カテゴリー: ブルックナー:交響曲第2番名盤試聴記

ブルックナー交響曲第2番

ブルックナーの交響曲第2番は、彼が独自の交響曲スタイルをさらに深めていく中で作曲された、力強さと抒情性が巧みに融合した作品です。1872年に完成し、彼の交響曲の中で最初に「ブルックナーらしい」要素が明確に見られる作品とされています。この交響曲は、特にブルックナーの宗教的・精神的な側面が表れており、壮大なスケールと厳粛な響きが特徴です。

交響曲第2番の特徴と楽章構成

ブルックナーの交響曲第2番は、4つの楽章から成り、後の作品にも見られる特徴的なブルックナー節(強いコントラスト、長い休符、自然的で荘厳な雰囲気)が既に感じられます。また、「休符の交響曲」とも呼ばれるように、独特の静寂や間(ま)が多用され、ドラマチックな展開を生み出しています。

  1. 第1楽章:モデラート
    第1楽章は、ブルックナー特有の壮大な主題で始まります。重厚でゆったりとしたテンポの中に、劇的な要素と厳粛さが入り混じり、自然の壮大さや神秘を感じさせます。静かなパッセージの後に力強いクライマックスが訪れる構成で、彼の後期の交響曲に通じる手法が見られます。
  2. 第2楽章:アンダンテ
    第2楽章は、静かで抒情的なアンダンテです。ブルックナーらしい、深く穏やかな旋律が印象的で、信仰心や精神的な安らぎが表現されています。この楽章には、ブルックナーの穏やかな宗教的世界観が投影されており、内省的で癒しの要素が感じられます。
  3. 第3楽章:スケルツォ(モデラート)
    第3楽章は、エネルギッシュなスケルツォで、ブルックナーの作品の中でも特にリズミカルで力強い楽章です。ここでは舞曲のようなリズムが使われており、力強いアクセントと素朴な美しさが織り交ざっています。中間部(トリオ)では一転して穏やかで美しい旋律が奏でられ、楽章全体に対比が生まれています。
  4. 第4楽章:フィナーレ(ズュステナント)
    最終楽章は、壮大なフィナーレで、ブルックナーらしい力強いクライマックスが特徴です。激しい情熱と静寂が交互に現れる構成で、壮大さと緊張感が増していきます。多層的な主題が絡み合い、最後には力強く荘厳な結末を迎えます。

全体の印象と位置づけ

ブルックナーの交響曲第2番は、彼の個性が顕著に表れた初期の大作であり、後の大規模な交響曲群の礎を築いた作品です。この作品には、自然や神への畏敬が込められており、聴衆に対して深い感銘を与える壮大な音楽が展開されています。また、休符を多用した構成により、独特の間の取り方や静寂の美しさが強調され、ブルックナーの独特な音楽的世界が示されています。

第2番は、交響曲第1番に比べて彼らしい特徴が明確に表れ、ブルックナーのスタイルが確立され始めた作品といえるでしょう。そのため、この交響曲第2番は、後のブルックナーの交響曲群の予兆を示し、彼の作曲家としての成長を知るために重要な位置を占めています。

4o

朝比奈 隆/大阪フィルハーモニー交響楽団(ハース版)

★★★★★

一楽章、サラットした響きで、ゆったりとしたテンポの第一主題。録音は良くどの楽器もくっくりと浮かび上がります。第二主題も爽やかです。第三主題も落ち着いたテンポで力みの無い自然な演奏です。自然で奇をてらうようなようなところが全く無いので安心して音楽に身をゆだねることが出来ます。金管も伸びやかに良く鳴ります。ゆっくりとした足取りでとても安定感のある演奏です。

二楽章、この楽章も遅めのテンポでしみじみと歌うA。ふくよかなホルン。作品の良さをじっくりと味わえる演奏です。力みが無く伸びやかなクライマックス。ベネディクトゥスも大きな表現ではありませんが自然な歌です。

三楽章、とてもゆっくりとしたスケルツォ主題。テンポが遅いの荒々しくは感じません。洗練された木管の美しい響き。あまり揺れず堅実なトリオ。

四楽章、この楽章もゆっくりとしていて確実に進みます。重量感のある第一主題。ゆらゆらと涼やかで穏やかな第二主題。集中力のある弱音。トロンボーンも統制が取れていて美しです。堂々としたコーダ。最後のティンパニのクレッシェンドも素晴らしかった。
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パーヴォ・ヤルヴィ/NDRエルプフィルハーモニー管弦楽団

(1877年版)

★★★★★

一楽章、少し速めのテンポで明確に表現する第一主題。第二主題も他の指揮者とは違う明快な表現です。第三主題も明快で、スパッと歯切れよく前へ進む力があります。小結尾主題は少しテンポを落として滑らかな演奏です。一つ一つの楽器が立っていて色彩感も濃厚です。豊かな表現なのに、クリアーで見通しの良い響きが印象的です。オーケストラ全体を良く鳴らしています。

二楽章、しっとりとした響きでたおやかな歌です。途中で音を短めに演奏する部分もありました。とても活き活きとしていて良い演奏です。ゆっくり目で芯のしっかりとしたホルン。木管も切々と訴えかけて来ます。余力を残したクライマックスでした。ベネディクトゥスの引用もくっきりとしています。コーダの消え入るような弱音も美しい。

三楽章、速めで活発な表現の主部。テンポが動きます。トリオはとてもゆっくりとしたテンポで表現豊かな演奏でヤルヴィの表現に引き込まれます。

四楽章、ゆっくり目で表情もあり、一音一音丁寧に演奏します。第一主題は少しスピード感のある演奏で、強弱の変化もあります。さっそうと活発な第二主題。展開部でも勢いのある第一主題です。ヤルヴィならではの表現が随所にあって、最近の指揮者に共通するような楽譜に忠実で没個性な演奏とは一線を画す表現は素晴らしいです。コーダの前でもほとんどテンポを落としませんでした。と言うより若干速くなった。明るく輝かしいコーダでした。

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エリアフ・インバル/フランクフルト放送交響楽団(1877年稿)

★★★★☆

一楽章、少し遠目で温度感の低い響きです。金管も遠くから鋭く響きます。トゥッティは豊麗な響きです。静かで淡々としている第二主題。ブルックナーにしてはトランペットが鋭すぎるような感じがします。あまりに洗練されて都会的です。ゆったりとした小結尾主題。全体に積極的に歌ったり表現したれはせずに作品に任せている感じです。

二楽章、伸びやかで美しいですが、大きな表現はありません。ダイナミックレンジもとても広く弱音でもとても伸びやかで美しいです。クライマックスのトランペットも壮絶で見事な響きです。

三楽章、軽快に美しく進み、粗野な感じはあまり無く、洗練されています。木管が瑞々しく美しいです。トリオも滑らかで美しいです。精密機械のように緻密に組み合わされている感じで、洗練の極みです。

四楽章、第一主題は華やかなくらいの輝かしい演奏です。第二主題はテンポの動きもあって柔らかい表現です。感情は排して作品の良さをそのまま伝えようとする演奏です。少し腰高な響きではありますが、力まずに伸び伸びとした響きは抗しがたい魅力があります。コーダは颯爽としたテンポで少し追い込むような感じで、輝かしく終わりました。
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カルロ・マリア・ジュリーニ/ウィーン交響楽団(1877年版)

★★★★☆

一楽章、とても表現豊かな第一主題。一音一音魂が込められているような凄みがあります。トランペットは奥まったところから響きます。第二主題も美しい歌です。第三主題の強弱の振幅も大きく一音一音丁寧です。ふくよかですが、高揚すると激しいホルン。フレーズを一まとめにせず一音一音に神経が行き届いているのが凄いです。

二楽章、大きな表現ではありませんが、滲み出て来るような表現です。柔らかく美しいホルン。広々としたクライマックス。柔らかく始まって、トランペットのハイトーンが鋭く響きました。

三楽章、一音一音明確に弾き分けるスケルツォ主題。ブルックナーのスケルツォらしく金管が暴力的に入って来たり、強弱の変化があったりします。あまり揺れずにはっきりと演奏されるトリオ。

四楽章、第一主題にちょっと間があったり独特の表現です。少し速めですが、うねるように波打つ第二主題。微妙なテンポの動きもあります。再現部に入る前にも大きくテンポを落としました。速めのテンポであっさりとコーダが終わりました。

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オイゲン・ヨッフム/シュターツカペレ・ドレスデン

★★★★

一楽章、少し遠目から豊かな残響を伴った第一主題。くすんだトランペット。線が細く薄い響きのヴァイオリン。第二主題も自然な歌です。推進力のある第三主題。小結尾主題も余裕のある自然体です。展開部ではビブラートを掛けるホルンが印象的です。再現部へ入る前に少しテンポを落として行くところはとても良い雰囲気がありました。自然体で暖かい演奏です。

二楽章、ここでも暖かくまろやかな響きです。残響を伴って包み込まれるようなBですが、やはりホルンのビブラートが少し気になります。二度目のAは切々と訴えて来ます。控えめですが、広大なクライマックス。ベネディクトゥスの引用はクライマックスとは対照的にとても小さくまとめられています。

三楽章、ゆったりとしたテンポで一音一音確実に演奏しています。滑らかなクラリネット。トリオもゆったりとしていて、厚みのあるビオラです。

四楽章、冒頭の細かい動きで少し加速してように感じました。スピード感のある第一主題。第二主題も速めのテンポでもう少し味わいが欲しい気がします。展開部はかなり荒々しい演奏で、速めのテンポが生かされています。激しいトロンボーンも速いテンポが効果的です。コーダの前は少しだけテンポを落としました。コーダは猛烈なテンポで最後は凄い盛り上がりでした。

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ヘルベルト・ブロムシュテット/ライプツィッヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団(初稿)

★★★★

一楽章、感情を込めて歌われる第一主題。テンポは速めです。柔らかく表情のある第二主題。第三主題もサクサクと進みます。小結尾主題も伸びやかです。展開部はかなり速く感じます。オーケストラは伸びやかで美しいです。展開部の第二主題はゆっくりとしたテンポでさらにテンポの動きもあり深い表現です。再現部の第一主題はかなり激しい演奏です。トロンボーンは奥まっていてトランペットとは音量差があります。表現も豊かで色彩感もある良い演奏です。

二楽章、スケルツォが二楽章に来ます。サラッとしたホールに拡散します。テンポの動きもあって作品への共感も感じます。割とカチッとしたトリオ。

三楽章、暖かみのある響きで、強い表現ではありませんが、切々と訴えて来るような演奏です。Bはとても豊かな表現です。初稿ではクライマックスでトランペットが入らないのか?ベネディクトゥスの引用も良く歌われて良いです。克明で繊細な弱音。

四楽章、揺れるような表現から第一主題に入りました。淡々とした第二主題。展開部の第一主題はスピード感があります。弦のとても柔らかい響きからトランペットの鋭い響きまでとても大きな色彩と表現の幅があります。コーダはハース版とは全く違いました。
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フランツ・コンヴィチュニー/ベルリン放送交響楽団(ハース版)

★★★★

一楽章、ゆったりとしたテンポで豊かに歌う第一主題。トランペットはかなり遠い。第二主題も深みがあって穏やかです。同じ時代の録音ですが、アンドレーエの演奏とはかなり違います。第三主題も潤いを感じるものです。小結尾主題は淡々と進みます。展開部も低弦と木管の対比が良いです。遠くからですが、金管も力強い。再現部も丁寧な表現です。

二楽章、テンポが動いて伸びやかにしかも深い共感を持って歌います。微妙にテンポが動くB。金管が強く演奏しているのは響きで分かりますが、エネルギーとしては伝わって来ない。

三楽章、あまり荒々しくは無いスケルツォ主題。トリオは美しく歌うので、身をゆだねることが出来ます。

四楽章、この楽章もゆったりとしたテンポです。控えめな第一主題。録音の古さからヴァイオリンの木目は荒いですが、良く歌う第二主題。自然にテンポが動く演奏で、とても心地良いです。コーダの前で大きくテンポを落としました。録音が古いのが残念でした。
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ヘルベルト・フォン・カラヤン/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(1877年版)

★★★☆

一楽章、速めのテンポで整然としてテキパキと進む感じの第一主題。元気が良く颯爽としています。第二主題もサラリと流れて行きます。インバルの録音に比べるとマットな響きです。小結尾主題も流れるような滑らかさです。展開部も再現部もとても整った演奏です。

二楽章、一体となって整った歌です。ゆったりとしたB。川の流れのように豊かな弦。弦の後ろで激しく咆哮するホルン。大きなクライマックスですが、マットな響きで輝きがありません。

三楽章、スピード感のある主部。トリオは厚みのあるビオラ。ティンパニは硬質で良い音で鳴っています。

四楽章、かなり軽い第一主題。小気味よく進みます。あっさりとして味わいの無い第二主題。整った演奏なのですが、強く惹き付けられるような演奏ではありません。とても整っているので、激しい表現は感じません。コーダの最後はトランペットが突き抜けて来ました。
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小澤 征爾/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 1999年ウィーン芸術週間

★★★

一楽章、ほとんど表情の無い第一主題。第二主題もあっさりとしています。第三主題も無表情です。小結尾主題は少し速めで、ここも表情はありません。展開部に入って深い表現になりました。起伏は激しいです。再現部でも濃厚な色彩で、激しい表現です。コーダもかなり激しい演奏でした。

二楽章、控えめながらジワジワと迫って来る表現です。Bのビツィカートの強弱の変化も丁寧でした。クライマックスは肩透かしのように力が抜けています。

三楽章、速めのテンポであまり荒々しい感じはありません。主部が戻るとかなり荒々しい演奏になります。

四楽章、ゆったりとしたテンポです。第一主題はさらに遅くなります。無表情であっさりとした第二主題。小澤の演奏はいつも良く分からない。同じ民族だから特徴や良さが分からないのか、自分自身がクラシック音楽に西洋的なものを求めすぎるのか、演奏を聞き終えても何かモヤモヤしたものが残る。コーダの前の金管が大きく入った後から導入部が再現されるまではかなりテンポがゆっくりになりました。コーダも平板に終わりました。
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ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー/ロシア国立シンフォニー・カペラ

★★★

一楽章、とても大きい表現の第一主題。速めのテンポで、豊かな残響ですが、かなりメタリックな録音で、ミュートしているようなチーチーと響くトランペット。第二主題も積極的に歌います。小結尾主題も豊かな表現です。展開部も速めのテンポですが、表現はとても大きいです。

二楽章、抑え気味のA。太く独特な響きのホルン。二度目のBでも浅い響きで強く演奏されるホルン。巨大なクライマックス。かなり暴力的で雑な感じです。

三楽章、主部では情緒的にテンポが動く部分もありました。トリオはゆったりとしたテンポになります。コーダで大きくテンポが落ちる部分がありました。

四楽章、スピード感のある第一主題。金管も荒々しく響きます。速めであっさりとしている第二主題。録音による影響もあると思いますが、金管はとても盛大に鳴り響きます。
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ロベルト・パーテルノストロ/ヴュルッテンベルク・フィルハーモニー管弦楽団

★★★

一楽章、とても豊かな残響に響く第一主題。ゆったりとしたテンポですが特に歌うことはありません。第二主題も特に表現も無く進みます。ゆったりと穏やかな小結尾主題。残響が多いので響きは厚く感じます。残響が長い割に金管はあまり伸びやかに響きません。

二楽章、ここもあまり思い入れの無いあっさりとした表現です。Bのホルンは豊かな残響の中にとても美しい響きです。美しい弱音から盛り上がって、トランペットが奥で輝いて強く響くクライマックスは良い表現でした。ベネディクトゥスはちょっと硬い表現でした。

三楽章、落ち着いた表現の主部。あまり荒々しさはありません。もう少しスピード感があっても良いような気がします。トリオは速くなります。

四楽章、第一主題も第二主題もあっさりとした演奏ではっきりと爪痕を残すような演奏ではありません。作品そのものと、とても長い残響の大聖堂と一体になった響きを聞かせる演奏のようです。ライヴ録音なので、当日会場にいた人は豊かな響きがとても心地良かったと思いますが、2chのステレオではその残響に包まれるような体験は出来ないので、演奏の魅力はどうしても下がります。コーダの前は大きくテンポを落とすことは無く、コーダもゆっくりとした演奏で締めました。

オッコ・カム/フィンランド放送交響楽団

★★★

一楽章、たっぷりと歌う第一主題。あっさりとしていますが穏やかな第二主題。第三主題も目立った表現はありません。小結尾主題も流れの良い演奏で穏やかです。展開部に入っても爽やかです。粘り気の無いサラッとした演奏で、これはこれで良い演奏です。金管も突き抜けては来ず、マイルドにブレンドされています。コーダに入ってテンポの動きもありました。

二楽章、奥ゆかしい表現のA。Bはテンポの動きの中で歌います。クライマックスも大きくは無く、小さくまとまっています。ベネディクトゥスが静かに歌われます。コーダはとても静かで良い雰囲気です。

三楽章、この楽章の主部も丁寧で荒々しくはありません。テンポが大きく落ちたり神秘的な表現の部分もありました。この楽章はテンポが良く動きます。

四楽章、かなり速いテンポで入りました。ヴァイオリンの細かい動きにも表情が付けられています。速いテンポのままの第一主題。第二主題はテンポを落として優しい表現です。しなやかな弱音は美しいです。第一主題の再現へ向けての加速はなかなかでした。コーダは金管が鳴り切らず盛り上がりは今ひとつでした。
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ケース・バケルス/フランダース交響楽団

★★☆

一楽章、柔らかく伸びやかな第一主題。テンポは速めではつらつとしています。トランペットは控えめです。第二主題、第三主題とも速めのテンポです。小結尾主題も淡々と進みます。展開部に入りさらにテンポが速くなります。再現部に入っても特に主張も無く流れて行きます。割とせっかちに終わった感じです。

二楽章、感情を込めてたっぷりと歌う主要主題。音量の振幅も大きく一楽章とは一転して豊かな表現です。

三楽章、この楽章は速めで推進力があります。荒っぽさは無く滑らかで美しいです。揺れるようなトリオ。

四楽章、速めでガツガツと演奏される第一主題。第二主題も速めです。展開部も豪快に突き進む感じです。コーダもあなり大きな盛り上がりでは無く全体に平板な印象でした。
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スタニスワフ・スクロヴァチェフスキ/ザールブリュッケン放送交響楽団

★★

一楽章、遠くから響く第一主題。トランペットは近めです。あまり表現らしい表現は無く、サラッと過ぎて行きます。録音のせいか、マットな響きで、あまり伸びやかではありません。小結尾主題もあっさりとスタスタと進んで行きます。展開部に入っても抑え気味です。金管の信号同期の付点を長めに演奏しているのが特徴です。とても禁欲的で、均整の取れた演奏です。コーダは勢いがありました。

二楽章、一楽章からは打って変わって、ゆったりとしたテンポで、とても深く歌うA。深みのある演奏はとても良いです。Bもゆったりとしたテンポでしみじみとした歌です。クライマックスは肩透かしのように抑制されています。

三楽章、一転して速いテンポの主部。金管の長い音はとても抑えられています。揺れるトリオ。主部に戻る前にかなりテンポを落としました。ティンパニの強打はとても激しいのに金管の長い音を極端に抑えるのが不自然に感じます。

四楽章、冒頭のヴァイオンリの細かい動きに変化を付けています。第一主題はサラッとしています。第二主題も速めです。金管の長い音が弱く、弦の細かな動きが強調されているように感じます。コーダでは強弱の変化もありましたが、金管の長い音を極端に抑える演奏は理解出来ませんでした。
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サー・ゲオルク・ショルティ/シュトゥットガルト放送交響楽団

★★

一楽章、速めのテンポですが、感情を込められた第一主題。かなり勢いのある演奏で、克明な色彩感です。第二主題も速めで、明晰です。第三主題も速いです。とても活発な動きを感じる演奏で、ブルックナーらしいどっしりとした深い響きは感じられません。落ち着かない演奏です。ショルティが指揮をすると、どんなオーケストラでも腰高な響きになってしまいます。最後はかなりゆっくり演奏しました。大聖堂に豊かな残響が響きます。

二楽章、一楽章とは打って変わってたっぷりと歌う演奏です。残響を伴って物悲しいBのホルン。かなり激しいホルンの強奏。クライマックスのトランペットも激しい。

三楽章、エッジが立っていて速めのテンポです。トリオの速めのテンポで味わいがありません。主部に戻る前にかなりテンポを落としました。

四楽章、この楽章もかなりせかせかとしたテンポです。第二主題もかなり速い印象で、全く音楽に浸ることが出来ません。とにかく速い。スピード感はあるのですが、個人的には、もう少しどっしりと構えた演奏が聴きたいです。コーダも速くとても賑やかです。
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フォルクマール・アンドレーエ/ウィーン交響楽団(ハース版)

一楽章、かなり速いテンポで落ち着かない第一主題。さらにアッチェレランドしてトランペットが入ります。第二主題は幾分落ち着いた演奏です。第三主題も速めで、ブルックナーらしいどっしりとした雰囲気はありません。デッドな録音のせいか、金管は総じて音が短く品がありません。展開部も速く、ぐいぐいと進みます。再現部もやはり落ち着かない。何故にそんなに急ぐ。

第二楽章、一転してゆったりとした演奏です。Bのホルンも柔らかく良い雰囲気です。トランペットが下品です。

三楽章、また落ち着きのない演奏です。かなり乱暴な演奏に感じます。トリオは少し落ち着いた感じがします。主部が戻るとトランペットやトロンボーンの短い音がとても気になります。テンポの動きもあり、良いところもありますが、録音の古さかなり影響している感じがします。

四楽章、第一主題もかなり速い。録音の古さからか第二主題も味わいが感じられません。とにかく金管の音の短さが本当に気になります。味わいの無い演奏でした。

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