たいこ叩きのマーラー 交響曲第5番名盤試聴記
クラウス・テンシュテット/北ドイツ放送交響楽団
★★★☆
一楽章、客席で録音したものか?音が少し篭っています。
色分けがはっきりしていて明確な演奏です。
強弱のメリハリもはっきりしていて押しの強い演奏です。一連のテンシュテットの演奏の中でも最も激しい演奏だと思います。
二楽章、ゆったりとした部分では濃厚な表現を聴かせます。オケをせきたてるようにテンポを煽るところなども独特です。
三楽章、比較的強めに演奏された冒頭のホルン。集中度の高い熱い演奏が続きます。
四楽章、倍音成分があまり収録されていないので、豊かさを感じることはできません。
五楽章、ゆったりとしたテンポで始まりました。録音の問題もあるのか、金管の咆哮もあまり感じられず・・・・・。ただ木管の豊かな表情が良いです。
録音が良ければすばらしい演奏だっただろうと思います。
サー・ゲオルグ・ショルティ/シカゴ交響楽団
★★★☆
一楽章、ハーセスの明るく鋭いファンファーレ。とうとうと流れるような主要主題。エッジの立った弦。思いっきりの良いブラスセクション。強奏部分でもいろんな音が聞こえます。金管の咆哮が非常に激しい!ショルティの指揮は作品に没入するような表現主義ではないと思いますが、金管の咆哮が激しいので、聴いているこちらが熱くなるような演奏です。
二楽章、速いテンポで激しい演奏です。落ち着いた表現の第二主題。シカゴsoのヴィルトオジティを前面に押し出してオーケストラの機能美を追及した演奏のようです。当時、世界最高と言われたシカゴsoの面目躍如の演奏になっています。
三楽章、クレヴェンジャーのホルンが冒頭かなり大きめに入りました。ショルティの指揮はテンポの揺れもなく速いテンポで曲を一気に聞かせます。音楽が前へ前へと進もうとする推進力があります。 打楽器のインパクトに録音が一瞬歪ます。
四楽章、微妙な表情付けとバランスの良い弦の演奏です。録音年代の問題か弦の音の木目が若干粗いのが気になります。
五楽章、この楽章も速めのテンポの演奏です。それぞれの楽器の音が立っていて生き生きした表情が印象的です。金管のffは遠慮なく思い切って入ってくるのがとても気持ち良い。このような演奏スタイルはマーラーの作品を聴く一つの醍醐味を味わわせてくれます。クライマックスで少しテンポを落としました輝かしい頂点です。テンポを速めて一気呵成に終りました。この曲を一気に聞かせた豪快な演奏でした。
ただ、表面的な演奏に終始し、内面の深いところから湧きあがった音楽ではなかった気がします。
ルドルフ・バルシャイ/ユンゲ・ドイチェ・フィルハーモニー
★★★☆
一楽章、輝かしく明るい響きのトランペット。速めのテンポで付点の音符に力点を置いた主要主題。第一トリオでも強いトランペットが他のパートをかき消すくらいに強烈です。主要主題が木管に出るところではそんなに付点に力点を置いた感じではありませんでした。第二トリオは陰影に満ちた表現です。トランペットの強さに比べるとトロンボーンやホルンは明らかに弱いです。
二楽章、少し遅めのテンポで一楽章では感じなかったホールの残響を含んだ豊かな響きです。強弱の変化がある独特の第二主題です。展開部もテンポが少し遅いのもあって、すごく激しいと言うほどではありません。金管のコラールは輝かしく堂々としたものでした。静まる直前のドラも強烈でした。主役の楽器はきっちりと前に出てきますがなぜか色彩感はあまり感じません。
三楽章、可愛く愛らしい表現の第一主題。テンポの動きもあり、押すところと引くところがある独特の第二主題。弦だけになるとホールの響きが美しいです。展開部のティンパニはそんなに強打はしていませんが、とても印象に残る広がりのある響きです。再現部に入って、凄く音楽が生き生きとしてきました。コーダはやはりトランペットが強く、それに比べるとホルンは弱かったです。
四楽章、浅い響きのハープ。独特な歌いまわしで振幅の大きな歌です。モノトーンのような渋い色彩感。
五楽章、豊かな響きを伴ったホルンと木管の掛け合い。ゆったりとしたテンポの第二主題。再現部の前のクライマックスもトランペットが凄いエネルギー感で迫って来ます。コーダに入ってもゆったりとしたテンポで、壮大なクライマックス。最後だけ少しテンポを上げました。
バルシャイが作品の深いところから何かを引き出そうとする意図は良く伝わってきました。
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ブルーノ・ワルター/ニューヨーク・フィルハーモニック
★★★
一楽章、ヒスノイズの中から、近い位置のトランペット・ソロがトゥッティでは奥に引っ込みました。金管の音は全体に短めです。弦の主要主題は速めのテンポであっさりしています。再びファンファーレが現れる部分では激しく濃厚な表現でした。第二トリオもテンポは速めで陰鬱な雰囲気をことさら強調することは無く、淡々と進みます。
二楽章、ワルターの演奏としては非常に激しい荒れ狂うような表現です。少し穏やかにはなりますが、動きのある第二主題。一転して静かな展開部の第二主題。輝かしい金管のコラールも一部音を短く演奏しています。最近の演奏では聴いたことのない表現です。
三楽章、速めのテンポで元気の良いホルン。チャーミングな木管の第一主題。複雑に楽器が絡み合うところは上手く表現されています。少し穏やかになった第二主題。第三主題部の前の金管はそんなに大きくは鳴らしませんでした。後半のホルンなどはかなり抑えて演奏しました。展開部などでもティンパニも控え目で、マーラーが指定している「力強く」とは違うような感じがします。コーダはかなり盛大に盛り上がりました。
四楽章、スクラッチノイズのようなチリチリとしたノイズも聞こえます。間接音をほとんど伴わないナローレンジの録音からは美しさを想像するしかなく、聞こえてくる音だけだと、すごく現実的で夢見心地とは程遠い演奏になります。ヴァイオリンの高音が痛いような感じがします。
五楽章、すごく抑えた音量で短く演奏するホルン。ファゴットも音が短い。この楽章では、金管もかなり激しく演奏しています。速めのテンポですが、ワルターの内面から溢れ出す感情をストレートにぶつけてくるような激しさがあります。この楽章は大熱演でした。
ワルターの思いのこもった演奏だったと思うのですが、録音の古さがいかんともしがたいところです。
ベルナルト・ハイティンク/アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団
★★★
一楽章、シャープな響きのトランペットのファンファーレ。朗々と鳴り響くホルン。冒頭の騒々しさから一転してとても静寂な主要主題。第一トリオでもシャープなトランペットの響きが印象的です。コンセルトヘボウ独特の美しく濃厚な色彩がとても良いです。第二トリオ冒頭の静寂感もすばらしい。
二楽章、ゆっくり目のテンポで一音一音描き分けるような冒頭でした。第二主題も静寂の中に響きます。潤いのある木管が美しい。展開部もゆっくり目のテンポで丁寧な演奏です。続くチェロの途切れがちの音型もすごい静寂感があります。再現部も荒れ狂うような強奏ではなく、抑制の効いた演奏です。極端な表現やテンポの動きはありませんが、コンセルトヘボウの深みのある美しい響きがとても心地良い演奏です。金管のコラールも鋭い響きでした。
三楽章、登場する楽器がくっきりと色彩感豊かに浮かび上がります。コンセルトヘボウは1970年代の響きが一番美しいと思います。テンポも動かさず自然体の演奏ですが、静寂感とオケの響きの美しさが際立った演奏です。展開部に入っても演奏を荒げることはありません。ホルツクラッパーも控え目でした。コーダも落ち着いたテンポで穏やかでした。
四楽章、かなりはっきりと入った冒頭です。音の動きもはっきりしていて、夢見るような幻想的な雰囲気ではありません。中間部に入っても音の変わり目がはっきりしているので、現実的な雰囲気です。内面から湧き上がるような共感は感じられませんでした。
五楽章、豊かな残響を伴ったファゴットが美しい。ゆっくりとした足取りで一音一音丁寧に演奏して行きます。軽々と鳴り響くホルン。トロンボーンが短い音で強く入って来ても、飛びぬけることは無く、全体の響きに包まれてフワッとした音です。クライマックスで他のパートとは明らかに音量の大きなトランペットが爽快ですが、テンポが一貫して遅く、スピード感が無いのがちょっと残念です。
美しい演奏でしたが、無難な安全運転と言う感じがしました。聴いていてドキドキするようなスリルなどは全くありませんでした。
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ダニエレ・ガッティ/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
★★★
一楽章、三連符を急がずに正確に演奏するトランペット。控え目なトウッティ。感情の込められた主要主題。マイクポジションのせいか、同じオケでもアバドの演奏の時の吹きまくるような金管ではありません。ゆったりとテンポも動きながら変奏される主要主題。第一トリオに入る前には少し間を空けました。主要主題はたっぷりとしていますが、トウッティはあっさりと淡白で涼しげな演奏です。第二トリオもあっさりとした表現です。
二楽章、非常に遅い序奏。ヴァイオリンの第一主題も遅く、マーラーの「最大の激烈さを持って」の指定とはいささか違う演奏になっています。第二主題はこの遅さがとても良い効果を出しています。とても微妙な表現もなかなか良いです。展開部の序奏でも金管はあまり前には出てきません。弱音部の静寂感はすごくあります。チェロの途切れがちの音型も微妙な歌があってなかなか聞かせます。再現部に入っても金管の強奏は意識して避けているような感じがします。金管のコラールもトランペットがヴェールをかぶったような控え目な響きです。最後もゆったりとしたテンポで刻み込むように弱音部を強く印象付ける演奏でした。
三楽章、奥まったところで響くホルン。アゴーギクを効かせたり、テンポを大きく動かして表現するようなことはありませんが、僅かにテンポを動かして微妙な表現をします。第二主題でも途中で少しだけ間を開けて歌いました。ガッティの演奏は弱音部がとても美しいのが特徴です。展開部へ入ってもオケは全開にはなりません。全体的に遅めのテンポでがなりたてることはなく、優雅な演奏です。コーダに入って急激にテンポを速めました。
四楽章、この楽章は少し速めのテンポです。弦は清涼感のある美しい響きですが夢見るような優しさではありません。とても現実的な音楽です。ここまでの楽章で弱音がとても良かったので、この楽章には期待したのですが、ちょっと裏切られたような感じがします。
五楽章、序奏でもテンポが動いています。再現部の前で急激にテンポを上げましたが、クライマックスはやはり抑えた感じで、金管が突き抜けてはきません。コーダも美しいクライマックスでした。最後はゆっくりとしたテンポから時間をかけてテンポを速めて行きました。
弱音部分は総じて美しい演奏でしたが、トゥッティの爆発が無く欲求不満になるような演奏でした。
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クラウディオ・アバド/ルツェルン・祝祭管弦楽団 2004年
★★★
一楽章、力強いファンファーレからこれまた力強いトゥッティ。注意深く、弱音で開始される主要主題。二度目のファンファーレは輝かしく艶のある響きでした。第一トリオはかなり余裕を持って演奏しています。そっと撫でるように柔らかく一体感のある第二トリオ。最後のファンファーレの前のトゥッティは巨大な響きでした。いつものアバドの演奏と同じく、極端な表現は無く、流れの良い演奏で、楽譜に書かれていることをストレートに表現しています。
二楽章、大きく暴れることの無い、落ち着いた序奏。第二主題もほとんど歌いません。展開部は序奏よりもフワッとした響きで柔らかい演奏でした。第二主題はとても静寂感があり、集中力の高さを感じさせます。とても美しい演奏なのですが、流れが良すぎて音楽の起伏があまり大きくなく、模範演奏を聴いているような退屈な感じがあります。
三楽章、無表情に演奏される第一主題。弱音でとても美しく演奏される第二主題。世界中から名人を集めただけのことはあり、響きはとても美しいですが、内面に深く迫って来るような演奏ではありません。ホルンも伸び伸びと鳴り響きます。
四楽章、弱音の美しさはこの演奏で特筆すべき点です。淡々と非常に美しい演奏が続きますが、どうしても演奏に浸ることができません。
五楽章、この楽章の冒頭は僅かにテンポが動いて歌いました。この楽章は今までの演奏とは違い楽しそうに歌っています。テンポも動いてとても有機的な音楽です。普段はあまり聞かれない、対旋律を強調したりして、この作品の違う一面を聴かせてくれます。表情も引き締まって、これまでの楽章の演奏とはかなり違います。トゥッティでの輝かしい響きもすばらしいです。
フィナーレはすばらしい演奏でした。しかし、そこまで至る楽章の燃焼度が低く無表情で、ただ美しく流れてしまったのが残念でした。
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ジョルジュ・プレートル/RAI国立交響楽団
★★☆
一楽章、詰まった三連符のファンファーレ。ゆったりとしたテンポで歌う主要主題。第一トリオはその前の静寂を破るようにダイナミックで激しい演奏です。主要主題には独特の節回しがあります。第二トリオの後怒涛の頂点でした。
二楽章、意外と柔らかい序奏。第一主題の周りを彩る楽器が激しい演奏をしました。静かな第二主題ですが、ここでも周りの楽器がとても主張します。展開部の序奏の動機はホルンも激しく、冒頭の柔らかさとは違いました。第二主題はゆっくりと静かに演奏されます。コラールは金管があまり前に出てこなくて、あまり輝かしい響きではありませんでした。
三楽章、楽しそうな第一主題。穏やかに歌う第二主題。多くの方が絶賛されているプレートルのマーラーですが、私には中途半端な演奏に聞こえてしまいます。深く感情移入するわけでもなく、また明晰な演奏でもなく、色彩感が豊かなわけでもなく、振幅の激しい演奏でもないので、何が良さなのか分かりません。
四楽章、消え入るような弱音から始まりました。夢見るような遥か彼方の世界へいざなってくれるような演奏です。テンポも動いて愛を深く表現しています。中間部はかなり現実世界へ引き戻された感じの演奏になります。次第に遠ざかって終りました。
五楽章、速いテンポの第一主題。第二主題もそのままのテンポで速めです。奥行き感が無く浅い音場感です。途中、テンポを落とす部分もありました。クライマックスでもオケを爆発させることは無く、抑制の効いた演奏です。コーダの前のクライマックスはテンポを落として大きな表現ですがやはりオケの絶叫は無く、かなり余裕のある演奏でした。
私には、プレートルの主張があまり分かりませんでした。何となく漫然と流れているような感じがしてしまいました。
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ヴァレリー・ゲルギエフ/ワールド・オーケストラ・フォア・ピース
★★
一楽章、輝かしいトランペットのファンファーレ。感情を内に込めたような抑えた表現の主要主題。脱力しているような穏やかな演奏です。トゥッティでもエネルギーを爆発させるような表現はありません。第二トリオも非常に静かです。穏やかで、静かな演奏でした。
二楽章、序奏も荒れ狂うような表現ではありません。第一主題はマットな響きでした。第二主題も非常に穏やかです。展開部は少しエネルギー感がありました。チェロの途切れがちの音型もとても静かでした。再現部でも第一主題に割って入るような金管を極力抑えているようで、マーラーの多彩なオーケストレーションを殺しているようにも感じます。違った見方をすれば、これまでの演奏様式とは全く違ったアプローチをしているとも言える演奏なのかも知れません。
三楽章、篭ったようなホルンの音で始まりました。木管の第一主題も感情を込めて歌うということはありません。展開部に入ってからも金管が絶叫するような場面は皆無です。テンポが動いたりアゴーギクを効かせるということもありません。コーダでやっと全開に近い音が聴けました。
四楽章、速いテンポであっさりと始まりました。音楽の深みに入り込んでは行かず、表面をなぞっているような感じがします。
五楽章、この楽章でもテンポもほとんど動かず、オケのエネルギーを抑えた演奏が続いています。
とてもあっさりした演奏でした。私には、ゲルギエフが意図したものは理解できませんでした。
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リボール・ペシェク/チェコ・ナショナル交響楽団
★★
一楽章、柔らかい表現のファンファーレ。主要主題の前はスタッカートぎみの演奏でした。二度目のファンファーレの後の主要主題は速めのテンポです。第一トリオはそんなに激しくはなく、大人しい冷静な演奏です。第二トリオは静寂な演奏でしたが、心に迫ってくるものは感じませんでした。
二楽章、音が短く詰まり気味に聞こえる金管の序奏。音がとても浅いところから出ているように感じる第一主題。非常に静かな第二主題。第二主題は美しく歌いました。展開部の第二主題も静寂感があり美しい演奏でした。再現部でも首が締ったような苦しい音のトランペットが気になります。
三楽章、ちょっと乱暴な感じを受ける冒頭のホルン。スタッカートが強調されている木管の第一主題。第二主題は美しいです。弦楽器を主体にした弱音部はとても美しいのですが、トゥッティでは固くなっているようなノイズを含んだような響きの浅い硬直した演奏になってしまいます。スタッカートが多用されています。ウッドブロックのようなホルツクラッパー。再現部のテンポは速いです。
四楽章、弦の息遣いがとても心地よい美しい演奏です。ゆっくりと揺られるような心地よさ。さすがにチェコの弦と言われるだけのことはあります。
五楽章、ここのホルンも非常に音を短く演奏します。テンポの速い第一主題には、抑揚が付けられています。ホルンの音が短く変にアクセントを付けたりするので、幼稚な演奏に聞こえます。クライマックスのトランペットの浅い響きにはがっかりさせられます。
基本的には客観的に作品のありのままを再現した演奏だったと思いますが、弱音の弦の美しさに対して、金管の強奏部分が全く魅力の無い響きだったのがとても残念です。また、ホルンが短く音を切って演奏した部分も不自然でした。
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ヘルマン・シェルヘン/フランス国立管弦楽団
★
一楽章、さらっとしたテンポであっさりと進むファンファーレ。第一トリオもすごく速いテンポで駆け抜けます。ホルンも早いパッセージはかなり怪しい。こんなに速いテンポの演奏は初めてです。第二トリオもすごく速いです。緩急の差はかなりあって、テンポを落とすところでは、しっかりとテンポを落として演奏しています。
二楽章、この楽章も異常に速いです。一転して第二主題はゆっくりとしたテンポで歌います。展開部に入ると突然、最初のテンポになりますが、かなりテンポ設定に無理があるように感じます。ここの第二主題も遅いテンポでたっぷりと歌います。再現部の第二主題は速いテンポのまま進みます。金管のコラールも速いテンポで、ちょっと滑稽な感じさえします。テンポの動きは非常に大きく、シェルヘンの感情のままに演奏されているようです。
三楽章、この楽章もかなり速いです。第二主題は非常に遅いです。この演奏は設計などは無く、シェルヘンの感情の赴くままに演奏されているような感じです。大胆なカットがあって、ホルツクラッパーの登場も無く、アッと言う間に終わりました。
四楽章、一転して非常に感情のこもった丁寧な演奏です。テンポも遅く、作品を慈しむような感じを受けます。透明感があって涼やかな演奏です。中間部はややテンポを速めたようですがそれでも揺れ動くような濃厚な表現です。
五楽章、ゆったりとした序奏ですが、第一主題に入るとまた速いテンポです。テンポは速いですが、豊かな表現です。この楽章も大胆なカットがあります。コラールの前は少しせわしない印象でした。
四楽章は非常に美しい演奏でよかったのですが、ほかの楽章はすごく速いテンポの演奏に違和感を感じました。また、大胆なカットもちょっと・・・・と言う感じです。
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