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ベートーヴェン 交響曲第2番

ベートーヴェンの交響曲第2番は、1801年から1802年にかけて作曲され、1803年に初演されました。交響曲第1番に続き、古典派の形式を保ちながらも、さらに独自性が増し、エネルギーに満ちた作品です。この交響曲は、ベートーヴェンが聴覚障害に苦しみ始める中で作曲されましたが、全体に明るさと力強さが溢れています。

曲の特徴

  1. 力強いエネルギーと楽観性
    第2番は、ベートーヴェンの交響曲の中でも特に明るく、楽観的な性格を持つ作品です。ベートーヴェンが聴覚の悪化に苦しみ、絶望的な心境にあったとは思えないほど、前向きなエネルギーが感じられます。特に、第1楽章と第4楽章ではそのパワフルな表現が顕著です。
  2. 長大な序奏と斬新な構成
    この作品は比較的長い序奏を持つことでも特徴的です。第1楽章の序奏部分は壮大で劇的な雰囲気があり、その後、快活な主部が現れる構成です。また、従来の交響曲の形式を基盤としながらも、構成や展開において、ベートーヴェン独自の大胆な工夫が見られます。
  3. ユーモアと遊び心
    ベートーヴェンのユーモアや遊び心が随所に現れています。例えば、第3楽章のスケルツォは、速くリズミカルな動きが特徴で、躍動感に満ちた楽しげな雰囲気を感じさせます。また、第4楽章でもいたずらっぽい要素が見られ、聴衆を驚かせるような瞬間があります。

各楽章の概要

  • 第1楽章:Adagio molto – Allegro con brio
    長く堂々とした序奏に続き、快活で力強い主題が登場します。生命力に満ちた音楽が展開され、ベートーヴェンの情熱が感じられます。
  • 第2楽章:Larghetto
    穏やかで優美な雰囲気が漂う楽章で、柔らかく美しい旋律が特徴的です。聴いていると、温かさと平穏を感じることができます。
  • 第3楽章:Scherzo: Allegro
    スケルツォのスタイルで、リズミカルで活気にあふれた音楽が繰り広げられます。テンポも速く、いたずらっぽいニュアンスがあり、楽器同士の掛け合いが楽しい楽章です。
  • 第4楽章:Allegro molto
    エネルギッシュで開放的なフィナーレ。明るく爽快な音楽が、駆け抜けるような勢いで展開されます。終始前向きなエネルギーに満ち、聴き終わると爽快感が残る締めくくりです。

総評

ベートーヴェンの交響曲第2番は、彼が古典的な交響曲の枠を超えて、自身の個性をさらに発揮し始めた作品です。聴覚障害の影響が出始めた時期にもかかわらず、全体に明るく力強いエネルギーが満ちており、彼の内なる情熱と希望が感じられます。

4o

ベートーヴェン 交響曲第2番名盤試聴記

カール・ベーム/バイエルン放送交響楽団

icon★★★★★
一楽章、勢いのある音です。一発の音に込められたエネルギーの大きさが伝わってきます。
冒頭から気迫みなぎる演奏です。表情も厳しいく徹底されているようです。
ベームのスタジオ録音は優しさが伝わってくる演奏が多くて、その分厳しさやエネルギー感に乏しいことが多いですが、さすがにライブになると凄いです。
最初から音楽の顔つきが違います。

二楽章、一つ一つの表現も行き届いていますし、オケのメンバーもベームの要求に応えようとして、高い緊張感が生まれています。
甘美な演奏ではありませんが、非常に高い緊張感が生み出す空気感や引き締まった表現がすばらしいです。

三楽章、バイエルン放送交響楽団の方が、ウィーン・フィルよりベームの要求に素直に対応してくれるのではないかと思えるほど、オケの真摯な演奏にも感心します。

四楽章、楽譜をめくる音までも克明に録音されています。ラジオ放送用の音源だとのことですが、録音状態もすごく良いです。

終結へ向かう熱気と盛り上がりはさすがです。

朝比奈 隆/大阪フィルハーモニー管弦楽団

朝比奈/大阪フィル★★★★★
一楽章、ここでも、堂々したたたずまいが一貫している。作品のはつらつとした若々しさが伝わってくるような生き生きした演奏です。
左右方向に広々とした音場を形成するので、音楽のスケールの大きさをさらに強調するような録音です。
カラヤンの70年代のスタジオ録音が左右方向にはあまり広がりがなかったので、とても窮屈に感じました。その上、中低域に厚みがあるので、音がダンゴ状になってしまって、さらにテンポが速いときているので、辛いところがありました。

二楽章、深みがあって音楽に身をゆだねることが出来ます。

三楽章、歌も自然だし、乱暴なところがない。最後の全集も聞いてみたくなりました。

四楽章、それにしても、ライブ録音でこれだけ完成度の高い演奏を、それも9曲ムラなく実現したことに感服します。

ブルーノ・ワルター/コロンビア交響楽団

ワルター★★★★★
一楽章、ゆったりとした落ち着きと温かみのある演奏です。穏やかに音楽が流れて行きます。音楽に尖ったところが全くなく、マイルドで豊かな演奏です。

二楽章、ことさら強調することもなく、自然に音楽が流れて行きます。

三楽章、温かみのある音楽がとても心地良いです。

四楽章、自然な豊かさはすばらしかった。

巨匠たちが残したクラシックの名盤を試聴したレビュー ・ベートーヴェン:交響曲第2番の名盤を試聴したレビュー

ハンス・クナッパーツブッシュ/ブレーメン・フィルハーモニー管弦楽団

クナッパーツブッシュ★★★★★
一楽章、勢いをつけてドカーンと来た冒頭でした。積極的に歌います。アクセントを強めにはっきりと付けて演奏しています。テンポも大胆に動きます。音楽にはつらつとした若々しいエネルギーが溢れています。

二楽章、咳払いの中から蝋燭の炎の立ち上るように始まりました。抑揚の幅を大きくとって豊かな歌を聞かせます。繊細な表現があったかと思うと、コントラバスが唸りを上げたり幅の広い表現です。

三楽章、この楽章でも強弱の振幅が幅広くメリハリの利いた演奏です。

四楽章、かなり遅いテンポです。遅かったのは冒頭部分だけで、すぐにアッチェレランドして一般的なテンポになりました。とても色彩感豊かな演奏です。アッチェレランドして怒涛の終演でした。

セルジウ・チェリビダッケ/ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団

icon★★★★★
一楽章、遅いテンポの演奏です。探りながら進むような序奏。第一主題あたりから一般的なテンポになりました。ミュンヘンpoの機敏な反応が強靭な演奏の土台となっています。聞く前には、遅いテンポでベートーヴェンらしい力強さは表現されないのではないかと思っていましたが、十分に力強い。

二楽章、弦も木管も美しい第一主題。フレーズごとにアゴーギクを効かせるようなことはありませんが、曲を大きく捉えて大きな波が押し寄せるような抑揚があって、とてもすばらしいです。

三楽章、この楽章も遅めのテンポです。遅いテンポでもオケは全く乱れることはなく、高い集中力を聞かせます。作為的なことは一切なく真摯に作品と向き合っています。強弱の変化にはとても機敏に反応します。

四楽章、とても生き生きとした表現の演奏です。生命観が湧き上がるような、聴き手を力づけるようなすばらしい演奏でした。

ルネ・レイボヴィッツ/ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団

レイボヴィッツ★★★★★
一楽章、静寂感の中に響く序奏。力強い第一主題。畳み掛けるように前へ進む音楽。展開部に入っても音楽は前に前に進みます。とても活発でダイナミックです。

二楽章、穏やかな第一主題。第二主題もゆったりと穏やかです。一体になったオケの見事なアンサンブルと響きが美しい。音が散漫にならずに、集まってきているようです。

三楽章、軽快に踊るようなスケルツォ。見事な一体感です。

四楽章、活発な動きの第一主題。音楽が前に進むエネルギーはとても強いです。強弱の変化にも敏感に反応して、消え入るような弱音からトゥッティの厚い響きまで幅広い表現です。

穏やかな表現の二楽章から、力強く推進力のある四楽章まで、幅広い表現の演奏でした。オケの一体感も見事でとてもまとまりのある良い演奏でした。
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パーヴォ・ヤルヴィ/ブレーメン・ドイツ室内フィルハーモニー管弦楽団

ヤルヴィ★★★★★
一楽章、凝縮された力強い響き。活発に動く第一主題。ベートーベンらしい鋭角的な強弱の変化もあります。ザクザクと抉るように音楽が流れて行きます。凄いエネルギーと集中力です。

二楽章、穏やかな中にも活発な動きがあります。弓をいっぱいに使って全力で演奏するような凄みがあります。

三楽章、速いテンポですが、躍動感があり、音楽が常に動いています。

四楽章、この楽章も速いテンポです。凄い勢いで突き進むような疾走感です。緻密に動くいろんな楽器が克明です。

緻密で、しかも躍動感があり、活発な音楽でした。全力で音楽をするような迫力に満ちた演奏は素晴らしかったです。
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クラウディオ・アバド/マーラー室内管弦楽団

アバド★★★★★
一楽章、良く歌います。厳しく精悍な演奏で、颯爽としています。色んな音が重なり合って、情報量が多いように感じます。コーダではかなりの強奏です。

二楽章、速めのテンポでくっきりとした輪郭の演奏です。押したかと思うとスッと引く引き際の良さがとても良い演奏です。優しさよりも力強さのある演奏です。

三楽章、速めのテンポです。極端に強弱の変化を付けることは無く、自然な流れですが、表情は豊かです。

四楽章、速いテンポです。生き生きとした表情です。室内オケですが、強弱の振幅はすごく大きいです。

颯爽とした精悍な演奏でした。表現も緻密でとても良く歌い、いろんな音も聞こえて来る演奏はなかなかでした。
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ロジャー・ノリントン/ロンドン・クラシカル・プレイヤーズ

ノリントン★★★★★
一楽章、鋭い響きの冒頭。どの楽器も鋭い響きなので、響きが溶け合わず、その分くっきりと浮かび上がります。速いテンポで躍動感のある第一、第二主題。表情も締って生き生きとしています。強弱の変化にも敏感です。

二楽章、良く歌う第一主題。速めのテンポでザクザク進みます。弾むようなリズムで活力を感じます。

三楽章、快速です。強弱の変化も鋭いです。表情に締りがあって、緊張感のある演奏です。トリオに入っても良く歌います。

四楽章、スピード感のある第一主題。シャープな切れ味の演奏でした。

ピリオド楽器の鋭い響きとマッチするような、鋭角的な演奏で、引き締まった表情やスピード感はなかなか良かったです。
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ヴォルフガング・サヴァリッシュ/ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団

サヴァリッシュ★★★★★
一楽章、力強い二打、続く木管は可憐な表情です。非常に落ち着いた序奏。トゥッティの巨大な響きと弱音の可憐さの対比がとても良いです。力強い第一主題。とても豊かに歌っていて、聞いていて心地良い演奏です。響きも深みがあり美しいです。活発に色んな楽器が動いていて、とても情報量が多いです。豪華絢爛なコーダです。

二楽章、美しい歌です。

三楽章、強弱の変化があって躍動感のある演奏です。スピード感もあります。トリオのオーボエも良く歌います。トゥッティも思い切りが良く気持ちいい演奏です。

四楽章、思い切りが良いので、響きが豊かでとても豪華に響きます。

豪華絢爛な演奏でした。この作品がこれほど豪華に聞こえたことはありません。歌も十分あり、作品への共感を感じさせる演奏でした。
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ヨス・ファン・インマゼール/アニマ・エテルナ

インマゼール★★★★★
一楽章、バロックティンパニの強い二打。鋭い響きのヴァイオリン。ダイナミックの幅が広い演奏です。静かに弱く演奏される第一主題が次第に力を増して行きます。かなり思い切って入る金管。コーダでは輝かしいトランペットの響きが印象的です。

二楽章、割と速めのテンポでサクサク進みます。涼しげな響きで爽やかな演奏です。大きく歌うことは無く、淡々と音楽は進みます。

三楽章、速めのテンポですが、強弱のコントラストは鮮明です。トリオのオーボエは歌いました。

四楽章、この楽章も速めのテンポです。鋭角的な表現ではありませんが、強弱の変化は大きいです。ティンパニはとても思い切りが良いです。力強く心地よい演奏です。

鋭い弦の響きがザクザクと刻まれて、思い切りの良いティンパニがドンと入る演奏はとても心地良いものでした。大きな歌はありませんでしたが、強弱の変化も大きく聞き応えがありました。
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ベートーヴェン 交響曲第2番2

ベートーヴェン 交響曲第2番名盤試聴記

クリスティアン・ティーレマン/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

ティーレマン★★★★☆
一楽章、堂々と力強く深みのあるトゥッティから愛らしい木管まで、表情が豊かです。潤いのある弦。とても表現が積極的です。最近のピリオド奏法の演奏は全く意に介さず、ベートーベンはこうあるべきと言うウィーンpoの自信に満ちた演奏です。オケも豪快に鳴らしています。

二楽章、静かに歌われる第一主題。美しい第二主題。僅かにテンポが動いて深みのある演奏になっています。

三楽章、弱音の繊細さとティンパニも入るトゥッティのドカーンと来る部分の対比が良いコントラストです。テンポは速めです。

四楽章、軽快な第一主題。重量級の演奏ですが、その分腰も重い感じがします。鋭角的な強弱の変化はありませんでした。

ウィーンpoが自信に満ちた演奏をしています。重量級の演奏でしたが、鋭角的な強弱の変化が無いのが少し残念でした。
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ハンス・シュミット・イッセルシュテット/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

イッセルシュテット★★★★☆
一楽章、とても良く歌う木管。柔らかいトゥッティ。シルキーな美しい響きです。堅実な足取りで、非常に豊かな表情の第一主題。非常に美しく丁寧な演奏なのですが、スタジオ録音なので、とても冷静でよそ行きのような、激しい表現が少ないような感じがします。

二楽章、夢見るような美しい第一主題。美しい音楽がサラサラと流れて行きます。伸びやかに歌う弦。くっきりと浮かび上がる美しい木管。どこを取ってもとにかく美しいです。

三楽章、一転してエネルギー感の強い演奏です。キリッと立ったオーボエが美しい。

四楽章、イッセルシュテットの強い主張は無く、ひたすら美しい音楽を追求しているようです。鋭角的な強弱の変化もありません。なだらかに流れる音楽です。コーダに入っても猛烈な演奏にはならず、落ち着いた表現です。

非常に美しい演奏でした。しかし、美しい演奏に終始して、激しい表現や、鋭角的な強弱の変化などはありませんでした。ただ、この作品の今まで聞いたことのない美しさを聞かせてくれたことは大いに評価したいと思います。
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朝比奈 隆/新日本フィルハーモニー管弦楽団

icon★★★★
一楽章、この全集の中では、かなり激しい演奏です。重量感もあり、他の曲で感じた雄大さとは違うところを表現しようとしているのでしょうか。

二楽章、朝比奈は2番と3番の間に存在する大きな進化を描き分けているようです。この2番までをハイドンやモーツアルトの影響下にある作品として、音楽にしています。

スウィトナーの演奏では、2番と3番の間の違いをほとんど感じさせなかったのですが、この演奏では見事に表出しています。

三楽章、編成は小さくしていないらしいのですが、小さく聞こえるところが不思議です。

四楽章、めずらしく最後は、かなり爆発しました。

オトマール・スウィトナー/ベルリン・シュターツカペレ

icon★★★★
一楽章、精緻なアンサンブルと美しい弦楽器の響きをベースに自然な流れの音楽を作っています。
大げさな表現や、オケを強引に引きずり回すようなテンポの動きなども一切なく、ドイツの伝統に根ざした演奏をしている感じで、スウィトナーもオケも阿吽の呼吸で、当然の業務をこなしているような、安定感と自信に満ち溢れています。

二楽章、空間に広がっていく響きがとも美しいです。

三楽章、この全集はベートーヴェンの交響曲に正面から向き合った堂々とした演奏だし、ドイツの伝統にも根ざしたもので、はじめてベートーヴェンを聞く方にも推薦できます。
全く力んだところがないので、さらりと音楽が流れて行きます。

四楽章、設計がしっかりしていて、終結部へ向けての運びも見事でした。

オイゲン・ヨッフム/ロンドン交響楽団

icon★★★★
一楽章、堂々としたたたずまいの風格ある演奏です。重厚な響きが印象的です。
オケの反応も良いです。ダイナミックで表情もメリハリがあって良いです。
若々しい演奏でした。

二楽章、この全集は曲によって演奏にばらつきがあるような感じがしていますが、この曲はなかなか良いと思います。

三楽章、

四楽章、全体に速めのテンポで快活な演奏になっています。

デヴィッド・ジンマン/チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団

icon★★★★
一楽章、元気です。若々しい表情が良いです。アーティキレーションの指示に対して極端なくらいに敏感に反応している感じの演奏で、表情がすごく豊かです。
ミュートしたホルンが強く演奏されますが、こんなのは今まで聴いたことがありません。こんなのが楽譜に書かれていたのか?
すばらしく美しい響きで、道化師のようなちょっと滑稽な音楽が奏でられているようなミスマッチは感じるのですが、これが無条件に楽しいのです。ベートーヴェンの音楽って、これだけいじられても鑑賞に堪える音楽だというのもすごいことですね。

二楽章、この演奏を聴いていると、当時のベートーヴェンが現在で言えばロック・ミュージシャンのような存在だったんだなあと思わされます。
革新的な音楽を追及していて、当時の人間や政治のあり方にも疑問を持ち、それを音楽にぶつけるような時代と戦う青年のエネルギーを感じ取ることができるような、そんな演奏はこれまでなかったので、とても新鮮です。
これまでの演奏はベートーヴェンをあまりにも神格化し過ぎていたのではないかと思えてくるくらい、この演奏には説得力があります。もちろん聴く人によって賛否は分かれると思いますが、革新的な演奏であることは疑う余地は無いと思います。

三楽章、

四楽章、伸びやかな木管の響きもとても気持ち良いです。トーンハレってこんなに上手いとは知りませんでした。

ヨゼフ・クリップス/ロンドン交響楽団

icon★★★★
一楽章、軽い響きで、BGMのような感じがします。
表現もマイルドで耳あたりが良い演奏です。

二楽章、ナローレンジでバランスの良い録音で、美しい演奏を聴かせます。

三楽章、刺激のない落ち着いた響きで安心して聞けます。

四楽章、大袈裟な表現は一切なく、誰にでもお勧めできる良い演奏です。

しかも全集で1,050円は安過ぎる!

エルネスト・アンセルメ/スイス・ロマンド管弦楽団

icon★★★★
一楽章、密度の薄い音ですが美しい響きです。かなり力強い第一主題。第二主題は僅かに穏やかになりますが、それでも元気のある演奏です。かなり思いっきりオケを鳴らした演奏で豪華絢爛な雰囲気です。

二楽章、サラッとした美しさがある演奏です。とても華やかでキラキラと輝くような響きがあります。

三楽章、強奏部分でちょっとあわてるような感じがあります。この華やいだ雰囲気はこの作品にとても良く合います。

四楽章、重くもたつくような第一主題。コーダに入ってトランペットなどがクレッシェンドする場面もありました。

全体を通して華やかで美しい演奏でしたが、音の密度が薄いのと、あわてたり、もたついたりしたところが残念でした。
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ベートーヴェン 交響曲第2番3

たいこ叩きのベートーヴェン 交響曲第2番名盤試聴記

クラウス・テンシュテット/ボストン交響楽団

テンシュテット/ライブ★★★☆
一楽章、この全集の中では、ボストン交響楽団との共演のものは、比較的端正な出来だと思います。
他のオケとのような大暴れは少ないような気がします。
響きも欧州の一般的なオケのようなマイルドな響きで、血が飛び散るような強烈な音ではありません。いつものテンシュテットのように大きくテンポを動かすこともなく今のところは進んでいます。

二楽章、とても穏やかな音楽です。テンシュテットは音楽の振幅がもの凄く激しい指揮者ですが、激しい方向への振れは大きいですが、穏やかな方向へはあまり深く振れない傾向のように私は思っていますが、この演奏はとても穏やかな面を聴かせてくれています。
それでも、切々と語りかけてくる部分はさすがに迫るものがあります。

三楽章、

四楽章、動きのある曲の表情はとても豊かです。ボストンsoとの演奏は、テンシュテット持ち前の凶暴さは抑えられるかわりに、節度ある紳士的な演奏になるところは、意外な魅力です。

朝比奈 隆/北ドイツ放送交響楽団

朝比奈★★★☆
一楽章、古めかしい音ですが演奏には凄みが感じられます。低弦が唸りを上げています。若い頃の朝比奈の意気込みが感じられる演奏です。激しい演奏でした。

二楽章、強弱の変化など晩年の演奏にはない積極的な表現です。

三楽章、この楽章も積極的な音楽運びが印象的です。

四楽章、息つく暇も与えずに一気に演奏した感じでした。

ヘルベルト・フォン・カラヤン/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

icon★★★
一楽章、ベートーベンでも、この頃の作品だったら、もっと響きが薄い方が合っているような気がするのですが、カラヤンの世界では、分厚い響きです。
この全集はどの曲も速いようです。まるで、現代の最高水準だと、これだけの演奏が出来るんだ!と見せびらかすような感覚さえ覚えてしまうのは、私の性格の悪さでしょうか。
幻想交響曲では、むしろ遅めのテンポでオケを完璧にドライブした名演だったと思うのですが、ベートーベンがなぜにこんなに速くなくてはいけないのか?
それでも、このテンポと音楽にオケがピッタリ付いてきているのは、さすがにカラヤンです。アーティキュレーションにもオケ全体が反応して、ひとつの音楽をしているのはすばらしいことです。

二楽章、現代の都会へ行けば行くほど水が濁るように、ベルリンpoの音は濁っていて底まで見通すことができません。
表面で鳴っている音は綺麗なのですが・・・・・。
この時代の作品であれば、編成を小さくしても、響きの透明度を求めるべきではないかと、個人的には思います。
この全集で感じるのは、編成を大きくして響きが分厚くなっているのに、演奏のスケールが小さいことがとても気になります。
カラヤンのブルックナーはまだ聞いたことがないのですが、こんなにスケールの小さい演奏でブルックナーをやられたらたまりませんね。

三楽章、表現は控えめで節度があります。

四楽章、一糸乱れぬ見事な演奏でした。

ロブロ・フォン・マタチッチ/NHK交響楽団

icon★★★
一楽章、あまり飾りっけがないけれども、骨組みのしっかりした演奏です。
N響の深い響きも魅力的です。1970年代の第九に比べると格段の進歩が伺えます。

二楽章、同じN響でもデュトワが指揮するときとは、響きの重さがかなり違います。もちろん取り上げる作品も違うので、響きが違うのは当然ですが、マタチッチの響きは重量感があります。
反面、色彩感や華やかさには乏しい感じはあります。この演奏では響きがマットな感じです。

三楽章、太い筆で描かれていくような豪快さで、優雅さとは隔絶しています。

四楽章、野太い音楽です。表面の美しさを求める演奏ではありません。

ジョージ・セル/クリーブランド管弦楽団

セル★★★
一楽章、勢いのある打撃でした。研ぎ澄まされた刃物のような鋭く輝く響き。大きな歌などは無く、淡々と流れて行きます。

二楽章、淡々としていますが、切々と迫って来ます。

三楽章、緻密な弦のアンサンブルですが、禁欲的と言うか、ほとんど歌わないので、精密機械のようです。

四楽章、音楽に躍動感が無く、表面だけが動いているような感じがします。コーダから加速して凄い勢いです。

コーダの凄い勢いを印象付けるために、その前を淡々と無表情に演奏したかのようでした。四楽章のコーダまではほとんど印象に残らない演奏でした。
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フランス・ブリュッヘン/オランダ放送室内管弦楽団

ブリュッヘン★★
一楽章、ゆったりと厚みのある響きです。そんなに速くはない第一、第二主題。現代楽器のオケの柔らかい響きで弦もビブラートを掛けている中でティンパニだけが、バロックティンパニで使うような木のマレットで硬い音で叩いているのに違和感があります。あまり歌うことも無く、強弱の変化にも敏感に反応しないですし、淡々とした平板な印象の演奏です。

二楽章、あまり音量を落とさない第一主題。演奏しやすい音量で演奏しているようで、緊張感はありませんが厚みのある暖かい響きは美しいです。表面が強い強弱の変化が無くなだらかに均されたような、サラサラと流れるような音楽です。

三楽章、この楽章もあまり速いテンポではありません。どうしても緩い感じが付きまといます。

四楽章、腰が重い感じで、反応が鈍い印象です。最後の音が異常に小さかった。オケが出るのを躊躇したような最後でした。

厚みのある美しい響きでしたが、強弱の反応が敏感では無く、腰の重い、鈍い演奏でした。ベートーベンの音楽を聴いている感じはありませんでした。
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ジェイムズ・ロックハート/ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団

icon
ミスもないし、ケチをつける必要もないとは思うのですが、私の聴き方には合わない演奏だったと思います。

集中力が音になって現れてこないと、こちらも聴く気持ちが薄らいできます。残念ですが、私はこの全集を再度聴くことはないだろうと思います。

グスタフ・クーン/ボルツァーノ・トレント・ハイドン管弦楽団

クーン
一楽章、確実な足取りの序奏。そのまま大きくテンポを速めずに進む第一主題。この指揮者の演奏はどれもそうなのですが、スピード感やダイナミックな強弱の変化が無く起伏に乏しい音楽で、聞きようによっては、緩い演奏に聞こえてしまいます。

二楽章、静かに淡々と進みます。ほとんど起伏の無いのっぺりとした演奏です。特別なことは何もしない演奏は、楽譜に忠実だともいえますし、誠実な演奏だとも言えますが、私にとっては退屈な演奏です。

三楽章、速めのテンポで始まり、トリオでテンポを落としました。ほとんど表情が無く、緩いです。

四楽章、常識的な範囲を決して逸脱しない演奏には安心感もありますが、ワクワクするような期待感も無い演奏には魅力を感じることはできませんでした。

個性を感じることはできませんでした。緩い演奏です。
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リッカルド・ムーティ/ミラノ・スカラ座フィルハーモニー管弦楽団

ムーティ
一楽章、ゆっくりとした二打。落ち着いて、しっかりとした足取りです。テヌートぎみに演奏した第二主題。時折すごく古めかしい音がします。強弱の変化にはあまり敏感な反応は無く、ベートーベン独特のバネのような強靭な音楽ではありません。

二楽章、ねばったり、深く歌ったりすることは無く、あっさりと進みます。

三楽章、速めのテンポなのですが、残響成分が少ないのか、響きに豊かさがありません。

四楽章、デッドな録音のためか、音が近く、溶け合いません。強弱の変化も控えめで、響きも薄くあまり魅力を感じる演奏ではありません。

響きが薄く、デッドで、音が近く溶け合わない響きは聞いていてちょっと辛かったです。演奏も、強弱の変化などに対しても敏感に反応することは無く、ベートーベンらしいバネのような音楽は聞けませんでした。
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巨匠たちが残したクラシックの名盤を試聴したレビュー ・ベートーヴェン:交響曲第2番の名盤を試聴したレビュー