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レスピーギ 交響詩「ローマの噴水」

レスピーギの交響詩「ローマの噴水」(Fontane di Roma)は、イタリアの作曲家オットリーノ・レスピーギによる交響詩で、1924年に発表されました。この作品は、ローマの街にある4つの有名な噴水をテーマにして、それぞれの噴水が異なる時間帯に見せる美しさと雰囲気を音楽で描き出しています。レスピーギはこの作品で、光、色、音を巧みに表現し、聴き手に視覚的なイメージを喚起させる力を発揮しました。

各楽章の内容と特徴

「ローマの噴水」は4つの楽章から成り、それぞれが異なる時間帯のローマの噴水の情景を描写しています。

  1. 夜明けの「ヴァッレ・ジュリアの噴水」
    曲の始まりは、朝の静けさと爽やかさを感じさせる穏やかな音楽で、ローマ郊外にあるヴァッレ・ジュリアの噴水が夜明けの光に輝く様子を表現しています。弦楽器の柔らかい音色と、ホルンやフルートによる鳥のさえずりが、徐々に目覚める自然の静寂と生命の息吹を感じさせます。
  2. 朝の「トリトンの噴水」
    次の楽章は、朝のトリトンの噴水で、華やかで生き生きとした音楽です。トリトンが水を吹き上げる様子を表現したトランペットやホルンのファンファーレが特徴で、ローマの人々が活動を始める朝のエネルギッシュな雰囲気が伝わります。ここでは、音楽が急激に展開し、都会の活気や力強さが感じられます。
  3. 昼の「トレヴィの噴水」
    第3楽章では、トレヴィの噴水が真昼の陽光に照らされてきらめく様子が描かれます。この楽章は最も壮麗で、優雅なメロディが際立ち、トレヴィの噴水の圧倒的な美しさと水のきらめきを表現しています。水が湧き出し、きらきらと輝く光の効果を、管弦楽の音色とリズムで生き生きと表現しています。
  4. 夕暮れの「メディチ荘の噴水」
    最終楽章は夕暮れから夜へと移りゆくメディチ荘の噴水で、最も静かで神秘的な音楽です。遠くに聞こえる牧歌的な旋律や、静かな響きが、日が沈みゆく荘厳な雰囲気を醸し出しています。特に、徐々に暗くなる風景や静寂を増す空気感が、低音楽器の響きと共に表現され、やがて夜の静けさとともに音楽が消え入るように終わります。

音楽的な特徴と評価

レスピーギは、色彩豊かなオーケストレーションを得意とし、この作品でも精緻で多彩な音響効果が随所に現れます。光と影、水の流れやきらめきといった視覚的な要素を、巧みに音楽で表現しているのが特徴です。レスピーギは各楽器の音色を活かして噴水の煌めきや流れを再現し、聴き手に視覚的なイメージを思い起こさせます。

「ローマの噴水」は、レスピーギの代表作として非常に高く評価されており、彼が描写音楽の達人であることを示す一作です。また、この作品は「ローマ三部作」(「ローマの松」「ローマの祭り」と共に)の一部としても有名で、ローマの美しい風景や歴史的な情景を称えるシリーズ作品の一つとして愛されています。

4o

たいこ叩きのレスピーギ 交響詩「ローマの噴水」名盤試聴記

ユージン・オーマンディ/フィラデルフィア管弦楽団

icon★★★★★
夜明けのジュリアの谷の噴水、朝靄のなかから噴水が浮かび上がるような描写。いろんな音が聞こえてきます。鮮やかな色彩感です。
朝のトリトンの噴水、枯れたようなトランペットの響き。曲によって響きを変化させるフィラデルフィアサウンド!
昼のトレヴィの噴水、バストロンボーンの躍動感あるリズム、セピア色の写真を見ているかのようなトランペットの響き。名コンビの面目躍如です。
たそがれのメディチ荘の噴水、生き生きとした木管の表情。繊細な弦。すばらしい演奏でした。

ジュゼッペ・シノーポリ/ニューヨーク・フィルハーモニック

シノーポリ★★★★★
夜明けのジュリアの谷の噴水 あまり弱音を意識せずに演奏しやすい音量での開始です。テンポは速めです。
朝のトリトンの噴水 ふくよかなホルン。トゥッティでは金属系の打楽器を強調せずに渋い響きでした。シンバルも柔らかい良い音です。
昼のトレヴィの噴水 金管の古めかしい響きがとても作品に合っています。シノーポリも途中でテンポを僅かに速めました。頂点を過ぎたあたりのトロンボーンとテューバの響きが印象的です。木管楽器も太い響きで音楽に安定感を与えています。
たそがれのメディチ荘の噴水 弦合奏も分厚い響きです。フルートも太い音です。作品の描写よりもローマの歴史を感じさせてくれる演奏でした。

ヘルベルト・フォン・カラヤン/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

icon★★★★★
夜明けのジュリアの谷の噴水 凄く抑えられた弱音で開始される弦。早朝の薄明かりをイメージさせる木管。静寂感があって美しいです。
朝のトリトンの噴水 ゆっくりとしたテンポで伸び伸びと演奏されるホルン。眩いばかりの色彩感です。
昼のトレヴィの噴水 ここもゆったりとしていて、オケの見事な引きを堪能できます。テヌートで演奏されるトランペットも非常に美しいです。音の洪水のように溢れ出し、オケの機能を満喫できます。
たそがれのメディチ荘の噴水 夕暮れのたそがれもとても良く表現されています。ゆっくりとしたテンポでとても丁寧に描かれています。
薄暮から眩い日の出から、音の洪水のような眩い色彩感から、夕暮れのたそがれまで、見事な表現でした。

イシュトヴァン・ケルテス/ロンドン交響楽団

ケルテス★★★★★
夜明けのジュリアの谷の噴水、速めのテンポですが、とても良く歌います。
朝のトリトンの噴水、 朝日の眩さを十分に表現しています。
真昼のトレヴィの泉、かなり激しく咆哮する金管。強烈にあふれ出す音の洪水です。
黄昏のメディチ荘の噴水、夕暮れの寂しさもとても良く表現しています。振幅の大きな表現と、描写もなかなかでとても良い演奏だったと思います。
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アントニオ・パッパーノ/サンタ・チェチーリア国立音楽院管弦楽団

パッパーノ★★★★★
夜明けのジュリアの谷の噴水、ゆったりと一音一音とても丁寧な演奏です。さらにテンポを落とすところも多くあります。これだけ作品に共感した歌を伴った丁寧な演奏は初めてです。
朝のトリトンの噴水、 強い眩さはありませんが、落ち着いています。朝を感じさせるフルート。一つ一つの音にとても細やかな神経が行き届いていて、生命力を感じさせる演奏です。
真昼のトレヴィの泉、一転して速いテンポになりますが、朗々と演奏するトランペット。ここでも生命観を感じさせる壮大な演奏が続きます。
黄昏のメディチ荘の噴水、夕暮れを感じさせるイングリッシュホルン。どのパートも実に良く黄昏を表現しています。消え入るような弱音も集中力があってとても良いです。
一つ一つの音に細心の注意をしながらとても行き届いた演奏でした。だからと言ってスケールが小さくなることも無く、とても豊かな表現と壮大な頂点を聞かせてくれました。見事な演奏でした。
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リカルド・ムーティ/フィラデルフィア管弦楽団

icon★★★★★☆
夜明けのジュリアの谷の噴水 弱音の弦楽器の丁寧な演奏から、木管のソロ。歌があります。
朝のトリトンの噴水 トゥッティの眩いばかりの色彩感がすばらしい。
昼のトレヴィの噴水 躍動感のあるテンポで音楽が進みます。途中でテンポを少し速めます。まさに音の噴水のように色彩豊かな音楽です。
たそがれのメディチ荘の噴水 たそがれ感が上手く表現されています。
すばらしい演奏でしたが、ちょっと無難な感じも残りました。

アルトゥーロ・トスカニーニ/NBC交響楽団

トスカニーニ★★★★★☆
夜明けのジュリアの谷の噴水、速めのテンポですが、キリッと引き締まっています。微妙にテンポが動いて表現も豊かです。
朝のトリトンの噴水、 ナローレンジですが、眩さは感じます。
真昼のトレヴィの泉、 色彩感は決して豊かではありませんが、湧き上るような力強さは見事です。オケも当時の最高レベルだったことは容易に想像できます。
黄昏のメディチ荘の噴水、夕暮れの寂しさもとても良く表現しています。モノラルであることを除けばバランスやオケの技術などは現在の演奏と遜色無いものだと思いました。
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シャルル・デュトワ/モントリオール交響楽団

デュトワ★★★★★☆
夜明けのジュリアの谷の噴水、このコンビらしい透明感の高い響きで、水彩画のような淡い色彩でスマートな演奏です。伸びやかで繊細です。
朝のトリトンの噴水、大騒ぎすることも無く紳士的で爽やかな美しい演奏が続きます。
真昼のトレヴィの泉、ゆっくり始まってその後一転してテンポが速くなりました。かなりテンポは速いですが、オケは伸びやかに美しく鳴り響きます。
黄昏のメディチ荘の噴水、キラキラと夕日を反射する水辺のようで美しいグロッケン。ゆっくりとしたテンポでたっぷりとした表現です。夕暮れの寂しさも表現されますが、サラサラとしたとても爽やかな響きです。
緩急の変化の大きな演奏でした。ゆっくりとしたテンポの部分の表現も豊かでした。水彩画のような淡い色彩と爽やかで美しい響きが魅力的でした。
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アラン・ギルバート/ニューヨーク・フィルハーモニック

ギルバート★★★★
夜明けのジュリアの谷の噴水、 速めのテンポですが、くっきりと浮かび上がる楽器の色彩が豊かです。
朝のトリトンの噴水、 眩いばかりの色彩感。ニューヨークpoもかつての輝きを取り戻して来ているのが伺えます。
真昼のトレヴィの泉、 鋭く明快に鳴り響く金管。全開になるような感じではありませんが、熱気は感じます。
黄昏のメディチ荘の噴水、作品を必要以上に描写を強調することは無く、作品を忠実に音にした演奏のようでした。
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アンドレア・バッティストーニ/東京フィルハーモニー管弦楽団

バッティストーニ★★★★
夜明けのジュリアの谷の噴水、速めのテンポでグイグイと進みますが過不足無い表現です。
朝のトリトンの噴水、朝日の眩さはありますが、色彩感はあまり濃厚ではありません。
真昼のトレヴィの泉、シンバルが強烈ですが、他は突出する部分も無く整った演奏です。
黄昏のメディチ荘の噴水、夕暮れの寂しさはとても良く表現されています。
話題盤ですが、私には際立った演奏には感じられませんでした。整った美しい演奏ではあったと思います。
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サカリ・オラモ/フィンランド放送交響楽団

オラモ★★★
夜明けのジュリアの谷の噴水、とても大きく歌うオーボエ。クラリネットも豊かな表現です。テンポの動きがあって、大きな間を取る部分もありました。
朝のトリトンの噴水、 色彩感はあまり濃厚ではありませんが、表現は生き生きとして積極的です。
真昼のトレヴィの泉、 線が細く大きな盛り上がりにはなりません。
黄昏のメディチ荘の噴水、ここでもテンポの動きがあって、表現意欲を感じます。
テンポの動きや大きな表現などかなり積極的な演奏でしたが、真昼のトレヴィの泉の線が細く、オケが一体になった分厚い響きを聞くことはできませんでした。
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ユージン・オーマンディ/フィラデルフィア管弦楽団

オーマンディ★★★
夜明けのジュリアの谷の噴水、オーボエやクラリネットが際立っています。オーマンディはこのように主旋律を際立たせて、音楽をシンプルに分かりやすく聞かせる傾向があるように思います。
朝のトリトンの噴水、軽いホルン。小物打楽器もあまり強くは無く、眩い感じはありませんでした。
真昼のトレヴィの泉、後のRCAの録音のような老獪さは無くとても張り切った演奏で、ストレートです。
黄昏のメディチ荘の噴水、フィラデルフィアサウンドと言われた豪華な響きはまだ無く、音楽の運びも複雑さはありません。作品に正直で真面目な演奏に感じます。
主旋律が際立っていて、シンプルでストレートな演奏でした。後のRCAとの録音のような力の抜けた老獪さは無く、作品に正直で真面目な演奏だったと思います。
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ロリン・マゼール/フランス国立管弦楽団 1979Live

マゼール★★
夜明けのジュリアの谷の噴水、ゆっくりとしたテンポで豊かに歌うオーボエ。普通ではあまり聞えない旋律が表に出てきます。
朝のトリトンの噴水、 録音によるものかも奥まったホルンと金物打楽器があまり強く無く眩い感じはありません。マイルドで色彩感は乏しいです。
真昼のトレヴィの泉、 ティンパニがポンポンと響く割りに金管は遠くてあまり前に出てきません。
黄昏のメディチ荘の噴水、夕闇の寂しげな雰囲気はありますが、録音はあまり鮮明ではなく表情もあまり分かりません。
ライヴの制約からかあまり鮮明な録音では無く、金管が奥まっていて小物打楽器も鮮明ではなく描写や表現などはあまり分かりませんでした。
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シャルル・ミュンシュ/ニュー・フィルハーモニア管弦楽団

ミュンシュ★★
夜明けのジュリアの谷の噴水、アナログディスクの再生でスクラッチノイズがあります。遅めのテンポでさらにテンポの動きもあり、丁寧に演奏されています。
朝のトリトンの噴水、浅く軽いホルン。ここも遅めのテンポで一音一音丁寧です。
真昼のトレヴィの泉、盛り上がっても音圧が上がりません。かなり歪みっぽい感じもあります。盛り上がりに合わせてテンポも速くなります。
黄昏のメディチ荘の噴水、ここでもテンポの動きがあってなかなかロマンティックです。最後はかなりテンポが遅くなります。
ミュンシュの感情に合わせてテンポがかなり動く演奏で、なかなかロマンティックでしたが、歪みが多く盛り上がる部分で音圧を感じない録音もちょっと残念でした。
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ダリル・ワン/ヴィクトリア交響楽団

ワン
夜明けのジュリアの谷の噴水、速めのテンポですが、良く歌います。ブレスではっきりと音が途切れます。テンポの動きもあって積極的に表現しています。旋律を演奏する奏者が立ち上がって演奏しています。
朝のトリトンの噴水、浅い響きのホルン。金物打楽器は歪みっぽいです。
真昼のトレヴィの泉、オフぎみの録音でトゥッティはかなり混濁します。
黄昏のメディチ荘の噴水、静寂感や夕暮れの黄昏を感じさせるような描写は感じません。ここでもブレスで音楽が途切れます。
トゥッティで混濁する録音であまり細部は分かりませんでしたが、木管のブレスではっきりと音楽が途切れたりして、あまり優秀なオケではない感じの演奏でした。
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巨匠たちが残したクラシックの名盤を試聴したレビュー ・レスピーギ:交響詩「ローマの噴水」の名盤を試聴したレビュー

レスピーギ 交響詩「ローマの松」

レスピーギの交響詩「ローマの松」は、イタリアの作曲家オットリーノ・レスピーギが1924年に作曲した作品で、「ローマ三部作」の一つにあたります。ローマのさまざまな場所に生える松の情景を通して、都市の歴史や風景、そしてドラマチックな雰囲気を音楽で描写しています。「ローマの松」は、華やかで色彩豊かなオーケストレーションと劇的な音の展開で知られ、壮麗な音響の表現がこの曲の特徴です。

各楽章の構成

「ローマの松」は全4楽章で構成されており、それぞれがローマ市内の異なる場所や情景を描写しています。

  1. 第1楽章「ボルゲーゼ荘の松」
    明るく活気ある音楽で、ボルゲーゼ荘に集う子供たちが遊ぶ様子を描いています。速いテンポで、小鳥のさえずりや子供たちの笑い声を思わせるような音型が繰り返され、フルートやピッコロ、弦楽器の軽快なリズムが、生き生きとした情景を描き出します。この楽章は、エネルギーと無邪気さに溢れた躍動感が特徴です。
  2. 第2楽章「カタコンブ付近の松」
    この楽章は、静かな墓所であるカタコンブの松の周りに漂う、神秘的で厳かな雰囲気を表現しています。深い低音から始まり、ホルンやトロンボーンが重厚なメロディを奏でることで、死者への敬意や神秘的な空気感を強調しています。音楽は徐々に盛り上がり、壮大なスケールで荘厳さを感じさせますが、最終的には静かに沈んでいきます。
  3. 第3楽章「ジャニコロの松」
    ローマのジャニコロの丘にそびえる松の下で、月夜に包まれた情景が描かれています。弦楽器の穏やかなメロディが美しく、夢見るような音楽が広がります。この楽章ではナイチンゲール(夜鳴きうぐいす)の歌声も使われ、夜の静寂と神秘的な雰囲気が際立ちます。この楽章は全体的に叙情的で、レスピーギのロマンティックな一面が感じられる瞬間です。
  4. 第4楽章「アッピア街道の松」
    最終楽章は、この曲のクライマックスであり、ローマの古代の軍事道路、アッピア街道に並ぶ松を描いています。遠くから徐々に近づく軍隊の足音が低音のリズムによって表現され、やがて荘厳なファンファーレが響き渡り、壮大な凱旋行進が展開されます。金管楽器や打楽器が次第に力強さを増し、最後にはオーケストラ全体が一丸となって圧倒的な音響を奏で、堂々たるフィナーレを迎えます。レスピーギが持つオーケストレーションの巧みさが最大限に発揮された、迫力ある終結です。

音楽的な特徴と評価

「ローマの松」は、その色彩豊かなオーケストレーションが特に評価されています。レスピーギは、楽器の持つ響きを巧みに使い分けており、ローマの風景や情景が非常に視覚的に描かれているように感じられます。特に、第4楽章の圧倒的なフィナーレは、しばしばコンサートのハイライトとして取り上げられ、観客に強い印象を残します。

また、レスピーギは自然音の取り入れにも独自の工夫を凝らしており、第3楽章でのナイチンゲールの歌声を録音音源で再現したり、打楽器や金管楽器の使い方によって、戦いの迫力や静寂の美しさを効果的に表現しています。この作品は、20世紀の交響詩の傑作とされ、レスピーギのローマへの愛情や、壮麗でドラマティックな音楽性が詰まった作品です。

たいこ叩きのレスピーギ 交響詩「ローマの松」名盤試聴記

ジュゼッペ・シノーポリ ニューヨーク・フィルハーモニック

シノーポリ★★★★★
ボルゲーゼ荘の松 いろんな楽器の動きが克明に再現された演奏です。強弱やテンポの動きもあって面白い演奏です。

カタコンブ付近の松 フルートのソロが生き生きとしていて印象的でした。直後のトランペットのソロは遠くから聞こえてきます。トロンボーンの旋律とともに弦の伴奏と同じパッセージをホルンが演奏しているのを強調していました。その後もホルン大活躍です。それにしてもニューヨークpoのホルンは上手くなりましたね。

ジャニコロの松 ゆったりとしたピアノソロから伸びやかなクラリネットソロです。ここでも強弱の変化やテンポの動きがあります。

アッピア街道の松 ゆったりとしたテンポです。イングリッシュホルンが豊かな歌を歌います。トランペットのファンファーレはステージ裏からのようです。ホルンが強烈!分厚いサウンドでクライマックスを築いて行きます。すばらしい演奏でした。

ダニエレ・ガッティ サンタ・チェチーリア国立アカデミー管弦楽団

ガッテイ★★★★★
ボルゲーゼ荘の松 豊かな残響で奥行き感のある響きです。小物打楽器はあまり前に出て来ず、騒々しさはありません。はち切れんばかりのエネルギーです。

カタコンブ付近の松 静かで寂しげな雰囲気です。遠くから響くトランペット。なかなか良い雰囲気です。トランペットの後からテンポが遅くなりました。

ジャニコロの松 速いテンポですが、飛び散るような夜の雰囲気のピアノです。続くクラリネットはゆったりと秘めた歌です。テンポも自由に動いています。

アッピア街道の松 速めのテンポです。残響を含んでとても雰囲気のあるイングリッシュホルン。ファンファーレはオープンで柔らかいです。とても軽く入ったトロンボーン。サスペンドシンバルのクレッシェンドの後もかなり余力を残した演奏です。一回目のクラッシュシンバルでも余裕です。二回目のクラッシュシンバルから全開です。抑えて抑えて最後に爆発する堂々とした演奏は素晴しいものでした。

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ユージン・オーマンディ フィァラデルフィア管弦楽団

icon★★★★★
ボルゲーゼ荘の松、切れば血が吹き出るかのようなはつらつとした演奏です。

カタコンブ付近の松、トランペットソロはステージ上か裏か微妙な位置です。意外と力みの無い頂点でした。

ジャニコロの松、ピアノとクラリネットが見事に夜を再現しています。

アッピア街道の松、速めのテンポです。このテンポに乗ってイングリッシュホルンのソロも歌います。金管が次々と波が押し寄せるように迫ってきます。一気に聴かせました。

尾高 忠明 BBCウェールズ交響楽団

尾高 忠明★★★★★
ボルゲーゼ荘の松 フワッとした柔らかい響きの中から鋭いトランペットが響きます。柔らかく残響を伴っているので、騒がしい感じはあまりありません。

カタコンブ付近の松 厚みのある弦の響き。寂しげな雰囲気や暗さがとても良いです。遠くから響くトランペット。伸びやかな弦。トロンボーンも伸びやかです。

ジャニコロの松 月明かりの中で響くピアノ。クラリネットも夜の雰囲気で豊かに歌います。

アッピア街道の松 速めのテンポです。イングリッシュホルンも豊かな表現です。ミュートしたトランペットのファンファーレ。二回目はオープンで柔らかい響きです。サスペンドシンバルに合わせて大きな盛り上がり。パイプオルガンも含めて大きな盛り上がりでした。素晴しい演奏でした。

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ルイス・レーン アトランタ交響楽団

レーン★★★★☆
ボルゲーゼ荘の松 シャープな響きでスッキリしています。騒々しく雑然とした感じではありません。引き締まったアンサンブルはなかなか良いです。

カタコンブ付近の松 ほの暗く沈んだ響きでホルンも郷愁に満ちた響きです。ゆったりと美しいトランペット。伸びやかな弦。大きく盛り上がって力強いトロンボーン。ホルンも気持ちよく鳴り響きます。

ジャニコロの松 ソフトなタッチのピアノ。静寂の中に響くクラリネットは夜の雰囲気があります。

アッピア街道の松 柔らかいイングリッシュホルンも美しいです。ミュートしたトランペットのファンファーレ。二回目はオープンで伸びやかでした。軽く入ったトロンボーン。一回目のクラッシュシンバルへ向けてティンパニが大きくクレッシェンドしました。軽々と鳴り響く金管は見事でした。

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フリッツ・ライナー シカゴ交響楽団

フリッツ・ライナー★★★★☆
ボルゲーゼ荘の松 くっきりと色彩感が豊かで賑やかです。オケもショルティ時代を思わせるような明快な鳴りです。

カタコンブ付近の松 重厚な響きです。穏やかで心安らぐ感じです。トランペットはステージ上のようです。明快に強く鳴り響くトロンボーン。

ジャニコロの松 少し距離があり、夜を感じさせるピアノ。クラリネットも控えめですが、豊かな表現で、とても良い感じです。

アッピア街道の松 ガツガツと響くコントラバス。速めのテンポです。テンポ一杯に使って歌うイングリッシュホルン。ミュートしたトランペットのファンファーレ。二回目はオープンで柔らかいです。サスペンドシンバルのあと次から次へと重なってくる金管。凄いエネルギー感です。クラッシュシンバルが少し小さい感じがありました。

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アントニオ・パッパーノ サンタ・チェチーリア国立音楽院管弦楽団

パッパーノ★★★★
ボルゲーゼ荘の松 鋭いトランペット。小物打楽器は抑えられていて、あまり賑やかではありません。生き生きとした木管の表情です。

カタコンブ付近の松 ゆっくりとねっとりとした表現です。かなり遠くから響くトランペット。トロンボーンやホルンは軽い感じで演奏しています。

ジャニコロの松 あまり夜の雰囲気の無いピアノ。クラリネットは弱音で、夜の雰囲気たっぷりです。とても豊かな表現です。ナイチンゲールも遠くから静かに響いて来ます。

アッピア街道の松 イングリッシュホルンと絡むクラリネットも控えめです。トランペットのファンファーレは二回ともオープンです。トロンボーンも控えめに入りました。サスペンドシンバルの合わせて大きく盛り上がり、かなりのエネルギーです。

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小澤 征爾 ボストン交響楽団

小澤 征爾★★★★
ボルゲーゼ荘の松 柔らかい響きですが、賑やかさはあります。速めのテンポで生き生きとした表現です。

カタコンブ付近の松 神聖な響きのフルート。少し距離のあるトランペット。トロンボーンは軽く大きな盛り上がりにはなりませんでした。

ジャニコロの松 とてもリアルで夜の雰囲気を感じさせないピアノ。木管や弦のソロなどとても鮮明で夜の雰囲気はありません。

アッピア街道の松 ガツガツと響くコントラバス。豊かに歌うイングリッシュホルン。離れたところから響くトランペットのファンファーレ。二回目はかなり強めです。サスペンドシンバルのクレッシェンドと共にほぼ全開です。熱のこもった演奏でした。

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ヘルベルト・フォン・カラヤン ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 1984年ザ・シンフォニーホール

カラヤン★★★★
ボルゲーゼ荘の松 ゆったりとしたテンポで遠くにブレンドされて定位するオーケストラ。整然としていて、騒がしい感じはあまりありません。テンポの動きもありますが、総じて重い感じです。

カタコンブ付近の松 静かで荘厳です。ドイツのオケらしい重心の低い演奏で、テンポの遅さも加わってレスピーギらしい色彩感の豊かさはあまり感じません。

ジャニコロの松 柔らかく響くピアノ。濃厚な色彩感はありませんが、ブレンドされた響きはとても柔らかく美しいです。夜を強く感じさせる演奏ではありませんでした。

アッピア街道の松 ここも遅く重いです。イングリッシュホルンが少し遠くから響きます。ミュートしたトランペットのファンファーレ。二度目はオープンです。軽く入るトロンボーン。その後の一体感のある盛り上がりは素晴らしいものがありました。

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エンリケ・マッツォーラ ロシアナショナル管弦楽団

マッツオーラ★★★★
ボルゲーゼ荘の松 突き抜けてくるトランペット。小物打楽器は控えめであまり賑やかではありません。響きは少し寂しい感じがします。

カタコンブ付近の松 重苦しく寂しい演奏です。かなりゆっくりとしたテンポです。遠くから静かに響くトランペット。間を空けながら盛り上がって行きます。

ジャニコロの松 響きを伴ったピアノですが、あまり夜は感じません。夜ではありますが、明るい夜です。波のように押しては返す演奏で、大きな抑揚があります。テンポは遅いですが、間延びはしません。

アッピア街道の松 ゴツゴツとした刻みです。良く歌うイングリッシュホルン。オープンで近いトランペットのファンファーレ。とても軽く入るトロンボーン。一発目のクラッシュシンバルからほぼ全開です。トランペットが突出するバランスですが、気持ちよく鳴り響いていました。

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リカルド・ムーティ フィラデルフィア管弦楽団

icon★★★★
ボルゲーゼ荘の松 鮮やかな色彩。小物打楽器も明瞭です。表現も積極的で音楽に躍動感があります。

カタコンブ付近の松 前半の静かな部分に低音がかなり強めにガツンガツンと入ってきます。トランペットのソロはストレートに聞こえます。次第に盛り上がってトロンボーンが入るところは何とも言えない雰囲気を作り出しました。見事な頂点です。

ジャニコロの松 かなり抑えて注意深く演奏されるクラリネット。この三部作は共通して弱音にものすごく意識を向けているように思います。ハープと木管の絡みが心地よい演奏です。

アッピア街道の松 かなり速いテンポです。舞台裏からのトランペットが舞台上にいるようでした。その分二度目の合図は伸び伸びと響きました。その直後のトロンボーンは控え目でむしろ後から入るトランペットの方が大きいくらいでした。サスペンドシンバルのクレッシェンドに合わせてブラスセクションがクレッシェンドして次第に力強さを増して行きます。壮大なクライマックスでした。

ディーマ・スロボデニューク ガリシア交響楽団

ホロボデニューク★★★★
ボルゲーゼ荘の松 鋭いトランペット。騒々しく賑やかです。

カタコンブ付近の松 一転して深みのある柔らかい響きになります。そんなに遠くは無いトランプット。柔らかいトロンボーンがゆったりとしたテンポで演奏します。

ジャニコロの松 ピアノはあまり夜を感じさせる演奏ではありませんが、続くクラリネットは僅かに潤いが足りませんが、十分に夜です。

アッピア街道の松 力強い歩みです。ステージの裏から柔らかく響くトランペット。力強く濃厚な色彩。凄いエネルギー感です。アッピア街道の松は素晴しい演奏でした。

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アラン・ギルギルバート ニューヨーク・フィルハーモニック

アラン・ギルバート★★★★
ボルゲーゼ荘の松 トランペットが賑やかです。ホルンはアクセントだけを強調して演奏します。ライヴですが、とても整った演奏です。

カタコンブ付近の松 一転して、重く荘厳な響き。ドラも重くとても良い音です。バンダのトランペットは良い距離感ですが、明快に響きます。トロンボーンも明快に抜けて来ます。色彩感も豊かです。

ジャニコロの松 ピアノの夜の雰囲気がとても良いです。クラリネットも美しい。フルートやオーボエもくっきりと浮かび上がります。

アッピア街道の松 イングリッシュ・ホルンも細身でくっきりとしています。柔らかいバンダのアァンアァーレ。見事に鳴り響く金管ですが、録音の限界か、力強さはありま感じませんでした。

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フランシスコ・ラ・ベッキア ローマ交響楽団

ベッキア★★★☆
ボルゲーゼ荘の松 ゆったりとしたテンポでグロッケンが明快に響きます。ゆったりとしている分整然としていて、騒がしさは感じません。

カタコンブ付近の松 遠くから鋭い響きで歌うトランペット。この遅いテンポは作品の一音一音を大切にしようと言う姿勢の表れなのだとは思いますが、レスピーギの色彩感の豊かさが消されて、少し単調に感じてしまいます。

ジャニコロの松 ピアノも遅く、音が繋がって一体になった夜の響きがありません。あまりにも遅くて付いて行けません。

アッピア街道の松 ここも今まで聞いたことが無い遅さです。こもった響きのトランペットのファンファーレ。サスペンドシンバルの後のトランペットのハイトーンの伸ばしは凄かったです。少しずつテンポを速めているようです。テンポを速めながらの盛り上がりはかなり熱くなる感じで良かったです。

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セルジウ・チェリビダッケ シュトゥットガルト放送交響楽団

チェリビダッケ★★★☆
ボルゲーゼ荘の松 とても落ち着きのある演奏で、ゆったりとしていて騒がしくありません。最後はテンポを上げて終わりました。

カタコンブ付近の松 とても静かに始まります。寂しげで寒い感じがします。トランペットはステージ上です。柔らかいトロンボーン。途中からトランペットが下品に出てきます。

ジャニコロの松 ゆっくりとしたテンポです。クラリネットはあまり潤いがありません。ゆっくりと演奏される弦はとても良いです。

アッピア街道の松 ここもとても静かに始まりました。テンポもゆっくりです。引き込むように魅力のあるイングリッシュホルン。とても軽く入るトロンボーン。その後全開になる金管はなかなか凄いです。

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シャルル・デュトワ モントリオール交響楽団

デュトワ★★★
ボルゲーゼ荘の松 デュトワらしい整然と整った演奏で、騒がしさはありません。小物打楽器も他の楽器をマスクする程のことはありません。あまりにも整い過ぎていて、もう少し騒がしい演奏でも良いような気がします。

カタコンブ付近の松 厚みのある響きではありません。カタコンブらしい寂しさはとても良く表現されています。鮮明に響くトランペット。美しいトロンボーン。整然としていて涼しげで、盛り上がっても熱気はありません。

ジャニコロの松 遠くで響くピアノがとても良く夜の雰囲気を表現しています。クラリネットはフランスっぽい感じの響きですが美しいです。この当時は涼しげで凄く美しい響きのオーケストラでしたが、最近では全く名前を聞かなくなりました。どうなっているんでしょうか。

アッピア街道の松 ピアノだけが聞こえるデッドな響き。速めのテンポで、イングリッシュホルンもほとんど歌わずに進みます。ミュートしたトランペットのファンファーレ。二回目はオープンですが、かなり抑えぎみです。金管が重なり合う部分になってもとても冷静です。均整の取れた美しい演奏でしたが、もう少し熱気があっても良かったと思いました。

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ヘルベルト・フォン・カラヤン ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

icon★★★
ボルゲーゼ荘の松 渋く枯れた響きです。噴水の時のような眩いばかりの華やかな演奏ではありません。とてもおちついたテンポです。

カタコンブ付近の松 静寂感があり厳かな雰囲気です。トランペットは離れたところから演奏しているようですが、かなり明瞭に響きます。トロンボーンが入ってもエネルギーを発散するような爆発はありません。とても抑制されています。

ジャニコロの松 一気に夜の雰囲気に引き込むピアノ。クラリネットも夜の雰囲気満点です。このあたりの描写力はさすがカラヤンです。

アッピア街道の松 ピアノの響きを伴って重い歩み。テンポは速めです。始めにに登場するクラリネットなどは低音の歩みに隠れるように弱く演奏されます。イングリッシュホルンはよく歌います。旋律よりも中音域の吹き伸ばす音が強くて旋律が明瞭に聞こえません。最後は輝かしい響きで力強く終わりました。

描写力のある演奏でしたが、アッピア街道の松のバランスがちょっと悪かったのが残念でした。

アルトゥーロ・トスカニーニ NBC交響楽団

トスカニーニ★★☆
ボルゲーゼ荘の松 録音の古さを凄く感じさせます。活発で豊かな表情です。

カタコンブ付近の松 重厚な響きです。ピアノがガッンと響きまい。遠いトランペットはとても良い雰囲気です。録音が古いので、実際には色彩感はあまり無いのですが、色彩感を感じさせる演奏です。力強いトロンボーン。

ジャニコロの松 軽いドラの響き。明るいピアノ。細く遠いクラリネット。あまり夜を感じさせる演奏ではありません。

アッピア街道の松 柔らかい響きで始まる歩み。ミュートしたトランペットのファンファーレ。二回目はオープンです。テンポは次第に速くなっています。最後はテンポを落として終わりました。今のオーケストラの技術に比べると劣る部分も感じました。

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ヘルベルト・フォン・カラヤン フィルハーモニア管弦楽団

カラヤン★★
ボルゲーゼ荘の松 団子になったような響き、ナローレンジです。録音の古さからか、あまり色彩感は豊かではありません。

カタコンブ付近の松 暖かい響きです。少し距離を置いて響くトランペット。トロンボーンにミストーンがあったような感じです。ベルリンpo時代の表面を磨き上げたような演奏とは少し違う感じがします。

ジャニコロの松 暗い夜の雰囲気です。それにしても色彩感が乏しいのが残念です。

アッピア街道の松 かなり大きい音でゆっくりと始まりました。離れた所から強く響くトランペットのファンファーレ。二度目はかなり強く響きます。トロンボーンが入ったあたりで、もうかなりの音量に達しています。途中はかなり強烈な演奏になりますが、最後はまとまって終わりました。

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ホルスト・シュタイン NHK交響楽団 1985年

ホルスト・シュタイン★★
ボルゲーゼ荘の松 ホルスト・シュタインのイメージとは違う華やかな演奏です。N響の反応もとても良いです。

カタコンブ付近の松 一転して柔らかい響きになります。速いテンポになり遠くから響くトランペット。トロンボーンが入ってもどっしりと重心が低いところはホルスト・シュタインらしい演奏です。

ジャニコロの松 夜露に濡れた夜を表現するピアノ。潤いのある弦に対して乾いた響きのクラリネットが夜の雰囲気とは違う感じです。

アッピア街道の松 かなり速いテンポです。力強さはありますが、少し落ち着きが無い感じです。金管も良く鳴り響きますが、少しドタバタした感じがあります。

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アンタル・ドラティ ミネアポリス交響楽団

ドラティ★☆
ボルゲーゼ荘の松 高域寄りでかなり賑やかです。小物打楽器も盛大です。躍動感があってはつらつとしています。

カタコンブ付近の松 ここでも静寂感はあまり感じられず、積極的で、荘厳な感じではなく腰高な感じです。テンポも速めで、あまり丁寧な演奏には感じません。

ジャニコロの松 僅かに夜を感じさせますが、華やかなピアノ。あまり情景描写されている感じはありません。夜の音楽の雰囲気はほとんどありません。

アッピア街道の松 大きめの音量で始まります。細めのイングリッシュホルン。金管は強く鳴り響きますが、何故かバラバラな感じで一体感がありませんでした。

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レナード・バーンスタイン ニューヨーク・フィルハーモニック

icon
ボルゲーゼ荘の松 とても賑やかです。速いテンポにオケが付いて行けないような部分もあって、ちょっと雑な印象です。

カタコンブ付近の松 厚みがあって温もりのある響きです。離れたところからですが、鋭く明瞭に響くトランペット。トロンボーンが入る前は大きな盛り上がりがありましたがトロンボーンが入ってからは意外と抑えた表現でした。

ジャニコロの松 ちょっと明るいピアノ。潤いが無く乾いた響きのクラリネット。夜の雰囲気はあまりありません。

アッピア街道の松 イングリッシュホルンの前に入る楽器がカラヤンの演奏とは対照的にはっきりと入ります。イングリッシュホルンも乾いた響きです。ミュートをしたトランペットのファンファーレはとても弱いです。楽器が多層的に重なる感じがあまり無く、旋律だけが聞こえるようです。

乾いた浅い響きで、雑な感じがしました。

ロレンツォ・カストリオ・スカンデルベク RTVスロベニア交響楽団

スカンデルベク
ボルゲーゼ荘の松 僅かにマスクされたような響きで鮮明ではありません。奥行き感はあるのですが、どこかもたついた感じもあります。

カタコンブ付近の松 フルートもブレンドされていてくっきりと浮かび上がっては来ません。トランペットはかなり遠くから響いて来ます。トランペットが終わってからはかなりテンポが速くなりました。落ち着きの無いトロンボーン。

ジャニコロの松 ピアノに夜の雰囲気はありませんでした。色彩感もあまりありません。

アッピア街道の松 ピアノがゴツゴツと響き速いテンポで進みます。イングリッシュホルンも全体にブレンドされています。柔らかいトランペットのファンファーレ。熱い感じは伝わって来ましたが、金管があまり前に出てこないので、強さはありませんでした。

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ホセ・クーラ ワルシャワ・フィルハーモニー管弦楽団

クーラ
ボルゲーゼ荘の松 離れていて残響も多いので、細部は分かりません。ハムノイズもあります。

カタコンブ付近の松 ゆっくりとしています。少し離れたところから響くトランペット。フルートなどは激しく歪みます。

ジャニコロの松 残響が多いので、何となく雰囲気はありますが、歪みっぽいのはかなり厳しいです。

アッピア街道の松 イングリッシュホルンも歪んでいます。かなり大きいトランペットのファンファーレ。ファンファーレに比べるととても弱いトロンボーン。録音のバランスもかなりおかしいです。

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レスピーギ:交響詩「ローマの松」の名盤を試聴したレビュー

レスピーギ 交響詩「ローマの祭り」

レスピーギの交響詩「ローマの祭り」(Feste Romane)は、「ローマ三部作」の最後の作品で、1931年に作曲されました。この作品は、古代ローマから中世、現代に至るまで、さまざまな時代のローマで行われてきたお祭りや祝典の活気に満ちた場面を描写しています。豊かでカラフルなオーケストレーションと、エネルギッシュな表現が特徴です。

「ローマの祭り」は4つの楽章で構成され、それぞれが異なる祭りの場面を表現しています:

  1. 第1楽章:チルチェンセス(ローマの競技場)
    古代ローマの戦車競走が行われていたサーカス・マクシムスを舞台にした楽章です。ラッパのファンファーレや打楽器が活躍し、競技場の熱狂や観客の興奮が伝わってくるような迫力あるサウンドで、スリリングな戦車レースの様子を描写しています。
  2. 第2楽章:五旬祭
    中世ローマの宗教的な祝祭「五旬祭」を描写した楽章です。厳かな雰囲気の中に祈りのような旋律が響き、教会の鐘の音や、厳粛な宗教行事のムードが表現されています。神秘的で荘厳な音楽が、霊的な祝福の感覚を与えます。
  3. 第3楽章:十月祭
    収穫の時期に行われる「十月祭」をテーマにした楽章で、田園の豊かさや民衆の歓びが感じられます。牧歌的なメロディと快活なリズムが豊作を祝う場面を描き、踊りや賑やかな宴の情景を彷彿とさせます。ローマの豊かな土地とその恵みへの感謝の気持ちが込められています。
  4. 第4楽章:主顕祭(エピファニア)
    ローマの街がエピファニア(主顕祭)で盛り上がる様子を描いたフィナーレの楽章です。この楽章は特にエネルギッシュで、打楽器が強烈に活躍し、ローマ市民の大騒ぎや華やかな祝祭の情景が展開されます。速いテンポと強烈なリズムが全楽器で重厚に響き、クライマックスに向かって爆発的な勢いで進行し、圧倒的な終結を迎えます。

「ローマの祭り」は、レスピーギの3部作の中でも最も華やかで刺激的な作品であり、聴衆をローマの賑やかな祝祭の世界へと引き込みます。

たいこ叩きのレスピーギ 交響詩「ローマの祭り」名盤試聴記

ジュゼッペ・シノーポリ/ニューヨーク・フィルハーモニック

シノーポリ★★★★★
チェルチェンセス、大円形競技場に響き渡るトランペットの響きが上手く表現されています。続くトロンボーンも遠慮なく吹きます。喧騒と狂気が見事に表現されています。

五十年祭、弦の響きがホールに広がっていく感じがとても心地良いです。イングリッシュホルンのメロディがゆったりと歌われます。巡礼の祈りを丁寧に描いています。「ローマだ!」の歓声や喜びをテンポを速めて表現しています。

十月祭、ホルンがとても良く鳴っています。とても色彩感豊かです。マンドリンもオケの表現になじんでいてとても良いです。

主顕祭、とにかくオケが気持ち良いくらい良く鳴ります。おもちゃ箱をひっくり返したような賑やかさは見事でした。

アンドレア・バッティストーニ/東京フィルハーモニー交響楽団

バッティストーニ★★★★★
チェルチェンセス、良く鳴って美しいトランペット。ライヴ録音ですが、とても明晰です。色んな楽器が次々に襲ってくるようで、狂気の祭りを上手く表現しています。

五十年祭、残響が漂って寂しげで静かな弦。色んな楽器の動きが手に取るように分かります。「ローマだ!」の歓喜も良く表現されています。

十月祭、日本のオーケストラらしい繊細な配慮がされた演奏で、とても丁寧で音色も練られていて美しいです。細かい表現もなかなか良いです。マンドリンも豊かな響きを伴って美しいです。ヴァイオリンのソロも艶やかで濃厚です。

主顕祭、騒々しい祭りの雰囲気も見事に表現しています。猛烈なアッチェレランド!正に狂喜乱舞です。

素晴しい演奏でした。主顕際は圧巻でした。

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小澤 征爾/ボストン交響楽団

小澤 征爾★★★★★
チェルチェンセス、弦もトランペットもとても良く鳴っています。低弦よりもトロンボーンが強いリズムの刻み。あまり歌わずあっさりと演奏される弦。かなり強く良く鳴り響く金管が交錯する場面でネロの狂気の祭りが上手く表現されています。

五十年祭、とても静かで残響を伴って揺れる弦。木管が入っても切々と演奏が続きます。次第にテンポが速くなります。イングリッシュホルンで一旦テンポが落ち着きます。「ローマだ!」の歓喜も鳴り響く金管がとても良く表現しています。

十月祭、ホルンの最後の音を長く伸ばしてさらに間を置いてから次へ入りました。金管は軽々ととても良く鳴ります。柔らかく独特の表現のマンドリン。控えめですが、美しいヴァイオリンのソロ。

主顕祭、整然としていますが、祭りの大騒ぎは感じます。凄いアッチェレランド。最後はどっしりと落ち着いて終わりました。

私は、小澤との相性は悪いのですが、この演奏は良かったです。

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レナード・バーンスタイン/ニューヨーク・フィルハーモニック

icon★★★★☆
チェルチェンセス、凄い勢いとパワーを感じるトランペット。暴君ネロが開催した狂気の祭りを感じさせます。乗りの良い演奏です。

五十年祭、一転して寂しさを感じさせ、揺れる弦。精緻な演奏の緊張感や静寂感はありませんが、とても人間味のある演奏です。やはり雑な部分があります。

十月祭、とても活発で生き生きとしています。速めのテンポで有無を言わさずグイグイ進みます。

主顕祭、賑やかなお祭りです。最後はテンポを速めて祭りのバカ騒ぎのようでした。

雑な部分や強引に進むところもありましたが、主顕祭のバカ騒ぎはなかなか良かったです。

シャルル・デュトワ/モントリオール交響楽団

デュトワ★★★★☆
チェルチェンセス、いつものクールで爽やかな演奏です。トロンボーンと低弦のリズムもあまり強くはありません。とても整っていて、ネロの狂気は表現されていません。それでも軽々と鳴り響く金管はさすがです。

五十年祭、ホールの空間に響きが広がって行く弦。どの楽器も洗練されて美しいです。整然としていて静かです。「ローマだ!」の前はテンポを少し落としてパイプオルガンの重低音も含めて雄大でした。

十月祭、ホルンは軽めです。とても静かに入るマンドリン。とても明るいホルン。艶やかで美しいヴァイオリン。

主顕祭、あまりにも整然と整っていて、狂喜乱舞のお祭り騒ぎではありません。美しさと言う点では文句はありません。

祭りの当事者では無く、周囲で見ている人が美しく描いた演奏でした。

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エンリケ・バティス/ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団

バティス★★★★☆
チェルチェンセス、豪快に鳴り響くトランペット。トロンボーンと低弦のリズムはゆっくりです。弦はゆっくり濃厚に歌います。色彩感も濃厚です。最後もとても遅いテンポでした。

五十年祭、一転して静かにゆらゆらと揺れる弦。哀愁のあるイングリッシュホルン。静かにただひたすら歩く巡礼の姿を良く描写しています。頂点へ向けてゆっくりと大きなスケールで描いて行きます。

十月祭、ビリビリと鳴るホルン。ふくよかな響きではありません。あまり胴の鳴りを捉えていないマンドリン。

主顕祭、最初は速めのテンポで祭りの狂喜乱舞を表現しています。その後テンポは落ちて、トロンボーンのソロはかなり強く演奏しました。猛烈なアッチェレランド。最後も豪快に鳴らして終わりました。

鳴らすところは思い切り鳴らし、静かな部分はとても表情豊かで良い演奏でした。

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アルトゥーロ・トスカニーニ/NBC交響楽団

トスカニーニ★★★★☆
チェルチェンセス、録音が古いので、レンジは狭いですが、芯の強いトランペットです。トロンボーンと低弦のバランスが良いです。静かに歌う弦。狂気は十分に表現されています。

五十年祭、静かな別世界へいざないます。「ローマだ!」への盛り上がり、その後の堂々とした演奏も見事でした。

十月祭、ゆっくり目で伸びやかに響くホルン。歯切れの良いトランペット。セレナーデの前のホルンはミュートしているような音です。かなり大きいマンドリンであまり雰囲気がありません。

主顕祭、トランペット、トロンボーン、金物打楽器が強いので、とても賑やかですが大騒ぎとまでは行きません。最後のアッチェレランドは凄かったです。

録音年代を考えると凄い演奏です。

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リカルド・ムーティ/フィァラデルフィア管弦楽団

icon★★★★
チェルチェンセス、古めかしい響きのトランペット。その後に続く控え目なトロンボーン。次第に音楽が高揚してきて、暴君ネロの狂気を表現しているようです。

五十年祭、寂しげに揺られる弦楽器。巡礼の祈りが心に訴えてくる。そしていろんな楽器が重なって行き「ローマだ!」の頂点を迎える。チャイムがとても良い音で鳴っています。

十月祭、セレナーデの前のホルンが美しかった。マンドリンのセレナーデはテンポが速い。マンドリンは意識的に素人っぽく演奏しているのだろうか?他の楽器の表情の豊かさに比べると、マンドリンが素っ気無い。

主顕祭、祭りの喧騒を表現するには大人し過ぎるように感じます。最後のアッチェレランドは凄かった。

アントニオ・パッパーノ/サンタ・チェチーリア国立音楽院管弦楽団

パッパーノ★★★★
チェルチェンセス、ビリビリと良く鳴るトランペット。トロンボーンと低弦はバランス良く響きます。狂気になるような感じは無く、かなり落ち着いてバランス良く演奏されています。

五十年祭、うつろで寂しい雰囲気です。ファゴットとクラリネットも静かです。盛り上がりに伴ってテンポも速くなります。「ローマだ!」の部分ではマットなトランペットの響きです。

十月祭、ホルンもマットです。セレナーデの前のホルンはテンポも動いて美しい演奏でした。速めのテンポであっさりと演奏されるマンドリン。細身で艶やかなヴァイオリンのソロ。

主顕祭、少し遅めのテンポで大騒ぎではありません。オケも制御されていて全く暴走はしません。最後まで冷静でした。

美しい演奏でしたが、祭りの大騒ぎは最後まで無く、少しは大暴れがあっても良かったのでは無いかと感じました。

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ロリン・マゼール/クリーブランド管弦楽団 1976年

マゼール★★★☆
チェルチェンセス、円形劇場に響くような空間を感じさせるトランペット。金管の表現はとても豊かです。

五十年祭、豊かな響きでうつろな別世界へと連れて行かれます。ゆっくりとしたテンポで濃厚な表現です。「ローマだ!」の部分もゆっくりで、歓喜の表現はあまり感じませんでした。

十月祭、ここもゆっくりですが、抑え気味のホルン。マゼールらしいテンポの動きもあります。マンドリンが通常演奏されるようなトレモロが続く感じでは無く、付点で弾む部分は単音です。

主顕祭、金管は気持ちよく鳴りますが、ここでもテンポは遅めで狂喜乱舞の雰囲気はあまり感じません。

マゼールらしいテンポの動きがあったりもしましたが、祭りの狂喜乱舞はあまり感じられませんでした。

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ユージン・オーマンディ/フィラデルフィア管弦楽団 1960年

オーマンディ★★★☆
チェルチェンセス、残響を伴って奥から古めかしい響きのトランペット。いかにもこすっている感じのヴァイオリン。整っていて狂気はあまり感じません。

五十年祭、速めのテンポですが、うつろな感じで寂しいです。イングリッシュホルンは少し遅くなりました。「ローマだ!」の部分はゆっくりとしていて、あまり歓喜の雰囲気はありません。

十月祭、離れたところから豊かな残響を伴ったホルン。セレナーデのマンドリンはあまり抑えていません。ヴァイオリンのソロもくっきりとしています。

主顕祭、RCAとの再録音ほど遅くはありませんが、落ち着いたテンポで大騒ぎにはなりません。

フィラデルフィアoが「どうだ!」と言わんばかりに軽~く演奏したような演奏でした。

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ユージン・オーマンディ/フィァラデルフィア管弦楽団 1974年

icon★★★☆
チェルチェンセス、空間に響き渡るトランペットが艶やかです。つづくトロンボーンはチューバも伴った分厚い響きです。豪華絢爛とはこのことです。

五十年祭、早めのテンポを取っています。イングリッシュホルンのメロディはテンポを落としてたっぷりと聴かせます。「ローマだ!」の頂点はゆったりとしたテンポで描かれています。

十月祭、たっぷりと遅めのテンポで演奏されます。朗々と歌うクラリネット。マンドリンのマイクセッティングが近いようです。

主顕祭、遅めのテンポで祭りの喧騒とはちょっと違うような気がします。トロンボーンのソロは茶目っ気たっぷりでした。少し重い演奏でした。

朝比奈 隆/北ドイツ放送交響楽団

朝比奈★★☆
チェルチェンセス、奥まったところから響くトランペット。遅いテンポです。続く部分はトロンボーンよりも弦の方が強かった。

五十年祭、ホールに広がる弦の響きが心地良い。頂点の少し手前からかなりテンポを落として壮大なクライマックスを描き出しました。

十月祭、NDRも明るい音色で作品に合わせた音作りがされています。マンドリンのソロはすごくテンポが速かった。あまりにも素っ気無い演奏です。

主顕祭、細かな楽器の動きまで拾いきれていないので、喧騒を表現するには至っていないです。

朝比奈にとっては珍しいレパートリーなので、ファンにとっては貴重な音源でしょう。

アンタル・ドラティ/ミネアポリス交響楽団

ドラティ★★☆
チェルチェンセス、とても近くタンギングのはっきりとしたトランペット。控えめなトロンボーンと低弦。ゆっくりとしたテンポです。トランペットだけが異様に近いです。

五十年祭、とても小さい編成に聞こえる弦。何か乾燥して味わいが無い感じです。とても表面的に感じます。音が短い部分が多いです。トランペットが近くとてもバランスが悪いです。

十月祭、冒頭のホルンも音が短かったです。少しアンサンブルが乱れる部分もありました。タッチが明瞭なマンドリン。とても艶やかなヴァイオリンのソロ。

主顕祭、やはりトランペットだけがクローズアップされているような感じです。ゆったりとしていて、祭りの大騒ぎの雰囲気はありません。

トランペットの近さが気になりました。

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ロリン・マゼール/ピッツバーグ交響楽団 1994年

マゼール★★
チェルチェンセス、ゆったりとして大人しい演奏です。柔らかく少し寂しげな弦。金管はそれなりに吹いているのですが、テンポがゆっくりなので、狂気の祭りの雰囲気はあまり感じません。

五十年祭、強く揺られる弦。ここもゆっくりで待ち切れなくなります。「ローマだ!」の歓喜の様子は感じますが、スケールの大きさはありません。

十月祭、同じテンポの遅い演奏でもオーマンディのRCAの録音のような色彩の多彩な変化などがあればまだ良いのですが、色彩も単調で極上の美しさもありません。マンドリンはクリーブランドoとの録音と同じで付点をトレモロでは無く単音で演奏しています。

主顕祭、何か一本調子で淡白で、面白さがありません。

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セルジュ・コミッショーナ/スペイン放送交響楽団

コミッショーナ
チェルチェンセス、こもったような弦。トランペットははっきりしていますが、トロンボーンやホルンなどは全体に紛れてあまりはっきり聞こえません。鈍い感じの録音です。トゥッティでは歪みます。

五十年祭、離れたところからボヤーッと響いて来る弦。これはこれで雰囲気があります。ゆっくりと感情を込めて歌うイングリッシュホルン。「ローマだ!」の前後はかなり遅いテンポで少し間延びした感じでした。

十月祭、マンドリンが入る前もかなり遅かったです。マンドリンはかなり大きめに録られています。

主顕祭、テナードラムが飛びぬけて聞こえます。テンポは遅めですお祭り騒ぎではありません。最後まで遅いテンポでした。

テンポの遅い部分が祭りの狂喜乱舞とは違う雰囲気だったのと録音が悪く細部の動きは全く分かりませんでした。

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レスピーギ:交響詩「ローマの祭り」の名盤を試聴したレビュー