ベートーヴェン 交響曲第4番
ベートーヴェンの交響曲第4番は、1806年に作曲され、1807年に初演されました。この交響曲は、力強い「英雄」第3番や運命的な第5番に挟まれているため、やや控えめな印象を持たれがちですが、独自の繊細さとユーモア、明るさに満ちた作品です。ベートーヴェンの交響曲の中では比較的小規模ですが、彼の軽やかで遊び心に富んだ一面が表れています。
曲の特徴
- 穏やかで明るい雰囲気
第4番は、前作「英雄」とは対照的に、全体に明るく親しみやすい雰囲気を持っています。重厚さや劇的さよりも、軽快さや優美さが重視されており、聴きやすい交響曲として愛されています。古典派のシンプルな形式美と、ベートーヴェンらしい創造性が巧みに融合しています。 - ウィットと遊び心
この交響曲にはベートーヴェンのユーモアやウィットが感じられる場面が多く、特に序奏の静かな始まりから突如として生き生きとしたメロディが現れる部分など、聴き手を驚かせる工夫が随所に見られます。さらに、第3楽章のスケルツォなどではリズミカルで遊び心のある要素が際立ちます。 - ハイドンやモーツァルトの影響とベートーヴェンの個性の融合
古典派の巨匠であるハイドンやモーツァルトの影響が強く感じられますが、彼らの影響を受けつつも、ベートーヴェン特有のエネルギーやダイナミクスが加えられています。このため、作品全体にどこか懐かしさと新鮮さが同居しています。
各楽章の概要
- 第1楽章:Adagio – Allegro vivace
静かな序奏で幕を開けた後、軽快で活気ある主題が展開される。非常に明るく親しみやすい楽章で、エネルギッシュながらも軽やかな印象。 - 第2楽章:Adagio
美しく穏やかな旋律が特徴の楽章で、優雅で抒情的な雰囲気に満ちています。心にしみるような感動的なメロディが続き、聴き手を静かな世界へと誘います。 - 第3楽章:Scherzo: Allegro vivace
リズムが特徴的なスケルツォで、ウィットに富んだ明るい雰囲気が漂います。トリオ部分ではテンポが少し落ち着きますが、再びスピーディーに展開し、躍動感に溢れています。 - 第4楽章:Allegro ma non troppo
フィナーレは陽気で軽やかに進みます。いたずらっぽい雰囲気と活気に満ちたメロディが繰り返され、エネルギッシュなエンディングへと向かいます。
総評
ベートーヴェンの交響曲第4番は、彼の遊び心と軽やかな表現力が発揮された作品で、特に「英雄」や第5番の重厚さとは対照的な魅力を持っています。親しみやすく、温かみのある音楽が特徴で、ベートーヴェンの多面的な才能を感じられる作品です。その明るい響きとユーモアが、聴く人に癒しと喜びを与えます。
たいこ叩きのベートーヴェン 交響曲第4番名盤試聴記
カルロ・マリア・ジュリーニ/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
★★★★★
一楽章、遅いテンポで揺ら揺らと揺れるような冒頭です。軽快な部分もテンポは遅く弾むような感じではありませんが表現が豊かで、聴き手をグッと引き込むような力があります。一つ一つの音に力があって、音楽を刻み込むような表現力です。ダイナミックの変化も大きく、トゥッティの分厚い響きはさすがです。
二楽章、心地よい歌があって、音楽がとても有機的です。ウィーンらしい音の開かない美しいクラリネット・ソロです。色彩感も濃厚ですし、表現も一音一音刻み付けるように濃厚で説得力があります。
三楽章、テンポは遅めですが、音楽に動きがあって生命感に溢れています。
四楽章、歌とともにダイナミックな演奏です。羊皮のティンパニに硬いマレットで打ち込む音にも重量感があってすばらしいです。
重量感があって、さらに生命感に溢れたすばらしい演奏でした。
朝比奈 隆/大阪フィルハーモニー管弦楽団
★★★★★
私は、元々朝比奈のファンではなかったのです。今回のベートーベンの二種の全集を聴くまでは。
この全集も私の友人に熱烈な朝比奈のファンがいるので、貸してくれたのを聴いたのです。それがこんなにすばらしいとは・・・・・・・。
そもそも私がクラシック音楽を聴き始めたのは、中学校で吹奏楽部に入部してからなのですが、その当時FMで放送されるNHK交響楽団のライブなどは管楽器が上手いとはいえないような演奏が多かったので、それ以降、日本のオケのCDがあっても全く選択肢には入ってこなかったのです。
しかし、今回の二種の全集を聞いて、私の偏見は完璧に払拭されました。
一楽章、メリハリがあってダイナミックです。
二楽章、ゆったりとした音楽にどっぷり浸っています。
三楽章、
四楽章、かなり遅めのテンポです。充実した演奏でした。
バリー・ワーズワース/ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団
★★★★★
一楽章、カラフルでダイナミックな演奏です。華やかと言うか派手と言っても良いような演奏です。
表現も元気。この無邪気な元気さは意外と魅力的でした。
二楽章、このオケのパウカー(ティンパニ奏者)は音色に対して何も考えていないのだろうか。このモターッとした音離れの悪い音は何とかして欲しい。
くったくなく伸び伸びとした演奏で魅力はあります。
三楽章、この楽章も元気いっぱいの演奏で、はつらつとしています。まるで学生オケに学生指揮者で演奏しているような、楽しい演奏で、ベートーヴェンの内面云々とかは「なし」です。
四楽章、ファゴットもおどけたようにひょうきんな表情で、終始楽しい演奏を展開しました。
アッケラカンとした演奏で楽しかった。こんなのもアリですね!
デヴィッド・ジンマン/チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団
★★★★★
一楽章、短い音をテヌートせずに短く演奏しています。どっしりと構えた風格のあるヘートーヴェンのイメージとはまるっきり違う、腰の高い(軽い)と言ったら失礼でしょうか。
軽快さに、おちゃめで子供っぽい無邪気さのようなものが溢れているような音楽で、子供の発刺とした元気さ。よそゆきのでおめかしした大人の雰囲気ではありません。
私には、この演奏は受け入れることができます。こんなベートーヴェンも好きです。
二楽章、ホールの響きが豊かで暖かいので、音色は気持ちいいです。深々とした響きとは逆に「悪ガキ」のような、やりたい放題の演奏のミスミッチが面白いです。
悪ガキの仕掛けにあちこちで引っ掛かります(^ ^;
三楽章、ここでもやりたい放題で良い演奏です。
四楽章、この楽章もテンポが速くで颯爽としています。バロックティンパニの存在感は大きいです。
木管の面食らったような速いパッセージも愛嬌があってとても良かった。
この曲の全く違った一面を聞かせてくれてとても楽しかったです。
セルジウ・チェリビダッケ/ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団
★★★★★
1987年録音
一楽章、暗闇に次第にロウソクの炎が立ちの昇るような幻想的な雰囲気さえする序奏。主部に入るとダイナミックで生き生きとした動的な音楽になります。どの楽器も有機的に音楽を受け継いで行きます。最弱音から最強音までの幅が非常に広いようで、表現の幅もとても広く、また余裕もあります。しっとりと潤いのある音でとても美しい。
二楽章、美しく整った弦の清涼感のある演奏です。クラリネットの旋律の後ろにいる弦の起伏が激しくチェリビダッケの気迫が伝わってきます。色彩感もくっきりしていて濃厚です。
三楽章、遅いテンポですが、音楽は前へ行こうとする推進力を持っています。強弱の振幅の幅が広くダイナミックです。一音一音への集中力が高くすばらしい演奏です。
四楽章、とても表情豊かです。音に力があって、とてもパワフルで豪快な演奏です。
遅いテンポの演奏でしたが、豪快に駆け抜けるような、そして一服の清涼感のような演奏でした。
1995年録音
一楽章、1987年の録音よりも温度感が高く、混沌とした雰囲気ですが一音一音非常に丁寧な演奏です。主部に入っても落ち着いた表現で、テンポも遅いのであまり躍動感がありませんでしたが、曲が進むにつれて躍動感が出てきました。消え入るような静寂感からトゥッティまでの幅の広いダイナミックな演奏はさすがです。
二楽章、遅いテンポで着実に踏みしめるような演奏です。くっきりと浮かび上がるクラリネット。重心が低く重量感のある演奏で、1987年の演奏とはかなり違います。
三楽章、やはりこの演奏でも遅いテンポですが、音楽は生き生きとしていて、推進力があります。トゥッティのどっしりと重心の低い重厚な響きは充実していてすばらしい。
四楽章、ダイナミックで豊かな表情が魅力的です。豪快な演奏ですが、荒くなることはなく、とても丁寧です。
重心が低くダイナミックな演奏でした。個人的な好みは1987年の録音かな?
ルネ・レイボヴィッツ/ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団
★★★★★
一楽章、割と速めのテンポで、注意深く混沌とした序奏から一転して速いテンポで軽快な第一主題。テンポも動いて推進力のある演奏です。鳴らすところは豪快に鳴らします。アンサンブルががっちりと噛み合っていて、とても見通しの良い演奏です。贅肉をそぎ落としたような質実剛健な感じです。演奏に魂がこもったような迫力が凄いです。
二楽章、弦のクレッシェンドにも迫力があります。第二主題のクラリネットの密度の濃い響きと静寂感。
三楽章、この楽章も非常にテンポが速いです。このテンポにオケが付いて行けないのか、音の扱いが僅かに雑になる部分があります。トリオは生き生きとした良い演奏です。
四楽章、この楽章も非常に速いテンポですが、高い集中力で、生き生きと躍動感のある音楽を演奏しています。ベートーベンのメトロノーム記号に従った最初の録音と言う事らしいですが、この演奏が世に出た時の評価はどうだったんでしょうか。今ではベーレンライター版の速いテンポの演奏が多くなりましたが、この録音当時では、評価が分かれたでしょう。それでもこれだけ違和感なくまとめあげたレイボヴィッツの手腕はたいしたものです。
三楽章で、僅かに雑になった部分は残念でしたが、ベートーベンのメトロノーム指定に従った最初の録音がこれほどの完成度で演奏されたことに驚きます。そして、生命感や躍動感のある演奏は素晴らしいものでした。
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カール・ベーム/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 1975年東京ライヴ
★★★★★
一楽章、ゆったりとしたテンポで、凄く音量を落とした静かな静寂感に溢れる序奏で、夢の中のような感じです。低域が分厚くどっしりとしたトゥッティ。第一主題もどっしりとしたテンポで柔らかい響きです。自然体の落ち着いたしかも自信に溢れる演奏です。どっしりとした安定感はベームらしい演奏です。
二楽章、この楽章もゆったりとしていて、とても丁寧な演奏です。ウィーンpoらしい凝縮された響きのクラリネットの第二主題。特に大きな表現などはありませんが、自然体の堂々とした演奏です。
三楽章、とても柔らかく、静けさが際立った演奏です。穏やかで優しい表現ですが、響きはどっしりとしていて、とても安定感があります。
四楽章、この楽章もゆっくり目のテンポで落ち着いた演奏です。全く力みの無い安定感抜群の自然体の演奏には好感が持てます。柔らかくまろやかな響きもとても美しいです。
力みの全く無い、自然体の演奏で、作品のありのままを示した演奏でした。柔らかくまろやかな響きもとても美しく素晴らしい演奏でした。
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ヘルベルト・フォン・カラヤン/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 1975年ザルツブルクライヴ
★★★★★
一楽章、有機的で、表情がとても豊かな序奏。巨大な響きのトゥッティ。落ち着いたテンポの第一主題。強弱の変化に伴ってテンポも動きます。くっきりと浮かび上がる木管。とても良く歌います。強弱の変化の幅もとても広く表現力豊かな演奏です。
二楽章、この楽章も豊かな表現です。テンポも動かして歌う第二主題。ライヴならではの表現意欲の表れた演奏です。音楽が疾走したり止まったり変化に富んでいます。
三楽章、この楽章も非常に表情の豊かな演奏です。スタジオ録音はもっと無表情だったと思いますが、このライヴはとても表情が豊かです。やはりライヴのカラヤンは別人です。
四楽章、この楽章も豊かな表現で生き生きとしています。この頃が、カラヤンとベルリンpoの絶頂期だったんだと思います。ティンパニも含めたダイナミックな変化も素晴らしいです。
とても表情豊かで生き生きとした音楽でした。テンポも動いて自在な表現の演奏でした。やはりカラヤンのライヴは凄いです。
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カルロス・クライバー/ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団 1983年ライヴ
★★★★★
一楽章、深く歌う序奏。強弱の幅も大きく、表現も厳しく引き締まっています。音に勢いがあって、凄いエネルギーを感じさせる演奏です。とても良く歌う演奏が続きます。
二楽章、静寂の中から豊かな歌が聞こえます。第二主題でも微妙にテンポが動いて歌います。強奏部分には湧き上がるような力があります。
三楽章、速めのテンポで活動的です。トリオは喜びに満ちている感じでした。
四楽章、この楽章も速いテンポで活気に溢れた演奏です。疾風のように駆け抜ける弦楽器。
豊かな歌と疾走する音楽が両立した演奏でした。非常に力強い音もあれば、速いパッセージを軽々と演奏したりとても多彩な演奏は素晴らしいものでした。
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ダニエル・バレンボイム/ウェスト=イースタン・ディヴァン管弦楽団 2012Proms
★★★★★
一楽章、ゆったりと探るような序奏。一歩一歩確実に進みます。清涼感のある響きです。第一主題も落ち着いたテンポですが、強弱の幅は大きく、音楽もうねるように生き生きとしています。テンポも感情がこもって動きます。すごく勢いのある演奏でした。
二楽章、心のこもった歌がひしひしと伝わって来ます。クラリネットの第二主題もテンポが動いて自由に歌います。編成の小さいオケが一体になって動く様子はなかなか良いものです。
三楽章、動きがあって躍動感があります。活発にそして積極的に動くオケです。トリオはグッとテンポを落としてたっぷりと歌います。
四楽章、この楽章も濃厚な表現です。木管もくっきりと浮かび上がり色彩感もとても豊かです。音に力があって、勢いがあります。オケが一体になったエネルギーの放出は素晴らしいものがあります。
オケが一体になったスピード感やエネルギーの放出は素晴らしいものがありました。たっぷりと深く歌われる歌や活発に動く躍動感など、非常多くの魅力がある演奏でした。バレンボイムのベートーベンを聴いて初めて良い演奏だと感じました。
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パーヴォ・ヤルヴィ/ブレーメン・ドイツ室内フィルハーモニー管弦楽団
★★★★★
一楽章、揺れ動く冒頭。幽玄の世界へ導かれる序奏。第一主題に入る前に一旦音量を落としてクレッシェンドしました。非常に力強い第一主題。バレンボイムの演奏も良かったですが、それよりさらに音に力があり、剛速球を投げ込まれる感じの演奏です。強弱の変化も思い切りが良く、ダイナミックですが、弱音の繊細さもありますし表現も積極的です。
二楽章、一転して柔らかい第一主題。テンポが自由に動いて歌う第二主題。ナチュラルトランペットが鋭い響きです。
三楽章、かなり速いテンポですが表情はしっかりと付けられていて、演奏に締りがあります。
四楽章、この楽章もかなり速いです。ティンパニが突然強打したりして、演奏に工夫があります。音楽が固まりになって非常に強い演奏を繰り広げています。凄い勢いの演奏です。
音に力があって、剛速球を投げ込んでくるような、非常に強力な演奏でした。しんし、柔らかさや繊細さも表現されていて、とても良い演奏でした。
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トーマス・ヘンゲルブロック/北ドイツ放送交響楽団
★★★★★
一楽章、ゆったりと探るような序奏。巨大なトゥッティ。第一主題に向けての加速はなかなか良かったです。すごく勢いのある第一主題。トランペットの明るい響きが演奏を開放的にしています。思い切りの良い強奏。第二主題は大きく歌うことはありませんが、第二主題以降も凄いスピード感と激しさです。オケを強力にドライブした豪快な演奏です。
二楽章、この楽章も速めのテンポです。トランペットの弾むリズムが短く演奏されました。陰影をたたえて美しく歌うクラレネットの第二主題。オケがとにかく良く鳴ります。
三楽章、とても速いテンポです。豊かに歌うトリオのオーボエ。トランペットがビリビリと良く響きますが、低い音が少し下品に感じることもあります。
四楽章、この楽章もすごく速く勢いのある演奏です。音が襲い掛かってくるような感じさえ受けます。集中力が高くグイグイと引っ張られます。最後のテンポを落とす部分はこれまでの勢いとは対照的にゆったりたっぷりと歌いました。
高い集中力で強力にグイグイ進むかと思えば、ゆっくりとたっぷり歌い部分もあり変化もある演奏でした。基本的には豪快な演奏でしたが、細部まで行き届いた良い演奏でした。
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フランス・ブリュッヘン/オランダ放送室内フィルハーモニー管弦楽団
★★★★★
一楽章、慎重に探るような序奏。濃厚な色彩で木管が浮き上がります。深く大きなトゥッティ。あまり加速せずに第一主題に入りました。音の輪郭がくっきりとしていて、克明な演奏です。ティンパニがダブルストロークで弱音のロールを叩きました。
二楽章、ティンパニがしっかりと打ち込まれます。アンサンブルが良く、透明感の高い響きです。
三楽章、僅かに速いと言う程度のテンポで細かな表情も付けられています。トリオもあまりテンポを変えずに入りました。オケの特質なのか透き通るような透明感のある響きはとても魅力的です。
四楽章、速めのテンポです。強弱の変化にも幅があります。表情がキリッと締まっていて硬いゴムボールが弾むような躍動感です。オケが一体になった俊敏な反応は素晴らしいです。
透明感の高い響きと反応の良いオケの俊敏な反応で、キリッと締まった表情の演奏は爽快感があって素晴らしかったです。
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クリスティアン・ティーレマン/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
★★★★★
一楽章、深みのある響きで、表情も微妙に付けられています。トゥッティの前に十分間を置きました。第一主題は僅かに速い程度でブライトコプフ版の伝統に根差した演奏です。第二主題が出るところでテンポを落としました。テンポはとても良く動いていて、かなり自由な演奏です。
二楽章、品よく歌う第一主題。第二主題に入る前にも大きくテンポを落としました。非常にゆっくりとした第二主題。これまで聞いたことが無いほどテンポが良く動きます。
三楽章、この楽章は一転してとても速いテンポですがなだれ込むような勢いは無く、丁寧に演奏されています。トリオはゆったりとしました。主部との対比がはっきりとしています。
四楽章、テンポはそんなに速くはありませんが、とても活発な演奏です。強弱の反応も良く、オケが作品にとても慣れている感じが伝わって来ます。最後は凄い勢いでした。
作品への愛着から生まれるテンポを自由に動かして、自在な演奏でした。二楽章の非常にゆったりとした第二主題やフィナーレの最後の凄い勢いなど変化にも富んだ演奏で楽しませてくれました。
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