カテゴリー: ブルックナー:交響曲第6番名盤試聴記

ブルックナー交響曲第6番

ブルックナーの交響曲第6番は、彼の中でも独特な作品とされています。他の交響曲ほど頻繁に演奏されるわけではないものの、その独自の構成や力強い表現で、多くのファンを持つ作品です。

曲の特徴

  1. 力強いリズムと大胆なハーモニー
    第6番は、特に第一楽章のリズムが特徴的です。5拍目に強調が置かれたリズムパターンが繰り返され、曲全体に力強い動きを与えています。また、ブルックナー特有の厚みのあるハーモニーが各楽章で巧みに展開されています。
  2. 構造の複雑さ
    他の交響曲に比べて、より複雑で実験的な構成が見られます。特に、テンポの変化や和声の展開が非常に独創的で、ブルックナーの挑戦的な一面が感じられる作品です。特に展開部では、壮大なスケールでモチーフが展開され、聴衆を圧倒します。
  3. 他作品と異なるフィナーレ
    第4楽章はブルックナーにとって珍しく、比較的短く簡潔なフィナーレとなっています。他の交響曲では長大で重厚なフィナーレが多い中、第6番のフィナーレはさっぱりとしており、少し異質な印象を与えます。

各楽章の概要

  • 第1楽章: 力強いリズムと壮大な展開が印象的で、非常に力強い印象を与える。
  • 第2楽章: 穏やかで美しい旋律が特徴のアダージョで、感動的な雰囲気を持つ。
  • 第3楽章: スケルツォはユーモラスでリズミカルなパッセージが多く、躍動感がある。
  • 第4楽章: 比較的短く、明るく爽やかな締めくくり。

総評

ブルックナーの第6番は、彼の作品の中で異色でありながらも、ブルックナーらしい精神性や厚みが詰まった魅力的な交響曲です。

4o

クリスフ・エッシェンバッハ/hr交響楽団

★★★★★

一楽章、豊かな残響で深みのある第一主題。ホルンも美しい響きです。トゥッティも重厚で滑らかにブレンドされた美しい響きです。第二主題は華やかなくらいです。奥まったところから響くトロンボーンの第三主題。これも美しいです。ほとんどコンクリート打ちっ放しのような大聖堂で、とても豊かな残響です。ホルンもフルートも良く歌います。第一主題の再現も充実した響きで美しいです。途中にタメもありました。ティンパニも柔らかく良い響きです。コーダの途中で少しテンポを落としました。

二楽章、分厚い弦の響き。その中から浮き立つオーボエの第一主題。金管が入ってジワジワと盛り上がります。第二主題も美しいですが、深く祈るような演奏ではありませんでした。第三主題は、重く悲痛な表現です。

三楽章、速いテンポで、とても活発に動く第一主題。第二主題はとても伸びやかです。この演奏を生で聞いた人はこの響きに圧倒されただろうと想像します。

四楽章、とても不安げな弦。ホルンの第一主題もその他の金管のとても伸びやかです。第二主題の前で、極端にテンポを落として演奏する部分もありました。第二主題もテンポが動きます。このテンポの動きもとても良いです。穏やかな第二主題の再現。第三主題の再現はとてもスピード感があります。ゆったりと堂々としたコーダ。見事な演奏でした。

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ゲオルク・ティントナー/ニュージーランド交響楽団

ティントナー★★★★★

一楽章、重く唸るような第一主題。僅かに細身ですが、美しく響くホルン。とてもゆったりとしたテンポです。奥行き感もあり広々としたトゥッティ。繊細な響きで虚ろな雰囲気の第二主題。重厚な響きの第三主題。力強い第一主題の再現。コーダの前も丁寧にゆっくりとしたテンポで演奏します。コーダはゴムのようなティンパニの響きが気になりました。最後は大きくritしました。

二楽章、丁寧に演奏される弦。悲し気に歌うオーボエの第一主題。とても美しい第二主題。感情が込められて重く響く第三主題。金管の叫びも壮絶です。

三楽章、この楽章もゆったりとしたテンポでトロンボーンも伸びやかでした。中間部は少し速めのテンポです。奥行き感があってとても豊かな響きです。

四楽章、少し沈んだ弦。その後ホルンや金管が咆哮します。優しい第二主題。トゥッティの響きは広大でスケールが大きいです。第三主題はあまり推進力を感じません。コーダーもゆったりとしたテンポで伸びやかな鳴り響きました。

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ヨーゼフ・カイルベルト/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

カイルベルト★★★★★

一楽章、芯の強いヴァイオリン。浅い第一主題。ヴァイオリンは強くなったり弱くなったりします。とても力強いトゥッティ。弦の表現はとても豊かです。ゆったりと夢見るような第二主題。堂々としてスケールの大きな第三主題。第一主題の再現はとても明るく力強い。湧き上がるような豊かさを感じる演奏です。第三主題の再現も非常に力強い。ティンパニが少し詰まり気味の音です。

二楽章、深く沈んでいくような弦。割としっかりしているオーボエの第一主題。金管はかなり強く吹きますが、この演奏には良く合っています。伸びやかな第二主題。暗く重く引きずるような第三主題。

三楽章、落ち着いた弦の刻み。とても良く鳴る金管。この頃のベルリンpoは最も状態が良かったのではないかと思います。中間部のホルンも表現力豊かです。軽々と良く鳴る金管が素晴らしい。

四楽章、憂鬱な弦。とても力強いホルンの第一主題。金管の鳴りっぷりは素晴らしいです。あまり揺れずにしっかりと地に足の付いた第二主題。あまり前には進まない第三主題。コーダの前はゆっくりからテンポを速めました。コーダはベルリンpoの底力を見せつけるような凄い響きでした。

素晴らしい演奏でした。

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朝比奈 隆/大阪フィルハーモニー交響楽団

★★★★★

一楽章、十分に重量感のある第一主題。ブレンドされた美しい響きです。柔らかく伸びやかな第二主題。弱音部も丁寧で手を抜くようなことはありません。第三主題は荒々しいことは無く丁寧です。トゥッティでのチューバが絶妙なバランスでとても充実した響きです。コーダのトランペットのハイトーンも奥から突き抜けて来ます。

二楽章、ほの暗い雰囲気の弦。細く悲し気に響くオーボエの第一主題。第二主題は流麗で美しい。感情を込めて切々と歌う部分は感動的です。重く引きずるような第三主題。この感情に訴えかける表現は素晴らしい。

三楽章、トロンボーンが充実した響きです。木管も弦も引き締まったアンサンブルです。中間部の前の金管も切れの良い響きです。優しい弦。

四楽章、不安げですが、意外と地に足が付いている弦。ホルンの第一主題に絡むトランペットもとても状態が良いのか、素晴らしい響きです。割と落ち着きのある第二主題。チューバの存在感がとても大きく、充実した響きを生み出しています。コーダのトロンボーンも見事に鳴っていて堂々とした演奏でした。

エリアフ・インバル/フランクフルト放送交響楽団

インバル★★★★★

一楽章、伸びやかな第一主題。ホルンも奥行き感があります。整って美しいトッゥティ。ゆったりとしたテンポで美しい第二主題。第三主題もゆっくりですが、豊かな響きと奥行き感のある良い響きです。第一主題の再現も力強くしかも美しい。第三主題の再現も堂々としています。輝かしいコーダも見事でした。

二楽章、わりとあっさりとしている弦。オーボエが入ると悲壮感が漂います。第二主題も美しく流れますがあまり感情移入されている感じはありません。悲しみがこみ上げるような第三主題。

三楽章、見事に鳴るトロンボーン。めまぐるしい楽器の動きも見事です。中間部のホルンもとても伸びやかです。

四楽章、あっさりとした弦。第一主題もあまり激しくはありません。第二主題はやはりあっさりとしています。濃厚なトゥッティと対比しているようです。とても落ち着いた第三主題。全体的にゆっくりとしたテンポです。コーダのトロンボーンも嬉しくなるほど見事な鳴りようでした。

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セルジウ・チェリビダッケ/ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団

★★★★★

一楽章、柔らかく深みのある第一主題。柔らかくブレンドされた響きです。チェリビダッケ特有の極端に遅いテンポではありません。色彩感には乏しい第二主題。第三主題はあっさりとした表現であまり重量感はありません。展開部でも異様な遅さでは無く、待ち切れなくなるようなことはありません。透明感があって切れのいい響きなのですが、分厚い響きでは無く、低域があまり感じられない薄い響きです。

二楽章、感情の込められた弦。弦の波の中から訴えかけるオーボエの第一主題。第二主題はとても美しい。切々と祈りの音楽です。第三主題は重く悲しい。打ちひしがれた末に呆然とするような悲しさがあります。とても美しい演奏です。トランペットも悲痛な叫びです。

三楽章、積極的で動きのある主部。木管の表情も厳しいです。トッティは少し薄いですが、充実した響きです。中間部のホルンはとても明るい響きです。主部が戻ってとても切れ味の良いトロンボーン。微妙な強弱の変化もとても良く訓練されている感じです。

四楽章、不安でうつろな弦。鋭く強い第一主題。踊りたい気持ちをグッと抑えるような第二主題。金管が強奏しても余裕があって美しい響きです。コーダは伸びやかなトロンボーンが美しい演奏でした。

フアンホ・メナ/BBCフィルハーモニック

メナ★★★★★

一楽章、唸るような第一主題。クッキリとしたホルン。ティンパニの強打。強いトランペットのトゥッティ。とても濃厚な色彩感です。切々と歌う第二主題。密度が高く濃厚でキラキラと光を放っています。あっさりとしていた第三主題。重厚な第一主題の再現。激しいティンパニと輝かしいコーダ。

二楽章、豊かに歌い深みのある弦。強い色彩で美しい第二主題。少し重い雰囲気になりますが、やはり美しい第三主題。奥から訴えて来るトランペット。

三楽章、反応の良いオケ。鋭い切れ味の金管。豊かな残響に響く中間部のホルン。トゥッティは見事な響きです。

四楽章、かなり速いテンポの弦。第二主題も速めで躍動感があります。コーダのトロンボーンはあまり強くありませんでしたが、鋭いトランペットと良く鳴るティンパニが良かったです。

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ヘルベルト・フォン・カラヤン/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

カラヤン★★★★☆

一楽章、遠くで唸る第一主題。颯爽としたテンポで進みます。トゥッティは若干テンポを落として壮大です。第二主題はあまり雰囲気が無く、テキパキと仕事を片付けるやり手社員のような印象です。洗練された美しい響きです。第三主題も都会的でブルックナーの自然は感じません。素朴なブルックナーのイメージとはかなり違う都会的で洗練された華やかな演奏です。コーダの響きも鋭利です。

二楽章、一転して、良い流れで悲し気なオーボエの第一主題。この楽章はとても丁寧です。第二主題も感情が乗っていて音楽に浸ることが出来ます。第三主題もゆっくりと悲しい葬送行進曲で切々と訴えかけて来ます。金管も悲痛な叫びです。夢見るように終わりました。

三楽章、とても振幅の大きな主部です。見事に鳴り響く金管。中間部のホルンは明るくあまりふくよかではありません。

四楽章、演奏に慣れて来たのか、1楽章で感じた都会的な印象はありません。第二主題はとても優しい演奏です。こだまするように見事に受け継がれる第三主題。第三主題以降はとてもゆったりとしたテンポで堂々とした演奏です。第二主題の再現も優しく美しい。強力な響きの中に埋もれるのうなトロンボーンの第一主題で終えました。

一楽章があまりにも都会的だったのが残念です。

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スタニスワフ・スクロヴァチェフスキ/ザールブリュッケン放送交響楽団

スクロヴァチェフスキ★★★★☆

一楽章、遠くて浅い響きの第一主題。柔らかいトッゥティ。別に動くホルンがはっきりと聞こえます。儚い雰囲気の第二主題。とてもゆったりとしていて味わい深いです。第三主題もマイルドな響きで暴力的ではありません。第一主題の再現もあまり重厚な響きでは無く、柔らかく穏やかです。テンポや音量の変化などがありました。コーダはティンパニは控えめでトランペットが突き抜けて来ます。

二楽章、あまり大きな表情は無い弦。ゆっくりと虚ろなオーボエの第一主題。ゆっくりととても感情のこもった第二主題。第三主題も感情が込められた良い演奏です。天上の音楽のような美しさ。この楽章はこの演奏が最も素晴らしいと感じました。

三楽章、奥まったトロンボーン。トランペットが強かった。金管にあまりパワーを感じません。ゆったりとした中間部のホルン。金管があまり炸裂しない代わりに弱音の柔らかく美しい演奏はとても良いです。

四楽章、あまり表情の無い弦。ホルンの第一主題もあまり力強くはありません。第二主題は微妙なテンポの動きがあります。金管は強く吹いてもあまり音圧となって迫って来ません。コーダはトロンボーンが叫ぶ手前でテンポを落として広大なスケールで終わりました。

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オットー・クレンペラー/ニュー・フィルハーモニア管弦楽団

★★★★☆

一楽章、とてもゆっくりとしたテンポで始まる第一主題。堂々とした佇まいのトゥッティ。慈しむような第二主題。ヨッフムの録音と近い年代ですが、こちらの録音はとても潤いがあって伸びやかです。金管が強奏しますが、荒くは無く堂々としている第三主題。ゆったりとした第一主題の再現も余力があってスケールの大きな表現です。コーダも素晴らしい響きの演奏でした。

二楽章、一楽章から一転して、普通のテンポです。少し速いくらいかも知れません。深く沈む弦。哀愁に満ちたオーボエの第一主題。金管も入って振幅の大きな演奏です。第二主題はあっさりと演奏します。引きずるように重い第三主題。自然に高揚する金管。ブルックナーらしい素朴な雰囲気があります。

三楽章、控えめのトロンボーン。モヤーッとした響きからトランペットが突き抜けて来ます。木管も生き生きとした表現です。ふくよかなホルンは次第に強くなります。

四楽章、あまり悲観的では無く、比較的落ち着いている弦。ホルンはあまり咆哮せず、トランペットの方が強いです。でも充実した響きです。揺れ動くような第二主題。第三主題はあまり前へ進みません。コーダはもっとスケールの大きな表現が欲しかった。

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ケント・ナガノ/南西ドイツ放送交響楽団

ナガノ★★★★☆

一楽章、静かに演奏されますが、唸りを上げるような第一主題。シルキーで充実したトゥッティ。方々へ散らばるような第二主題。おおらかな第三主題。金管での第一主題の再現も伸びやかで美しい。途中で一旦音量を落としました。コーダのティンパニは少し浅い響きですが、全体としては伸びやかで美しい響きです。

二楽章、感情は込められていますが、深くのめり込むような表現ではありません。第二主題も美しい演奏です。重くはなりますが、音楽は自然に流れる第三主題。

三楽章、透明感のあるトロンボーン。美しく鳴るオケです。牧歌的な雰囲気がとても良く表現されたホルン。

四楽章、薄くモヤがかかったような弦の中にくっくりと浮かぶ表情豊かなホルンの第一主題。涼やかな第二主題。弱めに入ったコーダ。あまり突き抜けず、若干短めに演奏されたトロンボーン。

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ゲオルグ・ショルティ/シカゴ交響楽団

ショルティ★★★★

一楽章、遠くて軽い第一主題。見事に鳴り響くブラスセクション。あっさりとした表現の第二主題ですが、サラッとした弦も美しいです。木管もピンポイントに定位して美しいです。第三主題は速めのテンポですが、ここでも見事に鳴り響く金管。鍛え上げられたアンサンブルの精度は他の演奏とは一線を画すものです。ショルティのブルックナーは甲高い響きでブルックナーには全く合わないと思っていましたがこの演奏ではとても良い響きに聞こえます。ゆったりとしたテンポで堂々としたコーダ。金管は本当に素晴らしい。

二楽章、最初の弦はあまり大きな表現はしません。悲し気なオーボエの第一主題。第二主題もあっさりとしていて深みがありません。第三主題は、とても大切な物を扱うような注意深さで、重く美しいです。

三楽章、目の覚めるような響きのトロンボーン。切れ味抜群のトランペット。オケの上手さでは群を抜いています。中間部はゆったりと伸びやかなホルンでとても良い表現です。

四楽章、独特な表現で弱々しい弦。とても力強いホルンに続く金管も非常に力強い。とにかく見事な響きです。第二主題は特に表現は無く、この演奏では弦の部分はほとんど表現は無い感じです。木目細かくシルキーな金管の響きは本当に素晴らしいです。第三主題はあまり前には進みません。大きなテンポの動きがあってコーダに入りました。トロンボーンの第一主題かせ少しゆっくりになりました。

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ヘルベルト・ブロムシュテット/ドレスデン国立歌劇場管弦楽団

ブロムシュテット★★★★

一楽章、速めのテンポでとても表情豊かな第一主題。強い推進力があります。トゥッティでは少し響きが奥まるような感じがします。第一主題とは一転してゆったりとした第二主題。何とも言えない良い雰囲気です。デッドな感じの第三主題。第一主題の再現はやはり速いテンポでとても力強いです。第三主題の再現は暴力的な感じです。コーダも非常に力強い演奏でした。

二楽章、物思いにふけるような弦。割としっかりと地に足の付いたオーボエの第一主題。あっさりとした第二主題。尾を引くように引きずられる第三主題。金管が奥から鳴り響いて壮絶な響きになります。表現の豊かな演奏でした。

三楽章、トロンボーンがかなり奥まっています。木管は少し緩い感じです。中間部のホルンは音を短めに演奏します。

四楽章、速いテンポの弦。ホルンは強めですが、他の金管とブレンドした響きになりません。テンポの動きはありますが、淡々とした第二主題。コーダもトロンボーンがとても奥まっていてバランスが悪いです。コーダはかなりテンポが速くなりました。

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ヴォルフガング・サバリッシュ/バイエルン国立管弦楽団

サバリッシュ★★★★

一楽章、大きく歌う第一主題。ホルンも豊かな表現です。残響も豊かです。トゥッティは鋭いトランペット。第二主題も豊かな響きで美しい。第三主題は速めのテンポでスッキリとしています。第一主題の再現も速めのテンポですが、充実した響きです。透明感があってサラッとした演奏です。コーダもかなりテンポが速い。ティンパニはポコポコと言う音。

二楽章、感情のこもった弦。悲しく歌うオーボエの第一主題。第二主題も感情が込められて良い演奏です。第三主題もとても美しい。ホルンも豊かな表現で、とても良く歌う演奏です。

三楽章、控えめなトロンボーンですが、残響は美しい。フルートも豊かな響きで美しいです。中間部も豊かな響きでとても美しいです。

四楽章、表情豊かな弦。あまり咆哮しないホルンの第一主題。テンポの大きな動きもありました。ここでも丁寧に歌う第二主題。コーダは抑え気味であまりスケールの大きな感じがしませんでした。

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ギュンター・ヴァント/NDRエルプフィルハーモニー管弦楽団

★★★

一楽章、重く深みのある第一主題。ホルンは細いです。トゥッティはシャープな響きです。うつろな第二主題。色彩感は豊かです。第三主題は荒々しくは無く、とても落ち着いた表現です。トゥッティで低音域があまり響かないので、重量感がありません。第一主題の再現部で、ティンパニの3連符を含むリズムがトム-トムのようなポコポとした響きであまり釜が鳴っていない感じで違和感がありました。他の演奏では聞こえなかったオーボエが聞こえたり細かいこだわりがあります。テンポや音量の変化もあり聞き所があります。美しく朗々と響くホルン。コーダのティンパニは特にポコポコとした響きで作品に全く合っていないと思います。

二楽章、良い雰囲気のたたずまいです。ひたすら祈るような第二主題です。感情も込められた良い演奏です。

三楽章、ここでのティンパニのロールは釜も鳴っていて良い音でした。トランペットがシャープです。中間部のホルンも明るい響きです。木管も動きがあって生き生きとしています。

四楽章、弦の中に、普段聞こえない木管が聞こえます。第二主題も微妙にテンポが動いています。第三主題はあまり推進力は感じられず落ち着いています。ティンパニのロールは良いのですが、最後の1発が詰まったような響きでどうしても好きになれません。コーダのティンパニのロールもボコボコとした響きで、全体の演奏は良かったと思いますが、ティンパニが曲を壊したような感じがします。

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ベルナルト・ハイティンク/ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団

ハイティンク★★★

一楽章、静かに演奏される第一主題。トゥッティへ向けてテンポを速めます。ヴァイオリンが強いトゥッティ。第二主題も速めであまり味わい深い演奏ではありません。全体に速めのテンポでサクサク進みます。金管は伸びやかで美しいです。コーダも充実した金管の響きは素晴らしいです。

二楽章、思案に暮れるような弦。ゆっくりとしたテンポで美しいオーボエ。第二主題はあまり大きな表現はしませんが作品に語らせるような演奏で美しい。あっさりとした表現ですが、作品からにじみ出る悲しさがあります。

三楽章、威勢のいいトロンボーン。中間部のホルンも豊かな響きです。金管の鳴りは見事です。

四楽章、あまり表情の無い弦。濃厚な金管。トゥッティの手前で大きくテンポを落としました。第二主題もあっさりとした演奏です。畳みかけるような第三主題。コーダはあまり充実した響きではありませんでした。

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オイゲン・ヨッフム/バイエルン放送交響楽団

★★★

一楽章、録音が古いせいか音の密度が薄い感じがします。第一主題のトゥッティは少し荒々しい感じで乱暴に感じました。第二主題も密度が薄い。第三主題も響きが浅く重厚感がありません。第一主題の再現もしっとりとした落ち着きが無く、全体に雑な印象です。

二楽章、渦巻くような弦の第一主題と悲痛なオーボエの第一主題。弦の木目は荒いですが、丁寧に祈るような第二主題。第三主題も重く悲しい雰囲気がなかなか良いです。

三楽章、この楽章では、金管は乱暴ではありません、とてもシャープな響きです。木管も生き生きとしています。中間部のホルンはデッドで伸びがありません。

四楽章、しっかりと地に足が付いた弦。ホルンがやはりデッドで伸びやかではありません。ヨッフムらしい大きなテンポの動きもありました。録音がデッド過ぎて、音に滑らかさが無く、音も溶け合わないので、マスとしての美しい響きにならず、浅い響きになってしまっているのがとても残念です。録り方によってきかなり印象が変わったのではないかと思います。コーダは速いテンポです。

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ブルックナー交響曲第6番2

ダニエル・バレンボイム/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

バレンボイム★★

一楽章、とても表情のある第一主題。木管もクリアーです。横に広がるようなトゥッティであまり重厚感はありません。第二主題は淡白です。弦も美しいです。第三主題は音量を変化させる部分もありましたが、とても軽い響きでブルックナーとは思えません。コーダもかなり腰高です。テンポの動きもありますが、あまり魅力のある演奏ではありません。

二楽章、たっぷりと表現される弦。悲痛さは無く、普通に演奏されるオーボエ。整然としていて美しい第二主題。重く悲しい第三主題。

三楽章、スッキリとした響きのトロンボーン。とても精緻なアンサンブルなのですが、低音域がとても薄い。中間部に入ってもクリアーで精緻な響きはとても見事です。

四楽章、不安な雰囲気のある弦。第二主題は特に表情はありません。コーダは特にトロンボーンが突き抜けてはきませんでした。

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マリス・ヤンソンス/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

ショルティ★★

一楽章、ほの暗く重い第一主題。ふくよかなホルン。リミッターがかかったようにトゥッティが前に出て来ません。奥ゆかしい表現の第二主題。第三主題も金管が奥まってしまって、ダイナミックの変化がほとんど無く平板です。ウィーンpoらしい濃厚な色彩感もあまり感じられません。音色からするとかなり強く吹いているようですが、実際の音圧にはならないコーダ。

二楽章、とても悲しい第一主題。テンポの動きはありますが、淡々と進む第二主題。重く暗い悲しみがこみ上げる第三主題。それにしても録音年代が新しいにもかかわらず、この録音状態は何ななんでしょう。

三楽章、速めのテンポです。この奥まったトロンボーンが何とも言えない不満に感じます。ゆったりしたテンポでふくよかなホルンはとても良い雰囲気です。

四楽章、テンポは大きく動く第一主題。第二主題も録音のせいなのか枯れた響きで色彩感がほとんどありません。落ち着いた第三主題。やはりトロンボーンが全く前に出てこないコーダ。

せっかくの演奏を録音が台無しにしたような印象でした。

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シモーネ・ヤング/メルボルン交響楽団

ヤング★★

一楽章、速いテンポで大きく歌う第一主題。トランペットが奥まっていて、ヴァイオリンが良く聞こえるトゥッティ。第二主題も速めのテンポで、あまり味わいがありません。オケの響きも艶やかで美しいのですが、何となく流れて行く感じで、聞かせどころが無い感じです。リミッターが掛かったようにトゥッティの音量が大きくなりません。第三主題の後もかなりテンポが速くなります。テキパキと仕事をこなして行くキャリア・ウーマンのようで、ブルックナーらしい素朴な雰囲気に欠ける演奏です。コーダも都会的に感じました。

二楽章、大きな表現の弦。オーボエは明瞭です。第二主題も大きめの表現で、作品から滲み出るような深みがありません。第三主題もはっきりとした表現です。

三楽章、やはりトゥッティで音が引っ込むような不自然さがあります。とてても活発に動くのはとても良い表現で、作品に合っています。ゆったりとしたホルンが朗々と歌い、なかなか良い中間部。

四楽章、この楽章も速いテンポです。テンポのせいもあると思いますが、何か流れ作業のような感じがします。第二主題も表現が大きく、奥ゆかしさが無く、幼稚な感じがします。コーダき気持ちよく鳴り響くトロンボーンでした。

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ラファエル・クーベリック/バイエルン放送交響楽団

★★

一楽章、少し速めのテンポで力強い第一主題。トゥッティに向けて畳みかけます。とても歯切れの良い演奏です。第二主題も速めでじっくりと音楽を味わうような雰囲気にはさせてくれません。とても軽く速い第三主題。とても良く金管を鳴らす演奏で、テンポの動きもありますが、全体に騒々しい演奏です。コーダもかなり速いテンポで畳みかけます。

二楽章、深みのある弦に悲し気なオーボエの主題が乗ります。第二主題はあまり感情が乗らずあっさりとした印象です。第三主題はとても悲痛で重い雰囲気が良く出ています。感情を込めて強く押す部分もありました。

三楽章、この楽章は中庸なテンポです。木管の表現は引き締まった感じではありませんでした。中間部は共鳴する周波数があるようで、ホルンが強く鳴ったりする音があります。

四楽章、割と安定感があってあまり不安げでは無い弦。第二主題の前に、急にテンポを落とす部分もあります。第三主題はその場にいて、あまり強い推進力は感じません。客席には観客がおらず、放送用の収録だったのか、ライヴ独特の盛り上がりも無く、特に惹かれる演奏ではありませんでした。

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チョン・ミョンフン/ザールブリュッケン・カイザースラウテルン・ドイツ放送フィルハーモニー管弦楽団

チョン★★

一楽章、割と速めのテンポで提示される第一主題。左チャンネルしか音が出ていません。ゆったりと歌たう第二主題。録音もあまり良くは無く、かなり荒れた音です。第三主題は軽い響きです。第一主題の再現ではあまり音圧を感じない奥まった響きです。コーダのトランペットは力強い。

二楽章、深く歌う弦。オーボエに悲痛な雰囲気はありません。あっさりとしていてあまり表情の無い第二主題。ゆっくりととても悲しい第三主題。

三楽章、速めのテンポです。トロンボーンはかなり奥でほとんど響いて来ません。続く木管もあまり敏感な強弱の付け方ではありません。とてもゆったりとして、朗々と歌う中間部。

四楽章、あまり表情の無い弦。力強さのあまり無いホルンの第一主題。金管の部分で大きくテンポを落としました。第二主題はとてもあっさりとしています。第三主題も推進力は感じません。片チャンネルしか音が出ていないこともあり狭い音場感で、ブルックナーらしい広大で重厚な雰囲気はありませんでした。

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リッカルド・ムーティ/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

ムーティ★☆

一楽章、静かなヴァイオリンの刻み。あまり重量感の無い第一主題。ゆったりとしたトゥッティ。第二主題は淡白であまり主張が無いように感じました。第三主題は強烈にオケを鳴らさず穏やかです。テンポが大きく動いて第一主題の再現になりました。コーダのティンパニもウィーンpo独特の羊皮の音です。

二楽章、大きく歌う弦。悲し気なオーボエの第一主題。第二主題はかなりあっさりとしています。第三主題も重く引きずるような感じは無く、あっさりとしています。

三楽章、かなり速めの主部。ふくよかなホルンの中間部ですが、やはりあっさりとした演奏で、作品への思い入れがあまり感じられません。

四楽章、この楽章も速いテンポです。ホルンの主題は鳴り切らない感じがあります。テンポが大きく動く部分もあります。弦だけで演奏される部分がとてもあっさりしていて、魅力に欠けます。コーダもオケを咆哮させることも無く、全体にあっさりとしていて、強い主張の無い演奏でした。

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ロベルト・パーテルノストロ/ロイトリンゲン・ヴュルッテンベルク・フィルハーモニー管弦楽団

一楽章、豊かな残響の中に浮かぶ第一主題。間接音が多いので、音が繋がって聞こえます。ゆったりとした第二主題。豊かな残響の割には腰高な響きです。第三主題も低音が薄い感じです。展開部はぎこちない感じがします。トランペットの第一主題の再現も力強さがありません。とにかく腰高でブルックナーらしい響きではありません。コーダではティンパニがポコポコと独特の響きで、全体の一体感もありません。

二楽章、この楽章はわりと穏やかでバランスの良い演奏です。第二主題はあまり伸びやかではありません。

三楽章、ティパニが膨らんでトロンボーンが凄く奥まっていてあまり聞こえません。フルートの表現にも厳しさが無く、緩い表現です。大聖堂に響く残響は凄いです。中間部のホルンも尾を引く残響は素晴らしいです。

四楽章、残響が長いのにオケの響きに潤いが無い感じで少し不思議な演奏です。演奏が軽く、ブルックナーらしい重量感がありません。コーダもバラバラな感じで充実した響きではありませんでした。