。

即物的と言われるトスカニーニの演奏にしては、表情も豊かで歌に溢れた演奏でしが、最後の二曲が荒い感じで、個人的には好きではありませんでした。
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クリスチャン・ヤルヴィ/フランス国立管弦楽団

ヤルヴィ★★★☆
プロムナード、
こびと、弦が唸りを上げることも無く穏やかです。
プロムナード、
古城、美しいサックス。とても哀愁を感じさせる寂しげな演奏です。
プロムナード、速めのテンポであっさりとしています。
テュイルリーの庭、表情は豊かに付けられています。
ビドロ、ユーフォニアムのソロです。若干浅い響きですが、伸びやかで美しいです。
プロムナード、全体的に速いテンポをとっています。
殻をつけたひなの踊り、清潔で瑞々しい響きです。
サミュエル・ゴールデンベルクとシュミュイレ、唸りを上げるほどの豪快さは無いゴールデンベルク。ゆっくり目でひ弱なシュミュイレ。次第に豪快に演奏する弦。
リモージュの市場、フランスらしい明るいホルン。たどたどしい感じで若干の乱れがあります。
カタコンブ、地面から這い出るような金管の重厚な響き。
バーバ・ヤーガの小屋、速いテンポで凄い勢いの演奏です。豊かな残響も手伝って音場が広がります。
キエフの大きな門、一転してゆったりとしたテンポで広々とした雰囲気の演奏です。プロムナードのメロディが再現されるあたりからテンポが速くなりました。

速めのテンポを基調にした演奏で、曲ごとの表現の変化もありましたが、強い印象はありませんでした。
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エフゲニー・スヴェトラーノフ/ロシア国立交響楽団

icon★★☆
とても元気の良い「プロムナード」。一転して口ごもったような「こびと」の冒頭、後半は遅いテンポで炸裂。フランスのサックスとは明らかに違って硬い音色の「古城」かなり遅いテンポでたっぷりと演奏します。「テュイルリーの庭」も遅い。「ビドロ」も遅く、重く引きずるような弦。「殻をつけたひなの踊り」ラヴェルの編曲よりもムソルグスキーを強く感じさせる原色でちょっと粗野な感じがあります。「サミュエル・ゴールデンベルクとシュミュイレ」ではラヴェル編では登場しないサスペンド・シンバルが出てきます。「カタコンブ」では強烈な金管の咆哮!大太鼓も登場します。とにかく強烈です。「バーバ・ヤーガの小屋」スタッカートぎみのトランペット。「キエフの大きな門」高らかに吹き鳴らされるトランペット。全体的に雑な感じがしました。

エルネスト・アンセルメ/スイス・ロマンド管弦楽団

アンセルメ★★☆
プロムナード、明るくピーンと張ったトランペットですが、息が持たないような感じでブレスの前に音が弱くなります。ワイドレンジではありませんが、まとまりのある響きです。
こびと、スピード感が無くもたつくような弦。色彩感はあります。あまり強く演奏しない金管。ムソルグスキーの作品よりもラヴェルの方に主眼を置いた演奏のようです。
プロムナード、サラッとした色彩感です。
古城、哀愁たっぷりのサックスはなかなか美しいです。
プロムナード、
テュイルリーの庭、スラーで演奏される木管。
ビドロ、速めのテンポで物々しい雰囲気です。チューバは少し硬い音でブレスがはっきりしています。
プロムナード、ラヴェルの編曲の妙を聞くことができます。
殻をつけたひなの踊り、色彩感が豊かで軽妙な動きがとても良いです。
サミュエル・ゴールデンベルクとシュミュイレ、ザラッとしていてあまり重く無い弦。物悲しいトランペット。
リモージュの市場、強弱の変化などはあまり大きく無く、引き締まった表現ではありません。自然にサラッと流れて行く感じの演奏です。
カタコンブ、明るい響きで、「墓」をイメージさせるような感じはありません。金管も大きく咆哮することは無く、作品を自然に演奏している感じです。
バーバ・ヤーガの小屋、トランペットが他のパートに比べると強く、突き抜けて来ます。生き物のように動くオケ。とても豊かな表現です。
キエフの大きな門、重心があまり低くなく、伸びやかな広々とした響きにはなりません。弱音もあまり音量を落とさず緊張感もありません。

あまり強い個性は感じられない演奏で、自然な演奏でしたが、オケの響きにも魅力が無く強く惹かれるような演奏ではありませんでした。
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アラン・ロンバール/ストラスブール・フィルハーモニー管弦楽団

icon★★
「プロムナード」少し硬質な響きのトランペット、テンポは速めです。オケの響きには厚みがありません。「こびと」弦の速いパッセージがあまりはっきりしない上に音量も不足しています。「プロムナード」オーボエがくっきりと浮かび上がります。「古城」弦のデリケートな表現。とても感情が込められた歌です。少し硬いですが明るいsax。「プロムナード」コントラバスが弱いので響きに厚みがありません。「テュイルリーの庭」残響成分もあまり含まれていないようで、響きが硬く一流オケの響きに比べると明らかに見劣りします。「ビドロ」チューバではなくユーフォニアムを使っているような音です。「プロムナード」時折木管が瑞々しい響きを聴かせてくれます。「殻をつけたひなの踊り」「サミュエル・ゴールデンベルクとシュミュイレ」やはりコントラバスがほとんど聞こえないので、サミュエル・ゴールデンベルクの凄味はありません。シュミュイレはここでも硬い音です。「リモージュの市場」細くふくよかさの無いホルン。たどたどしい感じでした。「カタコンブ」控え目な金管。トロンボーンのハイトーンが少し不安定な感じでした。死者への呼びかけは神秘的でした。「バーバ・ヤーガの小屋」軽い響きです。オケが一体になったようなパワー感は感じません。音が集まって来ていないようです。「キエフの大きな門」どうも一体感がなくバラバラな感じです。

オケの技量が未熟で、演奏するので精一杯と言う感じで、表現する余力など無いように感じました。

ジョージ・セル/クリーブランド管弦楽団

セル★★
プロムナード、明るく元気の良い演奏です。色彩感は淡いです。
こびと、モゴモゴとした弦。テンポは速めで、小さくまとまった感じでスケール感がありません。
プロムナード、スタンダードのような、無難な演奏です。
古城、少し硬いサックス。
プロムナード、トランペットと一緒にトロンボーンも演奏しているようです。
テュイルリーの庭、シンプルで情報量が少ない感じです。
ビドロ、ソロはユーフォニアムのようですが、この響きも硬いもので、少し雑な演奏です。
プロムナード、
殻をつけたひなの踊り、控えめな表現で、あまり活発な動きではありません。
サミュエル・ゴールデンベルクとシュミュイレ、荒々しい弦。
リモージュの市場、ここでは動きが活発で、豊かな表現ですが、やはり響きはシンプルで、余分なものは取り除かれているような感じです。
カタコンブ、雑な感じがあったり、壮絶な響きがしたりします。
バーバ・ヤーガの小屋、オケの人数が少ないような錯覚を感じるような小さく広がりや奥行きの無い響き。トランペットはスタッカートで演奏します。
キエフの大きな門、On・Offが無く常にOnの状態で、単純に感じます。ティンパニのクレッシェンドなど独自の加筆もあります。

録音の古さも影響しているとは思いますが、余分な響きが全く無く、とてもシンプルで広がりや奥行き感の無いスケールの小さい演奏でした。
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イーゴリ・マルケヴィチ/NHK交響楽団

マルケヴィチ
プロムナード、僅かに速いテンポ。薄い響きの弦。
こびと、モゴモゴした弦。軽く抑え気味のトロンボーン。
プロムナード、筋肉質のホルン。
古城、何か響きに一体感が無く、融合した響きにになりません。
プロムナード、明るいトランペット。
テュイルリーの庭、とてもゆっくりとしたテンポでテンポも大きく動きます。感情の赴くままに動くようなテンポはとても心地良いものでした。
ビドロ、テノールチューバのソロもそれなりに美しいのですが、どこか寂しい響きです。
プロムナード、
殻をつけたひなの踊り、
サミュエル・ゴールデンベルクとシュミュイレ、
リモージュの市場、強弱の変化は緩く引き締まった動きではありません。
カタコンブ、
バーバ・ヤーガの小屋、
キエフの大きな門、

テンポの動きはあるのですが、響きがバラバラで薄く、融合した柔らかい響きではありませんでした。
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ジェームス・レヴァイン/メトロポリタン・オーケストラ

icon
この演奏はひどいです。オケの投げやりな演奏。
これほどやる気の無い演奏を聴いたのは初めてです。
音、一つ一つを大切に扱うような部分は全く感じられませんでした。これまでレヴァインの演奏をいくつか聴きましたが、どれも良いと思えた演奏はありませんでしたが、この「展覧会の絵」はその最たるものです。
クラシック音楽業界でレヴァインが重用されるのが、私には理解できません。

ムソルグスキー:組曲「展覧会の絵」の名盤を試聴したレビュー

投稿者: koji shimizu

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