カテゴリー: 管弦楽曲

ムソルグスキー 組曲「展覧会の絵」(ラヴェル編)3

たいこ叩きのムソルグスキー 組曲「展覧会の絵」名盤試聴記

ヘルベルト・フォン・カラヤン/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

録音:1985-87年(デジタル)
icon★★★★
柔らかいというか、少し篭もり気味のトランペットで始まったプロムナード。この曲はカラヤンとベルリンpoの機能美を聴くには最適の曲だと思いますが、このCDの録音当時はすでにカラヤンの絶頂期を過ぎており、衰えが感じられる頃でもありました。
このレコーディングの後の来日公演でも冒頭のトランペットがミスをすると言う、ベルリンpoでは考えられないことが起こったりもしました。
この録音では、随所にベルリンpoの上手さを聴く事ができますが、録音の録り方の問題もあるのか、スケール感が感じられない、小じんまりした演奏になってしまっています。
スケールの大きさや表情の豊かさ、ソロも含めた芳醇な響きなどは、旧盤の方が勝っているのではないかと思います。
トゥッティでの輝かしい響きは、さすがベルリンpoと感じさせられる部分も随所にあります。
完璧な演奏ではあったのですが、なぜこんなに小さくまとまってしまったのか、すごく残念です。

相性は良い曲であっただけに1970年代に録音して欲しかったです。

レナード・バーンスタイン/ニューヨーク・フィルハーモニック

icon★★★★
「プロムナード」細い音のトランペットヴィブラートをかけた演奏です。「こびと」残響が少ないのかリアルな音がします。テンポがよく動きます。「古城」あまり甘美な響きのないサックスです。「テュイルリーの庭」遅めのテンポで表情も濃厚です。「ビドロ」一転して速いテンポです。少し雑に感じる部分も・・・・。「殻をつけたひなの踊り」とても情景描写が上手いです。木管の表現力が良いです。「サミュエル・ゴールデンベルクとシュミュイレ」テンポも強弱も変化があり表情豊かです。「カタコンブ」いろんな表現をしているようです。「バーバ・ヤーガの小屋」表情が豊かで面白い。「キエフの大きな門」思い切った表現が新鮮でハッとさせられます。

聴いていて面白い「展覧会の絵」でした。

シャルル・デュトワ/モントリオール交響楽団

デュトワ★★★★
速めのテンポで張りのある音色の「プロムナード」。色彩感が鮮明な「こびと」。艶やかなサックスソロを聴かせる「古城」羽毛で撫でられるような弦の 美しい響き。「テュイルリーの庭」では滑らかなクラリネットが印象的です。表現力のあるテューバソロの「ピドロ」。「サミュエル・ゴールデンベルクとシュ ミイレ」では金持ちと貧乏人の対比がとても上手く表現されていました。「リモージュ」アーティキュレーションに忠実な表現のようです。「カタコンブ」ブラ スセクションの充実した響き!「バーバ・ヤーガの小屋」速めのテンポで軽い感じです。「キエフの大きな門」ここでも軽い感じの演奏です。強大なエネルギー を放出するような演奏ではありません。

ムソルグスキーのロシア的な面よりもラヴェルのフランス的な面を表現したかったのでしょうか。品良く美しい演奏です。

ジャン=クロード・カサドシュ/ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団

カサドシュ★★★★
プロムナード、パリッとした響きで鮮度の高い録音です。演奏も元気の良いものです。
こびと、速いテンポで色彩も濃厚で、トランペットも鋭く突き抜けて来ます。
プロムナード、
古城、強く哀愁を感じさせる表現ではありません。
プロムナード、
テュイルリーの庭、あまり個性の無い標準的な演奏と言う感じです。演奏そのものはそんなに悪くは無いのですが、個性が無い分魅力もあまりありません。
ビドロ、ソロはユーフォニアムでしょうか。清涼感があって美しい弦。
プロムナード、速めのテンポで朗々として色彩感が豊かです。
殻をつけたひなの踊り、この曲はテンポの動きがとても良いです。最後はホルンの激しい咆哮が意外でした。
サミュエル・ゴールデンベルクとシュミュイレ、弦に分厚さは無く、横柄な大金持ちの雰囲気はあまりありません。ここも速いテンポで、トランペットが輝きのある響きで貧相な感じはありません。
リモージュの市場、ビリビリと響くホルン。とても爽やかで美しい演奏です。
カタコンブ、軽々と鳴り響く金管が心地良い演奏です。ラヴェルの色彩感豊かなオーケストレーションはとても良く伝えています。
バーバ・ヤーガの小屋、こでも色彩感はとても濃厚です。金管も遠慮無く鳴ります。チューバのソロの部分でも透明感が高くとても見通しの良い演奏になっています。所々で金管や打楽器を思い切り鳴らします。
キエフの大きな門、ここも速めのテンポです。整ったアンサンブルで、金管がサクサクと鳴ります。最後はかなり激しい金管でした。

最初はあまり個性の無い演奏のようでしたが、曲が進むにつれて、強い個性が出て来ました。とても美しい弦と、爽快に鳴り響く金管。色彩感も豊かで、透明感も高い演奏で聞き終った時点では満足感がありました。
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グスターボ・ドゥダメル/ロサンゼルス・フィルハーモニー管弦楽団

ドゥダメル★★★★
プロムナード、メリハリのはっきりとした演奏で、躍動感がありはつらつとした演奏です。表現も積極的です。
こびと、轟音を上げる弦。とても積極的で大きな表現です。
プロムナード、ホルンも豊かな表現です。歌える部分は全て歌うような意欲的な演奏です。
古城、美しいサックスも歌います。とにかく表現意欲は凄いです。
プロムナード、明るいトランペット。
テュイルリーの庭、ここでも考え尽くされた表現です。
ビドロ、チューバのソロのようで、深みのある響きです。このソロも感情が込められています。凄い大曲を聴いているようなこってりとした重さがあります。
プロムナード、ここでもコントラバスが轟音を上げます。
殻をつけたひなの踊り、鮮明で、まるでひなが目の前を動き回るかのような表現です。
サミュエル・ゴールデンベルクとシュミュイレ、威張り散らした大金持ちらしい弦の表現です。トランペットもひ弱ではありません。
リモージュの市場、活発で引き締まった表現で、めまぐるしく動く弦。
カタコンブ、分厚くしかも軽々と鳴り響く金管。
バーバ・ヤーガの小屋、叩き付けるティンパニ。凄い勢いの演奏です。ファゴットのソロの後ろのフルートのトリルも音量が変化します。弦のスピード感が凄いです。
キエフの大きな門、最後が途切れてしまいました。思っていた程分厚い響きや咆哮はありませんでした。

考えられる表現を尽くしたような演奏で、とても積極的でした。オケも唸りを上げるような鳴りで、とても良かったのですが、最後が途切れてしまったのが残念でした。

Long Yu/中国フィルハーモニー管弦楽団

Long Yu★★★★
プロムナード、スラーで演奏されているようなトランペット。鮮明な弦とくすんだような金管が対照的です。
こびと、勢いのある弦。木管もキリッと引き締まって浮き上がります。
プロムナード、想像していたよりもオケは上手いです。
古城、少し硬いサックスですが、良く歌います。サックスとは対照的に無表情なファゴット。音符の扱いがちょっと変わっています。
プロムナード、ここでもスラーのトランペットですが、鮮明な弦とは違ってくすんだ響きです。。
テュイルリーの庭、大きな表現で、とてもはっきりしています。
ビドロ、ソロはユーフォニアムです。独特の表現が随所にあります。
プロムナード、
殻をつけたひなの踊り、繊細なヴァイオリンと活発に動く木管。
サミュエル・ゴールデンベルクとシュミュイレ、荒々しい弦。ひ弱さは感じないトランペット。
リモージュの市場、浅く硬いホルン。表現は大きいです。
カタコンブ、かなり強いトロンボーンとチューバ。深みが合って厚いコントラバス。
バーバ・ヤーガの小屋、ギョッとするようなトロンボーンや金管の咆哮。アンサンブルが緩い部分もあります。終わりもバラバラでした。
キエフの大きな門、あまり壮大さはありません。表現はここでもとても積極的です。オケを強く鳴らしますが、テンポが速くて落ち着きがありません。

とても積極的な表現とオケも積極的に鳴らす演奏で、なかなか聞き応えがありました。アンサンブルの緩い部分もありましたが、良い演奏だったと思います。
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フリッツ・ライナー/シカゴ交響楽団

ライナー★★★★
プロムナード、すっきりとシャープで表現も豊かな演奏です。オケも力強くエネルギーに溢れています。
こびと、うなりを上げる弦。克明で、くっきりと浮かび上がる楽器。シカゴsoの第一期黄時代と言われるのも分かります。
プロムナード、とても良く歌う管楽器。
古城、薄く独特の響きのサックス。
プロムナード、明るく明快なトランペット。
テュイルリーの庭、明暗が描き分けられます。
ビドロ、若干硬いですが、美しいソロ。だんだんと力がこもって来ます。ゆっくり目で力強いです。
プロムナード、
殻をつけたひなの踊り、活発な木管。美しく繊細な弦。
サミュエル・ゴールデンベルクとシュミュイレ、かなり荒っぽいゴールデンベルクです。トランペットもそんなにひ弱ではありません。
リモージュの市場、暗い響きのホルン。若干アンサンブルが乱れたような弦。
カタコンブ、頭が強くその後すぐに力を抜く金管。最初はかなり軽いです。
バーバ・ヤーガの小屋、硬いティンパニが心地良い響きです。はつらつとした表現です。
キエフの大きな門、広大な広がりはありませんが、とても良く鳴る金管です。クラッシュシンバルの径が小さいのが少し気になります。トランペットやトロンボーンが強く下のパートがあまり聞えず、底辺を支えていない感じがありました。

とても表現意欲のある演奏で、なかなか良かったです。この頃からのシカゴsoの特徴なのか、金管がとても強力で、コントラバスなどが支え切れていないような感じがありました。
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マリス・ヤンソンス/バイエルン放送交響楽団

ヤンソンス★★★★
プロムナード、柔らかいですが、くすんだ響きのトランペット。積極的に表現します。
こびと、色彩や表現がこってりしていてとても濃厚です。非常に積極的に歌います。
プロムナード、柔らかいホルン。
古城、ファゴットもサックスも聞き手を引き込むような表現です。繊細な表現の弦など、表現し尽くされている感じの演奏です。
プロムナード、
テュイルリーの庭、速いテンポで活発に動きます。弦が出るとテンポを落として濃厚な表現になります。
ビドロ、美しく豊かに歌うユーフォニアムのソロ。ゆったりとしたテンポで広大です。
プロムナード、全曲を通してとても豊かな表現で積極的です。
殻をつけたひなの踊り、ユーモラスに動き回るひながとても良く描写されています。
サミュエル・ゴールデンベルクとシュミュイレ、あまり分厚い響きでは無く強大さを感じさせないゴールデンベルク。打楽器が追加されています。
リモージュの市場、ゆっくりめですが、強弱の変化も明快です。
カタコンブ、ドラが強く印象的に入ります。重厚なブラスの響き。
バーバ・ヤーガの小屋、重量感があって表現も大きい演奏です。
キエフの大きな門、ソフトで軽い演奏です。テンポも速めです。最後まで軽く金管を抑えてバランス重視の演奏でした。

とても表現の豊かな演奏でしたが、金管を強く演奏することは無く、振幅があまり大きい演奏ではありませんでした。
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 ・ムソルグスキー:組曲「展覧会の絵」の名盤を試聴したレビュー

ムソルグスキー 組曲「展覧会の絵」(ラヴェル編)4

たいこ叩きのムソルグスキー 組曲「展覧会の絵」名盤試聴記

ユージン・オーマンディ/フィラデルフィア管弦楽団

icon★★★☆
「プロムナード」艶やかなトランペットですがブレスで音が途切れるのが気になります。暖かみのある響きの「こびと」です。サックスのソロも暖かい響きの「古城」です。「テュイルリーの庭」ゆったりとしたテンポで豊かな表現です。速いテンポで味わいのない「ビドロ」です、表情も淡白です。「サミュエル・ゴールデンベルクとシュミュイレ」ミュートを付けたトランペットが哀愁に満ちた演奏でした。「リモージュ」賑やかな市場の音楽としては大人しい演奏でした。「カタコンブ」奥まったところで響くブラスセクション、アタックが雑な印象も・・・。「バーバ・ヤーガの小屋」速めのテンポです。金管大活躍です。「キエフの大きな門」全開でした。

アルトゥーロ・トスカニーニ/NBC交響楽団

トスカニーニ★★★☆
プロムナード、ナローレンジで粘りのあるトランペット。パリッと響く金管。
こびと、足取りの重い弦。かなりダイナミックで明快な表現。強く押し付けてくるようなトランペット。
プロムナード、美しく歌う木管。
古城、細く硬めなサックス。テンポの動きはありませんが、情感豊かな歌が溢れています。即物的と言う評価は当たらない感じの演奏です。
プロムナード、元気な演奏です。
テュイルリーの庭、ゆったりとしたテンポで豊かに歌います。
ビドロ、一転して速いテンポでグングン進みます。硬い響きのソロはユーフォニアムのようです。
プロムナード、キリッとしていて鮮明な木管。
殻をつけたひなの踊り、落ち着いたテンポでひなの動きを明快に表現します。
サミュエル・ゴールデンベルクとシュミュイレ、力強く荒々しいゴールデンベルク。かなり強いシュミュイレ。
リモージュの市場、マットなホルン。ここでも活発な動きを表現しています。
カタコンブ、強弱の振幅の大きな演奏で、トランペットやトロンボーンがかなり強いです。
バーバ・ヤーガの小屋、硬いマレットで叩いているティンパニ。トランペットやトロンボーンは強烈です。
キエフの大きな門、速めのテンポで音も短めで盛大な演奏です。広大なスケール感は無く、せっかちな感じです。最後はムソルグスキー的で粗野な演奏でした。

即物的と言われるトスカニーニの演奏にしては、表情も豊かで歌に溢れた演奏でしが、最後の二曲が荒い感じで、個人的には好きではありませんでした。
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クリスチャン・ヤルヴィ/フランス国立管弦楽団

ヤルヴィ★★★☆
プロムナード、
こびと、弦が唸りを上げることも無く穏やかです。
プロムナード、
古城、美しいサックス。とても哀愁を感じさせる寂しげな演奏です。
プロムナード、速めのテンポであっさりとしています。
テュイルリーの庭、表情は豊かに付けられています。
ビドロ、ユーフォニアムのソロです。若干浅い響きですが、伸びやかで美しいです。
プロムナード、全体的に速いテンポをとっています。
殻をつけたひなの踊り、清潔で瑞々しい響きです。
サミュエル・ゴールデンベルクとシュミュイレ、唸りを上げるほどの豪快さは無いゴールデンベルク。ゆっくり目でひ弱なシュミュイレ。次第に豪快に演奏する弦。
リモージュの市場、フランスらしい明るいホルン。たどたどしい感じで若干の乱れがあります。
カタコンブ、地面から這い出るような金管の重厚な響き。
バーバ・ヤーガの小屋、速いテンポで凄い勢いの演奏です。豊かな残響も手伝って音場が広がります。
キエフの大きな門、一転してゆったりとしたテンポで広々とした雰囲気の演奏です。プロムナードのメロディが再現されるあたりからテンポが速くなりました。

速めのテンポを基調にした演奏で、曲ごとの表現の変化もありましたが、強い印象はありませんでした。
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エフゲニー・スヴェトラーノフ/ロシア国立交響楽団

icon★★☆
とても元気の良い「プロムナード」。一転して口ごもったような「こびと」の冒頭、後半は遅いテンポで炸裂。フランスのサックスとは明らかに違って硬い音色の「古城」かなり遅いテンポでたっぷりと演奏します。「テュイルリーの庭」も遅い。「ビドロ」も遅く、重く引きずるような弦。「殻をつけたひなの踊り」ラヴェルの編曲よりもムソルグスキーを強く感じさせる原色でちょっと粗野な感じがあります。「サミュエル・ゴールデンベルクとシュミュイレ」ではラヴェル編では登場しないサスペンド・シンバルが出てきます。「カタコンブ」では強烈な金管の咆哮!大太鼓も登場します。とにかく強烈です。「バーバ・ヤーガの小屋」スタッカートぎみのトランペット。「キエフの大きな門」高らかに吹き鳴らされるトランペット。全体的に雑な感じがしました。

エルネスト・アンセルメ/スイス・ロマンド管弦楽団

アンセルメ★★☆
プロムナード、明るくピーンと張ったトランペットですが、息が持たないような感じでブレスの前に音が弱くなります。ワイドレンジではありませんが、まとまりのある響きです。
こびと、スピード感が無くもたつくような弦。色彩感はあります。あまり強く演奏しない金管。ムソルグスキーの作品よりもラヴェルの方に主眼を置いた演奏のようです。
プロムナード、サラッとした色彩感です。
古城、哀愁たっぷりのサックスはなかなか美しいです。
プロムナード、
テュイルリーの庭、スラーで演奏される木管。
ビドロ、速めのテンポで物々しい雰囲気です。チューバは少し硬い音でブレスがはっきりしています。
プロムナード、ラヴェルの編曲の妙を聞くことができます。
殻をつけたひなの踊り、色彩感が豊かで軽妙な動きがとても良いです。
サミュエル・ゴールデンベルクとシュミュイレ、ザラッとしていてあまり重く無い弦。物悲しいトランペット。
リモージュの市場、強弱の変化などはあまり大きく無く、引き締まった表現ではありません。自然にサラッと流れて行く感じの演奏です。
カタコンブ、明るい響きで、「墓」をイメージさせるような感じはありません。金管も大きく咆哮することは無く、作品を自然に演奏している感じです。
バーバ・ヤーガの小屋、トランペットが他のパートに比べると強く、突き抜けて来ます。生き物のように動くオケ。とても豊かな表現です。
キエフの大きな門、重心があまり低くなく、伸びやかな広々とした響きにはなりません。弱音もあまり音量を落とさず緊張感もありません。

あまり強い個性は感じられない演奏で、自然な演奏でしたが、オケの響きにも魅力が無く強く惹かれるような演奏ではありませんでした。
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アラン・ロンバール/ストラスブール・フィルハーモニー管弦楽団

icon★★
「プロムナード」少し硬質な響きのトランペット、テンポは速めです。オケの響きには厚みがありません。「こびと」弦の速いパッセージがあまりはっきりしない上に音量も不足しています。「プロムナード」オーボエがくっきりと浮かび上がります。「古城」弦のデリケートな表現。とても感情が込められた歌です。少し硬いですが明るいsax。「プロムナード」コントラバスが弱いので響きに厚みがありません。「テュイルリーの庭」残響成分もあまり含まれていないようで、響きが硬く一流オケの響きに比べると明らかに見劣りします。「ビドロ」チューバではなくユーフォニアムを使っているような音です。「プロムナード」時折木管が瑞々しい響きを聴かせてくれます。「殻をつけたひなの踊り」「サミュエル・ゴールデンベルクとシュミュイレ」やはりコントラバスがほとんど聞こえないので、サミュエル・ゴールデンベルクの凄味はありません。シュミュイレはここでも硬い音です。「リモージュの市場」細くふくよかさの無いホルン。たどたどしい感じでした。「カタコンブ」控え目な金管。トロンボーンのハイトーンが少し不安定な感じでした。死者への呼びかけは神秘的でした。「バーバ・ヤーガの小屋」軽い響きです。オケが一体になったようなパワー感は感じません。音が集まって来ていないようです。「キエフの大きな門」どうも一体感がなくバラバラな感じです。

オケの技量が未熟で、演奏するので精一杯と言う感じで、表現する余力など無いように感じました。

ジョージ・セル/クリーブランド管弦楽団

セル★★
プロムナード、明るく元気の良い演奏です。色彩感は淡いです。
こびと、モゴモゴとした弦。テンポは速めで、小さくまとまった感じでスケール感がありません。
プロムナード、スタンダードのような、無難な演奏です。
古城、少し硬いサックス。
プロムナード、トランペットと一緒にトロンボーンも演奏しているようです。
テュイルリーの庭、シンプルで情報量が少ない感じです。
ビドロ、ソロはユーフォニアムのようですが、この響きも硬いもので、少し雑な演奏です。
プロムナード、
殻をつけたひなの踊り、控えめな表現で、あまり活発な動きではありません。
サミュエル・ゴールデンベルクとシュミュイレ、荒々しい弦。
リモージュの市場、ここでは動きが活発で、豊かな表現ですが、やはり響きはシンプルで、余分なものは取り除かれているような感じです。
カタコンブ、雑な感じがあったり、壮絶な響きがしたりします。
バーバ・ヤーガの小屋、オケの人数が少ないような錯覚を感じるような小さく広がりや奥行きの無い響き。トランペットはスタッカートで演奏します。
キエフの大きな門、On・Offが無く常にOnの状態で、単純に感じます。ティンパニのクレッシェンドなど独自の加筆もあります。

録音の古さも影響しているとは思いますが、余分な響きが全く無く、とてもシンプルで広がりや奥行き感の無いスケールの小さい演奏でした。
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イーゴリ・マルケヴィチ/NHK交響楽団

マルケヴィチ
プロムナード、僅かに速いテンポ。薄い響きの弦。
こびと、モゴモゴした弦。軽く抑え気味のトロンボーン。
プロムナード、筋肉質のホルン。
古城、何か響きに一体感が無く、融合した響きにになりません。
プロムナード、明るいトランペット。
テュイルリーの庭、とてもゆっくりとしたテンポでテンポも大きく動きます。感情の赴くままに動くようなテンポはとても心地良いものでした。
ビドロ、テノールチューバのソロもそれなりに美しいのですが、どこか寂しい響きです。
プロムナード、
殻をつけたひなの踊り、
サミュエル・ゴールデンベルクとシュミュイレ、
リモージュの市場、強弱の変化は緩く引き締まった動きではありません。
カタコンブ、
バーバ・ヤーガの小屋、
キエフの大きな門、

テンポの動きはあるのですが、響きがバラバラで薄く、融合した柔らかい響きではありませんでした。
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ジェームス・レヴァイン/メトロポリタン・オーケストラ

icon
この演奏はひどいです。オケの投げやりな演奏。
これほどやる気の無い演奏を聴いたのは初めてです。
音、一つ一つを大切に扱うような部分は全く感じられませんでした。これまでレヴァインの演奏をいくつか聴きましたが、どれも良いと思えた演奏はありませんでしたが、この「展覧会の絵」はその最たるものです。
クラシック音楽業界でレヴァインが重用されるのが、私には理解できません。

ムソルグスキー:組曲「展覧会の絵」の名盤を試聴したレビュー

レスピーギ 交響詩「ローマの松」

レスピーギの交響詩「ローマの松」は、イタリアの作曲家オットリーノ・レスピーギが1924年に作曲した作品で、「ローマ三部作」の一つにあたります。ローマのさまざまな場所に生える松の情景を通して、都市の歴史や風景、そしてドラマチックな雰囲気を音楽で描写しています。「ローマの松」は、華やかで色彩豊かなオーケストレーションと劇的な音の展開で知られ、壮麗な音響の表現がこの曲の特徴です。

各楽章の構成

「ローマの松」は全4楽章で構成されており、それぞれがローマ市内の異なる場所や情景を描写しています。

  1. 第1楽章「ボルゲーゼ荘の松」
    明るく活気ある音楽で、ボルゲーゼ荘に集う子供たちが遊ぶ様子を描いています。速いテンポで、小鳥のさえずりや子供たちの笑い声を思わせるような音型が繰り返され、フルートやピッコロ、弦楽器の軽快なリズムが、生き生きとした情景を描き出します。この楽章は、エネルギーと無邪気さに溢れた躍動感が特徴です。
  2. 第2楽章「カタコンブ付近の松」
    この楽章は、静かな墓所であるカタコンブの松の周りに漂う、神秘的で厳かな雰囲気を表現しています。深い低音から始まり、ホルンやトロンボーンが重厚なメロディを奏でることで、死者への敬意や神秘的な空気感を強調しています。音楽は徐々に盛り上がり、壮大なスケールで荘厳さを感じさせますが、最終的には静かに沈んでいきます。
  3. 第3楽章「ジャニコロの松」
    ローマのジャニコロの丘にそびえる松の下で、月夜に包まれた情景が描かれています。弦楽器の穏やかなメロディが美しく、夢見るような音楽が広がります。この楽章ではナイチンゲール(夜鳴きうぐいす)の歌声も使われ、夜の静寂と神秘的な雰囲気が際立ちます。この楽章は全体的に叙情的で、レスピーギのロマンティックな一面が感じられる瞬間です。
  4. 第4楽章「アッピア街道の松」
    最終楽章は、この曲のクライマックスであり、ローマの古代の軍事道路、アッピア街道に並ぶ松を描いています。遠くから徐々に近づく軍隊の足音が低音のリズムによって表現され、やがて荘厳なファンファーレが響き渡り、壮大な凱旋行進が展開されます。金管楽器や打楽器が次第に力強さを増し、最後にはオーケストラ全体が一丸となって圧倒的な音響を奏で、堂々たるフィナーレを迎えます。レスピーギが持つオーケストレーションの巧みさが最大限に発揮された、迫力ある終結です。

音楽的な特徴と評価

「ローマの松」は、その色彩豊かなオーケストレーションが特に評価されています。レスピーギは、楽器の持つ響きを巧みに使い分けており、ローマの風景や情景が非常に視覚的に描かれているように感じられます。特に、第4楽章の圧倒的なフィナーレは、しばしばコンサートのハイライトとして取り上げられ、観客に強い印象を残します。

また、レスピーギは自然音の取り入れにも独自の工夫を凝らしており、第3楽章でのナイチンゲールの歌声を録音音源で再現したり、打楽器や金管楽器の使い方によって、戦いの迫力や静寂の美しさを効果的に表現しています。この作品は、20世紀の交響詩の傑作とされ、レスピーギのローマへの愛情や、壮麗でドラマティックな音楽性が詰まった作品です。

たいこ叩きのレスピーギ 交響詩「ローマの松」名盤試聴記

ジュゼッペ・シノーポリ ニューヨーク・フィルハーモニック

シノーポリ★★★★★
ボルゲーゼ荘の松 いろんな楽器の動きが克明に再現された演奏です。強弱やテンポの動きもあって面白い演奏です。

カタコンブ付近の松 フルートのソロが生き生きとしていて印象的でした。直後のトランペットのソロは遠くから聞こえてきます。トロンボーンの旋律とともに弦の伴奏と同じパッセージをホルンが演奏しているのを強調していました。その後もホルン大活躍です。それにしてもニューヨークpoのホルンは上手くなりましたね。

ジャニコロの松 ゆったりとしたピアノソロから伸びやかなクラリネットソロです。ここでも強弱の変化やテンポの動きがあります。

アッピア街道の松 ゆったりとしたテンポです。イングリッシュホルンが豊かな歌を歌います。トランペットのファンファーレはステージ裏からのようです。ホルンが強烈!分厚いサウンドでクライマックスを築いて行きます。すばらしい演奏でした。

ダニエレ・ガッティ サンタ・チェチーリア国立アカデミー管弦楽団

ガッテイ★★★★★
ボルゲーゼ荘の松 豊かな残響で奥行き感のある響きです。小物打楽器はあまり前に出て来ず、騒々しさはありません。はち切れんばかりのエネルギーです。

カタコンブ付近の松 静かで寂しげな雰囲気です。遠くから響くトランペット。なかなか良い雰囲気です。トランペットの後からテンポが遅くなりました。

ジャニコロの松 速いテンポですが、飛び散るような夜の雰囲気のピアノです。続くクラリネットはゆったりと秘めた歌です。テンポも自由に動いています。

アッピア街道の松 速めのテンポです。残響を含んでとても雰囲気のあるイングリッシュホルン。ファンファーレはオープンで柔らかいです。とても軽く入ったトロンボーン。サスペンドシンバルのクレッシェンドの後もかなり余力を残した演奏です。一回目のクラッシュシンバルでも余裕です。二回目のクラッシュシンバルから全開です。抑えて抑えて最後に爆発する堂々とした演奏は素晴しいものでした。

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ユージン・オーマンディ フィァラデルフィア管弦楽団

icon★★★★★
ボルゲーゼ荘の松、切れば血が吹き出るかのようなはつらつとした演奏です。

カタコンブ付近の松、トランペットソロはステージ上か裏か微妙な位置です。意外と力みの無い頂点でした。

ジャニコロの松、ピアノとクラリネットが見事に夜を再現しています。

アッピア街道の松、速めのテンポです。このテンポに乗ってイングリッシュホルンのソロも歌います。金管が次々と波が押し寄せるように迫ってきます。一気に聴かせました。

尾高 忠明 BBCウェールズ交響楽団

尾高 忠明★★★★★
ボルゲーゼ荘の松 フワッとした柔らかい響きの中から鋭いトランペットが響きます。柔らかく残響を伴っているので、騒がしい感じはあまりありません。

カタコンブ付近の松 厚みのある弦の響き。寂しげな雰囲気や暗さがとても良いです。遠くから響くトランペット。伸びやかな弦。トロンボーンも伸びやかです。

ジャニコロの松 月明かりの中で響くピアノ。クラリネットも夜の雰囲気で豊かに歌います。

アッピア街道の松 速めのテンポです。イングリッシュホルンも豊かな表現です。ミュートしたトランペットのファンファーレ。二回目はオープンで柔らかい響きです。サスペンドシンバルに合わせて大きな盛り上がり。パイプオルガンも含めて大きな盛り上がりでした。素晴しい演奏でした。

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ルイス・レーン アトランタ交響楽団

レーン★★★★☆
ボルゲーゼ荘の松 シャープな響きでスッキリしています。騒々しく雑然とした感じではありません。引き締まったアンサンブルはなかなか良いです。

カタコンブ付近の松 ほの暗く沈んだ響きでホルンも郷愁に満ちた響きです。ゆったりと美しいトランペット。伸びやかな弦。大きく盛り上がって力強いトロンボーン。ホルンも気持ちよく鳴り響きます。

ジャニコロの松 ソフトなタッチのピアノ。静寂の中に響くクラリネットは夜の雰囲気があります。

アッピア街道の松 柔らかいイングリッシュホルンも美しいです。ミュートしたトランペットのファンファーレ。二回目はオープンで伸びやかでした。軽く入ったトロンボーン。一回目のクラッシュシンバルへ向けてティンパニが大きくクレッシェンドしました。軽々と鳴り響く金管は見事でした。

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フリッツ・ライナー シカゴ交響楽団

フリッツ・ライナー★★★★☆
ボルゲーゼ荘の松 くっきりと色彩感が豊かで賑やかです。オケもショルティ時代を思わせるような明快な鳴りです。

カタコンブ付近の松 重厚な響きです。穏やかで心安らぐ感じです。トランペットはステージ上のようです。明快に強く鳴り響くトロンボーン。

ジャニコロの松 少し距離があり、夜を感じさせるピアノ。クラリネットも控えめですが、豊かな表現で、とても良い感じです。

アッピア街道の松 ガツガツと響くコントラバス。速めのテンポです。テンポ一杯に使って歌うイングリッシュホルン。ミュートしたトランペットのファンファーレ。二回目はオープンで柔らかいです。サスペンドシンバルのあと次から次へと重なってくる金管。凄いエネルギー感です。クラッシュシンバルが少し小さい感じがありました。

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アントニオ・パッパーノ サンタ・チェチーリア国立音楽院管弦楽団

パッパーノ★★★★
ボルゲーゼ荘の松 鋭いトランペット。小物打楽器は抑えられていて、あまり賑やかではありません。生き生きとした木管の表情です。

カタコンブ付近の松 ゆっくりとねっとりとした表現です。かなり遠くから響くトランペット。トロンボーンやホルンは軽い感じで演奏しています。

ジャニコロの松 あまり夜の雰囲気の無いピアノ。クラリネットは弱音で、夜の雰囲気たっぷりです。とても豊かな表現です。ナイチンゲールも遠くから静かに響いて来ます。

アッピア街道の松 イングリッシュホルンと絡むクラリネットも控えめです。トランペットのファンファーレは二回ともオープンです。トロンボーンも控えめに入りました。サスペンドシンバルの合わせて大きく盛り上がり、かなりのエネルギーです。

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小澤 征爾 ボストン交響楽団

小澤 征爾★★★★
ボルゲーゼ荘の松 柔らかい響きですが、賑やかさはあります。速めのテンポで生き生きとした表現です。

カタコンブ付近の松 神聖な響きのフルート。少し距離のあるトランペット。トロンボーンは軽く大きな盛り上がりにはなりませんでした。

ジャニコロの松 とてもリアルで夜の雰囲気を感じさせないピアノ。木管や弦のソロなどとても鮮明で夜の雰囲気はありません。

アッピア街道の松 ガツガツと響くコントラバス。豊かに歌うイングリッシュホルン。離れたところから響くトランペットのファンファーレ。二回目はかなり強めです。サスペンドシンバルのクレッシェンドと共にほぼ全開です。熱のこもった演奏でした。

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ヘルベルト・フォン・カラヤン ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 1984年ザ・シンフォニーホール

カラヤン★★★★
ボルゲーゼ荘の松 ゆったりとしたテンポで遠くにブレンドされて定位するオーケストラ。整然としていて、騒がしい感じはあまりありません。テンポの動きもありますが、総じて重い感じです。

カタコンブ付近の松 静かで荘厳です。ドイツのオケらしい重心の低い演奏で、テンポの遅さも加わってレスピーギらしい色彩感の豊かさはあまり感じません。

ジャニコロの松 柔らかく響くピアノ。濃厚な色彩感はありませんが、ブレンドされた響きはとても柔らかく美しいです。夜を強く感じさせる演奏ではありませんでした。

アッピア街道の松 ここも遅く重いです。イングリッシュホルンが少し遠くから響きます。ミュートしたトランペットのファンファーレ。二度目はオープンです。軽く入るトロンボーン。その後の一体感のある盛り上がりは素晴らしいものがありました。

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エンリケ・マッツォーラ ロシアナショナル管弦楽団

マッツオーラ★★★★
ボルゲーゼ荘の松 突き抜けてくるトランペット。小物打楽器は控えめであまり賑やかではありません。響きは少し寂しい感じがします。

カタコンブ付近の松 重苦しく寂しい演奏です。かなりゆっくりとしたテンポです。遠くから静かに響くトランペット。間を空けながら盛り上がって行きます。

ジャニコロの松 響きを伴ったピアノですが、あまり夜は感じません。夜ではありますが、明るい夜です。波のように押しては返す演奏で、大きな抑揚があります。テンポは遅いですが、間延びはしません。

アッピア街道の松 ゴツゴツとした刻みです。良く歌うイングリッシュホルン。オープンで近いトランペットのファンファーレ。とても軽く入るトロンボーン。一発目のクラッシュシンバルからほぼ全開です。トランペットが突出するバランスですが、気持ちよく鳴り響いていました。

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リカルド・ムーティ フィラデルフィア管弦楽団

icon★★★★
ボルゲーゼ荘の松 鮮やかな色彩。小物打楽器も明瞭です。表現も積極的で音楽に躍動感があります。

カタコンブ付近の松 前半の静かな部分に低音がかなり強めにガツンガツンと入ってきます。トランペットのソロはストレートに聞こえます。次第に盛り上がってトロンボーンが入るところは何とも言えない雰囲気を作り出しました。見事な頂点です。

ジャニコロの松 かなり抑えて注意深く演奏されるクラリネット。この三部作は共通して弱音にものすごく意識を向けているように思います。ハープと木管の絡みが心地よい演奏です。

アッピア街道の松 かなり速いテンポです。舞台裏からのトランペットが舞台上にいるようでした。その分二度目の合図は伸び伸びと響きました。その直後のトロンボーンは控え目でむしろ後から入るトランペットの方が大きいくらいでした。サスペンドシンバルのクレッシェンドに合わせてブラスセクションがクレッシェンドして次第に力強さを増して行きます。壮大なクライマックスでした。

ディーマ・スロボデニューク ガリシア交響楽団

ホロボデニューク★★★★
ボルゲーゼ荘の松 鋭いトランペット。騒々しく賑やかです。

カタコンブ付近の松 一転して深みのある柔らかい響きになります。そんなに遠くは無いトランプット。柔らかいトロンボーンがゆったりとしたテンポで演奏します。

ジャニコロの松 ピアノはあまり夜を感じさせる演奏ではありませんが、続くクラリネットは僅かに潤いが足りませんが、十分に夜です。

アッピア街道の松 力強い歩みです。ステージの裏から柔らかく響くトランペット。力強く濃厚な色彩。凄いエネルギー感です。アッピア街道の松は素晴しい演奏でした。

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アラン・ギルギルバート ニューヨーク・フィルハーモニック

アラン・ギルバート★★★★
ボルゲーゼ荘の松 トランペットが賑やかです。ホルンはアクセントだけを強調して演奏します。ライヴですが、とても整った演奏です。

カタコンブ付近の松 一転して、重く荘厳な響き。ドラも重くとても良い音です。バンダのトランペットは良い距離感ですが、明快に響きます。トロンボーンも明快に抜けて来ます。色彩感も豊かです。

ジャニコロの松 ピアノの夜の雰囲気がとても良いです。クラリネットも美しい。フルートやオーボエもくっきりと浮かび上がります。

アッピア街道の松 イングリッシュ・ホルンも細身でくっきりとしています。柔らかいバンダのアァンアァーレ。見事に鳴り響く金管ですが、録音の限界か、力強さはありま感じませんでした。

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フランシスコ・ラ・ベッキア ローマ交響楽団

ベッキア★★★☆
ボルゲーゼ荘の松 ゆったりとしたテンポでグロッケンが明快に響きます。ゆったりとしている分整然としていて、騒がしさは感じません。

カタコンブ付近の松 遠くから鋭い響きで歌うトランペット。この遅いテンポは作品の一音一音を大切にしようと言う姿勢の表れなのだとは思いますが、レスピーギの色彩感の豊かさが消されて、少し単調に感じてしまいます。

ジャニコロの松 ピアノも遅く、音が繋がって一体になった夜の響きがありません。あまりにも遅くて付いて行けません。

アッピア街道の松 ここも今まで聞いたことが無い遅さです。こもった響きのトランペットのファンファーレ。サスペンドシンバルの後のトランペットのハイトーンの伸ばしは凄かったです。少しずつテンポを速めているようです。テンポを速めながらの盛り上がりはかなり熱くなる感じで良かったです。

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セルジウ・チェリビダッケ シュトゥットガルト放送交響楽団

チェリビダッケ★★★☆
ボルゲーゼ荘の松 とても落ち着きのある演奏で、ゆったりとしていて騒がしくありません。最後はテンポを上げて終わりました。

カタコンブ付近の松 とても静かに始まります。寂しげで寒い感じがします。トランペットはステージ上です。柔らかいトロンボーン。途中からトランペットが下品に出てきます。

ジャニコロの松 ゆっくりとしたテンポです。クラリネットはあまり潤いがありません。ゆっくりと演奏される弦はとても良いです。

アッピア街道の松 ここもとても静かに始まりました。テンポもゆっくりです。引き込むように魅力のあるイングリッシュホルン。とても軽く入るトロンボーン。その後全開になる金管はなかなか凄いです。

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シャルル・デュトワ モントリオール交響楽団

デュトワ★★★
ボルゲーゼ荘の松 デュトワらしい整然と整った演奏で、騒がしさはありません。小物打楽器も他の楽器をマスクする程のことはありません。あまりにも整い過ぎていて、もう少し騒がしい演奏でも良いような気がします。

カタコンブ付近の松 厚みのある響きではありません。カタコンブらしい寂しさはとても良く表現されています。鮮明に響くトランペット。美しいトロンボーン。整然としていて涼しげで、盛り上がっても熱気はありません。

ジャニコロの松 遠くで響くピアノがとても良く夜の雰囲気を表現しています。クラリネットはフランスっぽい感じの響きですが美しいです。この当時は涼しげで凄く美しい響きのオーケストラでしたが、最近では全く名前を聞かなくなりました。どうなっているんでしょうか。

アッピア街道の松 ピアノだけが聞こえるデッドな響き。速めのテンポで、イングリッシュホルンもほとんど歌わずに進みます。ミュートしたトランペットのファンファーレ。二回目はオープンですが、かなり抑えぎみです。金管が重なり合う部分になってもとても冷静です。均整の取れた美しい演奏でしたが、もう少し熱気があっても良かったと思いました。

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ヘルベルト・フォン・カラヤン ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

icon★★★
ボルゲーゼ荘の松 渋く枯れた響きです。噴水の時のような眩いばかりの華やかな演奏ではありません。とてもおちついたテンポです。

カタコンブ付近の松 静寂感があり厳かな雰囲気です。トランペットは離れたところから演奏しているようですが、かなり明瞭に響きます。トロンボーンが入ってもエネルギーを発散するような爆発はありません。とても抑制されています。

ジャニコロの松 一気に夜の雰囲気に引き込むピアノ。クラリネットも夜の雰囲気満点です。このあたりの描写力はさすがカラヤンです。

アッピア街道の松 ピアノの響きを伴って重い歩み。テンポは速めです。始めにに登場するクラリネットなどは低音の歩みに隠れるように弱く演奏されます。イングリッシュホルンはよく歌います。旋律よりも中音域の吹き伸ばす音が強くて旋律が明瞭に聞こえません。最後は輝かしい響きで力強く終わりました。

描写力のある演奏でしたが、アッピア街道の松のバランスがちょっと悪かったのが残念でした。

アルトゥーロ・トスカニーニ NBC交響楽団

トスカニーニ★★☆
ボルゲーゼ荘の松 録音の古さを凄く感じさせます。活発で豊かな表情です。

カタコンブ付近の松 重厚な響きです。ピアノがガッンと響きまい。遠いトランペットはとても良い雰囲気です。録音が古いので、実際には色彩感はあまり無いのですが、色彩感を感じさせる演奏です。力強いトロンボーン。

ジャニコロの松 軽いドラの響き。明るいピアノ。細く遠いクラリネット。あまり夜を感じさせる演奏ではありません。

アッピア街道の松 柔らかい響きで始まる歩み。ミュートしたトランペットのファンファーレ。二回目はオープンです。テンポは次第に速くなっています。最後はテンポを落として終わりました。今のオーケストラの技術に比べると劣る部分も感じました。

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ヘルベルト・フォン・カラヤン フィルハーモニア管弦楽団

カラヤン★★
ボルゲーゼ荘の松 団子になったような響き、ナローレンジです。録音の古さからか、あまり色彩感は豊かではありません。

カタコンブ付近の松 暖かい響きです。少し距離を置いて響くトランペット。トロンボーンにミストーンがあったような感じです。ベルリンpo時代の表面を磨き上げたような演奏とは少し違う感じがします。

ジャニコロの松 暗い夜の雰囲気です。それにしても色彩感が乏しいのが残念です。

アッピア街道の松 かなり大きい音でゆっくりと始まりました。離れた所から強く響くトランペットのファンファーレ。二度目はかなり強く響きます。トロンボーンが入ったあたりで、もうかなりの音量に達しています。途中はかなり強烈な演奏になりますが、最後はまとまって終わりました。

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ホルスト・シュタイン NHK交響楽団 1985年

ホルスト・シュタイン★★
ボルゲーゼ荘の松 ホルスト・シュタインのイメージとは違う華やかな演奏です。N響の反応もとても良いです。

カタコンブ付近の松 一転して柔らかい響きになります。速いテンポになり遠くから響くトランペット。トロンボーンが入ってもどっしりと重心が低いところはホルスト・シュタインらしい演奏です。

ジャニコロの松 夜露に濡れた夜を表現するピアノ。潤いのある弦に対して乾いた響きのクラリネットが夜の雰囲気とは違う感じです。

アッピア街道の松 かなり速いテンポです。力強さはありますが、少し落ち着きが無い感じです。金管も良く鳴り響きますが、少しドタバタした感じがあります。

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アンタル・ドラティ ミネアポリス交響楽団

ドラティ★☆
ボルゲーゼ荘の松 高域寄りでかなり賑やかです。小物打楽器も盛大です。躍動感があってはつらつとしています。

カタコンブ付近の松 ここでも静寂感はあまり感じられず、積極的で、荘厳な感じではなく腰高な感じです。テンポも速めで、あまり丁寧な演奏には感じません。

ジャニコロの松 僅かに夜を感じさせますが、華やかなピアノ。あまり情景描写されている感じはありません。夜の音楽の雰囲気はほとんどありません。

アッピア街道の松 大きめの音量で始まります。細めのイングリッシュホルン。金管は強く鳴り響きますが、何故かバラバラな感じで一体感がありませんでした。

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レナード・バーンスタイン ニューヨーク・フィルハーモニック

icon
ボルゲーゼ荘の松 とても賑やかです。速いテンポにオケが付いて行けないような部分もあって、ちょっと雑な印象です。

カタコンブ付近の松 厚みがあって温もりのある響きです。離れたところからですが、鋭く明瞭に響くトランペット。トロンボーンが入る前は大きな盛り上がりがありましたがトロンボーンが入ってからは意外と抑えた表現でした。

ジャニコロの松 ちょっと明るいピアノ。潤いが無く乾いた響きのクラリネット。夜の雰囲気はあまりありません。

アッピア街道の松 イングリッシュホルンの前に入る楽器がカラヤンの演奏とは対照的にはっきりと入ります。イングリッシュホルンも乾いた響きです。ミュートをしたトランペットのファンファーレはとても弱いです。楽器が多層的に重なる感じがあまり無く、旋律だけが聞こえるようです。

乾いた浅い響きで、雑な感じがしました。

ロレンツォ・カストリオ・スカンデルベク RTVスロベニア交響楽団

スカンデルベク
ボルゲーゼ荘の松 僅かにマスクされたような響きで鮮明ではありません。奥行き感はあるのですが、どこかもたついた感じもあります。

カタコンブ付近の松 フルートもブレンドされていてくっきりと浮かび上がっては来ません。トランペットはかなり遠くから響いて来ます。トランペットが終わってからはかなりテンポが速くなりました。落ち着きの無いトロンボーン。

ジャニコロの松 ピアノに夜の雰囲気はありませんでした。色彩感もあまりありません。

アッピア街道の松 ピアノがゴツゴツと響き速いテンポで進みます。イングリッシュホルンも全体にブレンドされています。柔らかいトランペットのファンファーレ。熱い感じは伝わって来ましたが、金管があまり前に出てこないので、強さはありませんでした。

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ホセ・クーラ ワルシャワ・フィルハーモニー管弦楽団

クーラ
ボルゲーゼ荘の松 離れていて残響も多いので、細部は分かりません。ハムノイズもあります。

カタコンブ付近の松 ゆっくりとしています。少し離れたところから響くトランペット。フルートなどは激しく歪みます。

ジャニコロの松 残響が多いので、何となく雰囲気はありますが、歪みっぽいのはかなり厳しいです。

アッピア街道の松 イングリッシュホルンも歪んでいます。かなり大きいトランペットのファンファーレ。ファンファーレに比べるととても弱いトロンボーン。録音のバランスもかなりおかしいです。

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レスピーギ:交響詩「ローマの松」の名盤を試聴したレビュー

コダーイ:組曲「ハーリ・ヤーノシュ」

コダーイの組曲「ハーリ・ヤーノシュ」(Háry János Suite)は、ハンガリーの民族楽を取り入れた楽しいオーケストラ作品で、同名のオペラから抜粋された組曲です。「ハーリ・ヤーノシュ」は、架空の人物であるヤーノシュの冒険を描いた物語で、彼の勇ましい戦いや愉快なエピソードが音楽に反映されています。

この組曲は6つの楽章で構成されており、それぞれが物語の異なるシーンを表現しています:

  1. 前奏曲(ヤーノシュの物語の始まり)
    音楽は驚きの音で始まり、ハーリ・ヤーノシュの大げさな冒険話が語られることを予告します。物語の主人公が、地元の居酒屋でどれだけ勇敢であるかを誇る様子を思わせる、力強いテーマで始まります。
  2. ウィーンの宮廷
    オーストリアのウィーン宮廷での場面を描いた楽章で、優雅で華やかな宮廷の雰囲気を再現しています。ウィーン風のワルツのリズムや、洗練されたメロディーが特徴で、貴族的な雰囲気が漂います。
  3. ハンガリー田園風景
    この楽章では、ヤーノシュが故郷ハンガリーの田園風景に戻ったときの情景を表現しています。のどかで優雅なメロディが牧歌的な風景を描き、ハンガリーの素朴で美しい自然を感じさせます。
  4. 戦争と勝利
    この楽章は激しく、戦闘シーンを描写しています。打楽器が活躍し、ヤーノシュの勇ましい戦いぶりが音楽で表現されます。戦闘の終わりに向かって勝利の喜びが高まります。
  5. 歌(愛の歌)
    ヤーノシュの恋人イルカに対する愛が描かれた、甘美で愛情に満ちた楽章です。柔らかな旋律とハープの伴奏が、彼女への想いを表現し、物語の中での愛の大切さを感じさせます。
  6. 入場行進曲
    この楽章は明るく楽しいフィナーレで、ヤーノシュの話が大団円を迎えます。ハンガリー民謡風のリズムが取り入れられ、愉快でリズミカルな音楽が展開されます。

組曲「ハーリ・ヤーノシュ」は、ユーモラスで親しみやすいメロディが満載で、まるで物語の舞台を巡るような気分にさせてくれる作品です。ハンガリーの民族音楽のエッセンスをふんだんに取り入れた、この作品はとても色彩豊かで、コダーイのユーモアと感性が光る名作です。

たいこ叩きのコダーイ:組曲「ハーリ・ヤーノシュ」名盤試聴記

ユージン・オーマンディ/フィラデルフィア管弦楽団

icon★★★★★
前奏曲、鮮明な弦。ほの暗く厚みのある弦楽合奏でした。表現の振幅も広いダイナミックな演奏です。

ウィーンの音楽時計、チャイムの陰で低いドラの響きがズシーンと響きます。管楽器の見事なソロの連続です。輝かしい金管の響きがすばらしい。

歌、あっさりとしたビオラのソロ。艶やかなクラリネット。ツィンバロンの音の立ち上がりも非常に良くリアリティがあります。ツィンバロンと絡む木管の表情もとても豊かです。マットな響きのホルン。マルチマイクらしい一つ一つの楽器が鮮明に録られています。

戦争とナポレオンの敗北、ズンズンと弾力のある大太鼓。適度に締まったスネア。トロンボーンとチューバの旋律が力強く演奏されます。チューバをベースに分厚いサウンドです。トランペットの高音が特徴的な響きです。なまめかしいサックスのソロです。

インテルメッツォ、スピード感のある冒頭の弦でした。少しマットですが美しく厚みのある弦合奏にピシッと立ったツィンバロンが印象的です。心地よいふくよかな響きのホルン。とてもチャーミングなクラリネットやフルートのソロ。

皇帝と延臣達の入場、小気味よい打楽器。明るいトランペット、表情豊かなホルン。軽々と鳴り響くトロンボーンや輝かしいトランペットがゴージャスなフィラデルフィア・サウンドを象徴するかのようにすばらしい。

すばらしい全盛期のフィラデルフィアサウンドで「ハーリ・ヤーノシュ」を聴かせてくれました。

クラウス・テンシュテット/ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団

icon★★★★★
前奏曲、はっきりと「ハクショ~ン」と聞こえます。ゆったりとしたテンポでとても抑えた弦の旋律ですが、たっぷりと歌います。クラリネットも振幅の広い歌を歌います。陰のホルンはかなり控え目です。テンポも動き、場面を克明に描いて行きます。とても劇的でスケールの大きな演奏です。

ウィーンの音楽時計、チャイムの中に鳴りの悪い音が一つあるような感じがします。少しテンポを速めて快活なトランペット。

歌、マットなヴィオラのソロは途中で間があったりして歌いました。続くクラリネットも豊かに歌います。題名の通り登場する楽器が皆豊かな歌を繰り広げます。ツィンバロンはそんなに強調されていません。オケの中に自然に溶け込んでいます。豊かな歌に酔いしれることができる演奏でした。

戦争とナポレオンの敗北、速めのテンポで控え目なトロンボーン、トランペット。サックスも控え目です。トロンボーンのグリッサンドも控え目で、シンバルの一撃の後からかなり音量を上げました。

インテルメッツォ、この曲でもテンポを動かして豊かに歌います。テンポが動いて歌うので、音楽がとても濃厚です。聴き手にメロディーを刻み付けるように一音一音に魂が込められているような演奏です。この曲ではツィンバロンがかなり前に出てきました。

皇帝と延臣達の入場、小さい音で始まる打楽器。木管と鍵盤打楽器は一転して大きくはっきりと演奏しました。この曲でもテンポは動きます。トゥッティではこれまで抑えていたのを開放してフルパワーです。

とてもスケール大きく、克明に、そしてテンポも動かしながら劇的に楽しく聴かせてくれました。

イシュトヴァン・ケルテス/ロンドン交響楽団

icon★★★★★
前奏曲、後の長いくしゃみでした。とても良く歌う弦。大袈裟なくらい積極的な表現。

ウィーンの音楽時計、伸びやかな鐘の音。ホルンがとても頑張ります。ピアノも良く聞こえます。ここでも表現はとても豊かです。同郷のコダーイに対する強い共感からくるものでしょうか。

歌、表現の限りをつくしていると言って良いほどの表現です。これだけ良く歌う演奏は初めてです。作品への愛情に充ち溢れています。ツィンバロンも美しいですし、良いバランスです。

戦争とナポレオンの敗北、最初は緩い響きですが、強奏でピーンと張った響きになる金管。スネアドラムも強烈なクレッシェンド。アルト・サックスのソロもビブラートを掛けてとても良い表現です。

インテルメッツォ、所々にある間もとても効果的です。中間部はハンガリーの田舎を連想させるようなのどかな雰囲気です。フルートのソロなどもアゴーギクを聞かせて表情豊かです。

皇帝と延臣達の入場、速いテンポで元気の良い冒頭部分です。ピアノがとても良く聞こえます。ホルンもかなり強く演奏します。最後もホルンが強烈でした。

表現の限りをつくした演奏でした。これだけ良く歌う演奏は初めてです。また、所々で間をあけたりする演奏には、ケルテスの作品に対する愛着を強く感じさせるものでした。

サー・ゲオルク・ショルティ/シカゴ交響楽団

icon★★★★★
前奏曲、くしゃみの最後をコントラバスが押しました。ゆっくりと間を開けて、分厚いコントラバスに続いて次第に高い弦楽器に移動します。濃厚な色彩感の演奏です。

ウィーンの音楽時計、重いドラの響き。元気よく動きまわる木管。

歌、いろんな楽器が次々と自由に歌います。ツィンバロンはあまり強調されていません。

戦争とナポレオンの敗北、暖かい響きのトロンボーン。色気のあるサックス。トロンボーンのグリッサンドは最初弱く入って次第に強くなりました。バックのスネアはスネアoffで演奏ました。色気満点のサックスはとても魅力的です。

インテルメッツォ、弦に隠れてツィンバロンはほとんど聞こえません。締まった筋肉質のホルン。フルートのソロも良く歌いました。最後はテンポを落としてゆっくり演奏しました。

皇帝と延臣達の入場、ここでも活発な動きの木管。強力なオケが豪快に鳴り響きます。

ショルティの指揮なので、もっと硬い演奏かと思いましたが、活発に動き回る木管や色気たっぷりのサックスなど、結構楽しい演奏でした。さすがにシカゴsoのフルパワーは豪快でした。

ユライ・ヴァルチュハ/hr交響楽団

Valcuha★★★★☆
前奏曲、柔らかくゆっくりと演奏される低弦。ブレンドされた美しい響きです。

ウィーンの音楽時計、遠く柔らかいチャイム。緻密に動く木管。

歌、マタチッチの演奏に比べるとかなり控え目な歌ですが、オケの上手さは格段に違います。

戦争とナポレオンの敗北、速めのテンポで軽く始まります。金管は軽く演奏しています。サックスも美しいです。

インテルメッツォ、一体感のある弦から、バランス良く聞こえるツィンバロン。たっぷりと歌うホルン。クラリネットやフルートの表情も豊かです。

皇帝と延臣達の入場、軽快に始まります。全開にならず、しっかりと手綱を締めた安定感とまとまりのある演奏でした。

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ジョージ・セル/クリーブランド管弦楽団

セル★★★★☆
セル

十分に迫力ある「くしゃみ」でした。弦の旋律は十分に歌っています。木管もオーバーなくらい表現が豊かです。

大げさな表現が、よそよそしくなく作品のユーモアに合っているように思います。

おもちゃの時計のように茶目っ気たっぷりの演奏です。

オーバーアクションぎみの演奏がほほえましい。演奏には厳格なセルですが、作品にふさわしい表現をしていて、楽しい演奏に仕上がっています。

ツィンバロンの響きも暖かみがあります。ホルンの旋律も元気いっぱいの「ハーリ・ヤーノシュ」の姿が浮かぶようです。

どっしりとしたバランスで高音域がうるさくないので、野暮ったさがしみじみと表出されています。

ナポレオン軍敗北の情けない様子も見事に描かれています。

とてもお茶目でひょうきんな「ハーリ・ヤーノシュ」の凱旋。大げさで楽しい演奏でした。

ユージン・オーマンディ/フィラデルフィア管弦楽団

オーマンディCBS★★★★前奏曲、後のRCAとの録音よりもoffぎみです。そのせいか表現は淡白な感じがします。

ウィーンの音楽時計、近くで鳴るチャイム。模範演奏のように何もひっかかるところ無く過ぎて行きます。

歌、RCAの録音よりも表情のあるビオラのソロ。ツィンバロンはかなり近いです。広々とした雰囲気のホルン。

戦争とナポレオンの敗北、ゆったりとしたテンポでお風呂の中で演奏しているようなトロンボーン。締まりの良いスネアの見事なオープンロール。サックスもかなりクローズアップして録られています。

インテルメッツォ、LPレコードの音源のようで、針にホコリが付いてヴァイオリンが歪みっぽくなって来ました。マットですが、豊かに歌うホルン。

皇帝と延臣達の入場、ピッコロも歪んで来ました。輝かしいトランペット。テンポが僅かに動きながら盛り上がります。

オーマンディのお国物と言う安定感のある演奏でした。

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シャルル・デュトワ/モントリオール交響楽団

デュトワ★★★
あっさりした「くしゃみ」でした。

華やかな鐘などの鳴り物、周りを彩る楽器も美しい音色です。

チェロのソロは細身の響きです。クラリネットの陰鬱なメロディはとても良い感じです。ツィンバロンも繊細な音で録られています。

私のこの曲のイメージは、もっと野暮ったい雰囲気なのですが、デュトワが演奏すると、とてもシャレた音楽に変身してしまいます。

トロンボーンやテューバの旋律も表現が控えめで大人しい演奏ですが、それに比べるとトランペットなどの高域が強いので、野暮ったい感じとは程遠いです。

サックスは情感たっぷりでした。

ツィンバロンの音も高音域をよく捉えていて、金属的な音がします。ホルンもふくよかな響きとは行きません。スマートで都会的な「ハーリ・ヤーノシュ」です。

木管楽器の表現は豊かです。ただ、デュトワのCDに共通する音作りがされていて、低域の一部をカットしているような響きで、「ハーリ・ヤーノシュ」には全く合わない音で音楽が作られていると私には感じられます。

エーリッヒ・ラインスドルフ/ボストン交響楽団

ラインスドルフ★★★
前奏曲、思い切りの良いくしゃみでした。厚みのある弦。独特の表現もあります。金管はあまり前には出て来ません。

ウィーンの音楽時計、小物打楽器が賑やかです。続くトランペットもはつらつとしています。一旦テンポを速めてまた戻しました。

歌、くすんだビオラのソロ。滑らかなクラリネット。ふくよかなホルン。ツィンバロンは控え目で柔らかい響きです。

戦争とナポレオンの敗北、小さく始まって次第に大きくなるトロンボーン。トランペットは凄く速いテンポです。その後も強烈なテンポです。サックスのソロで落ち着きました。

インテルメッツォ、一転して重い演奏になります。ここでのツィンバロンは明瞭です。牧歌的なホルン。テンポは良く動きます。

皇帝と延臣達の入場、締まりの良いスネア。明るく響くトランペット。予想外のところで速いテンポになったりして驚かされます。

思い切りの良い表現の演奏でした。

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ネーメ・ヤルヴィ/シカゴ交響楽団

icon★★
さらりとした「くしゃみ」でした。表情も淡々としていて、作品の情景描写はしていないような演奏です。

とても地味な時計です。かなり素っ気無い。スネアの動きがよく分かります。

ツィンバロンは小さく定位していますが、音は低い倍音も捉えているようで良い音がしています。

意図して選んだのか、おもちゃのような音がするシンバル。

これまで聞いたシカゴsoのCDからすると、すごくコンパクトな印象です。シカゴsoは上手いんだけれど、あまりにも素っ気無い演奏で、ユーモアの欠片もありません。美しい響きに身をゆだねることに割り切れば良い演奏です。

作品のストーリー性などを考えると欲求不満になりそうです。

最後の曲では金管も十分に鳴らしてくれるので、音響としては不満はないですが、ユーモアを求めたら完璧に裏切られます。

ロヴロ・フォン・マタチッチ/NHK交響楽団

マタチッチ
前奏曲、周りの人に遠慮してくしゃみを最後まで、思い切りしていない感じでした。ゆったりと歌う弦。

ウィーンの音楽時計、速めのテンポで忙しそうです。この当時のN響の演奏としては良い方だと思います。

歌、たっぷりと歌うビオラ。詰まったような響きのホルン。ツィンバロンがかなり強いバランスです。

戦争とナポレオンの敗北、トントンと響く大太鼓。ライブらしく、金管のミストーンはあちこちから聞こえます。アンサンブルの精度もあまり高いとは言えません。なかなか雰囲気のあるサックス。

インテルメッツォ、テンポを大きく動かして、とても豊かな表現です。マットなホルン。速い部分はかなり速く、テンポを引き伸ばす部分はこれでもかと伸ばします。ちょっとやり過ぎな感じもあります。

皇帝と延臣達の入場、かなり速いテンポです。

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リコ・サッカニー/ブダペスト・フィルハーモニー管弦楽団

サッカニー
前奏曲、はっきりとリミッターが掛っているのが分かります。盛り上がりにつれてオケが遠くなります。

ウィーンの音楽時計、1発目のチャイムだけ強かったです。かなりのナローレンジで、オーディオンスノイズも大きいです。

歌、演奏がどうのこうの言えるような録音ではありません。

戦争とナポレオンの敗北、小物打楽器はほとんど聞こえません。

インテルメッツォ、途中で明らかにマイクの前を塞がれます。

皇帝と延臣達の入場、

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コダーイ:組曲「ハーリ・ヤーノシュ」の名盤を試聴したレビュー

レスピーギ 交響詩「ローマの祭り」

レスピーギの交響詩「ローマの祭り」(Feste Romane)は、「ローマ三部作」の最後の作品で、1931年に作曲されました。この作品は、古代ローマから中世、現代に至るまで、さまざまな時代のローマで行われてきたお祭りや祝典の活気に満ちた場面を描写しています。豊かでカラフルなオーケストレーションと、エネルギッシュな表現が特徴です。

「ローマの祭り」は4つの楽章で構成され、それぞれが異なる祭りの場面を表現しています:

  1. 第1楽章:チルチェンセス(ローマの競技場)
    古代ローマの戦車競走が行われていたサーカス・マクシムスを舞台にした楽章です。ラッパのファンファーレや打楽器が活躍し、競技場の熱狂や観客の興奮が伝わってくるような迫力あるサウンドで、スリリングな戦車レースの様子を描写しています。
  2. 第2楽章:五旬祭
    中世ローマの宗教的な祝祭「五旬祭」を描写した楽章です。厳かな雰囲気の中に祈りのような旋律が響き、教会の鐘の音や、厳粛な宗教行事のムードが表現されています。神秘的で荘厳な音楽が、霊的な祝福の感覚を与えます。
  3. 第3楽章:十月祭
    収穫の時期に行われる「十月祭」をテーマにした楽章で、田園の豊かさや民衆の歓びが感じられます。牧歌的なメロディと快活なリズムが豊作を祝う場面を描き、踊りや賑やかな宴の情景を彷彿とさせます。ローマの豊かな土地とその恵みへの感謝の気持ちが込められています。
  4. 第4楽章:主顕祭(エピファニア)
    ローマの街がエピファニア(主顕祭)で盛り上がる様子を描いたフィナーレの楽章です。この楽章は特にエネルギッシュで、打楽器が強烈に活躍し、ローマ市民の大騒ぎや華やかな祝祭の情景が展開されます。速いテンポと強烈なリズムが全楽器で重厚に響き、クライマックスに向かって爆発的な勢いで進行し、圧倒的な終結を迎えます。

「ローマの祭り」は、レスピーギの3部作の中でも最も華やかで刺激的な作品であり、聴衆をローマの賑やかな祝祭の世界へと引き込みます。

たいこ叩きのレスピーギ 交響詩「ローマの祭り」名盤試聴記

ジュゼッペ・シノーポリ/ニューヨーク・フィルハーモニック

シノーポリ★★★★★
チェルチェンセス、大円形競技場に響き渡るトランペットの響きが上手く表現されています。続くトロンボーンも遠慮なく吹きます。喧騒と狂気が見事に表現されています。

五十年祭、弦の響きがホールに広がっていく感じがとても心地良いです。イングリッシュホルンのメロディがゆったりと歌われます。巡礼の祈りを丁寧に描いています。「ローマだ!」の歓声や喜びをテンポを速めて表現しています。

十月祭、ホルンがとても良く鳴っています。とても色彩感豊かです。マンドリンもオケの表現になじんでいてとても良いです。

主顕祭、とにかくオケが気持ち良いくらい良く鳴ります。おもちゃ箱をひっくり返したような賑やかさは見事でした。

アンドレア・バッティストーニ/東京フィルハーモニー交響楽団

バッティストーニ★★★★★
チェルチェンセス、良く鳴って美しいトランペット。ライヴ録音ですが、とても明晰です。色んな楽器が次々に襲ってくるようで、狂気の祭りを上手く表現しています。

五十年祭、残響が漂って寂しげで静かな弦。色んな楽器の動きが手に取るように分かります。「ローマだ!」の歓喜も良く表現されています。

十月祭、日本のオーケストラらしい繊細な配慮がされた演奏で、とても丁寧で音色も練られていて美しいです。細かい表現もなかなか良いです。マンドリンも豊かな響きを伴って美しいです。ヴァイオリンのソロも艶やかで濃厚です。

主顕祭、騒々しい祭りの雰囲気も見事に表現しています。猛烈なアッチェレランド!正に狂喜乱舞です。

素晴しい演奏でした。主顕際は圧巻でした。

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小澤 征爾/ボストン交響楽団

小澤 征爾★★★★★
チェルチェンセス、弦もトランペットもとても良く鳴っています。低弦よりもトロンボーンが強いリズムの刻み。あまり歌わずあっさりと演奏される弦。かなり強く良く鳴り響く金管が交錯する場面でネロの狂気の祭りが上手く表現されています。

五十年祭、とても静かで残響を伴って揺れる弦。木管が入っても切々と演奏が続きます。次第にテンポが速くなります。イングリッシュホルンで一旦テンポが落ち着きます。「ローマだ!」の歓喜も鳴り響く金管がとても良く表現しています。

十月祭、ホルンの最後の音を長く伸ばしてさらに間を置いてから次へ入りました。金管は軽々ととても良く鳴ります。柔らかく独特の表現のマンドリン。控えめですが、美しいヴァイオリンのソロ。

主顕祭、整然としていますが、祭りの大騒ぎは感じます。凄いアッチェレランド。最後はどっしりと落ち着いて終わりました。

私は、小澤との相性は悪いのですが、この演奏は良かったです。

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レナード・バーンスタイン/ニューヨーク・フィルハーモニック

icon★★★★☆
チェルチェンセス、凄い勢いとパワーを感じるトランペット。暴君ネロが開催した狂気の祭りを感じさせます。乗りの良い演奏です。

五十年祭、一転して寂しさを感じさせ、揺れる弦。精緻な演奏の緊張感や静寂感はありませんが、とても人間味のある演奏です。やはり雑な部分があります。

十月祭、とても活発で生き生きとしています。速めのテンポで有無を言わさずグイグイ進みます。

主顕祭、賑やかなお祭りです。最後はテンポを速めて祭りのバカ騒ぎのようでした。

雑な部分や強引に進むところもありましたが、主顕祭のバカ騒ぎはなかなか良かったです。

シャルル・デュトワ/モントリオール交響楽団

デュトワ★★★★☆
チェルチェンセス、いつものクールで爽やかな演奏です。トロンボーンと低弦のリズムもあまり強くはありません。とても整っていて、ネロの狂気は表現されていません。それでも軽々と鳴り響く金管はさすがです。

五十年祭、ホールの空間に響きが広がって行く弦。どの楽器も洗練されて美しいです。整然としていて静かです。「ローマだ!」の前はテンポを少し落としてパイプオルガンの重低音も含めて雄大でした。

十月祭、ホルンは軽めです。とても静かに入るマンドリン。とても明るいホルン。艶やかで美しいヴァイオリン。

主顕祭、あまりにも整然と整っていて、狂喜乱舞のお祭り騒ぎではありません。美しさと言う点では文句はありません。

祭りの当事者では無く、周囲で見ている人が美しく描いた演奏でした。

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エンリケ・バティス/ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団

バティス★★★★☆
チェルチェンセス、豪快に鳴り響くトランペット。トロンボーンと低弦のリズムはゆっくりです。弦はゆっくり濃厚に歌います。色彩感も濃厚です。最後もとても遅いテンポでした。

五十年祭、一転して静かにゆらゆらと揺れる弦。哀愁のあるイングリッシュホルン。静かにただひたすら歩く巡礼の姿を良く描写しています。頂点へ向けてゆっくりと大きなスケールで描いて行きます。

十月祭、ビリビリと鳴るホルン。ふくよかな響きではありません。あまり胴の鳴りを捉えていないマンドリン。

主顕祭、最初は速めのテンポで祭りの狂喜乱舞を表現しています。その後テンポは落ちて、トロンボーンのソロはかなり強く演奏しました。猛烈なアッチェレランド。最後も豪快に鳴らして終わりました。

鳴らすところは思い切り鳴らし、静かな部分はとても表情豊かで良い演奏でした。

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アルトゥーロ・トスカニーニ/NBC交響楽団

トスカニーニ★★★★☆
チェルチェンセス、録音が古いので、レンジは狭いですが、芯の強いトランペットです。トロンボーンと低弦のバランスが良いです。静かに歌う弦。狂気は十分に表現されています。

五十年祭、静かな別世界へいざないます。「ローマだ!」への盛り上がり、その後の堂々とした演奏も見事でした。

十月祭、ゆっくり目で伸びやかに響くホルン。歯切れの良いトランペット。セレナーデの前のホルンはミュートしているような音です。かなり大きいマンドリンであまり雰囲気がありません。

主顕祭、トランペット、トロンボーン、金物打楽器が強いので、とても賑やかですが大騒ぎとまでは行きません。最後のアッチェレランドは凄かったです。

録音年代を考えると凄い演奏です。

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リカルド・ムーティ/フィァラデルフィア管弦楽団

icon★★★★
チェルチェンセス、古めかしい響きのトランペット。その後に続く控え目なトロンボーン。次第に音楽が高揚してきて、暴君ネロの狂気を表現しているようです。

五十年祭、寂しげに揺られる弦楽器。巡礼の祈りが心に訴えてくる。そしていろんな楽器が重なって行き「ローマだ!」の頂点を迎える。チャイムがとても良い音で鳴っています。

十月祭、セレナーデの前のホルンが美しかった。マンドリンのセレナーデはテンポが速い。マンドリンは意識的に素人っぽく演奏しているのだろうか?他の楽器の表情の豊かさに比べると、マンドリンが素っ気無い。

主顕祭、祭りの喧騒を表現するには大人し過ぎるように感じます。最後のアッチェレランドは凄かった。

アントニオ・パッパーノ/サンタ・チェチーリア国立音楽院管弦楽団

パッパーノ★★★★
チェルチェンセス、ビリビリと良く鳴るトランペット。トロンボーンと低弦はバランス良く響きます。狂気になるような感じは無く、かなり落ち着いてバランス良く演奏されています。

五十年祭、うつろで寂しい雰囲気です。ファゴットとクラリネットも静かです。盛り上がりに伴ってテンポも速くなります。「ローマだ!」の部分ではマットなトランペットの響きです。

十月祭、ホルンもマットです。セレナーデの前のホルンはテンポも動いて美しい演奏でした。速めのテンポであっさりと演奏されるマンドリン。細身で艶やかなヴァイオリンのソロ。

主顕祭、少し遅めのテンポで大騒ぎではありません。オケも制御されていて全く暴走はしません。最後まで冷静でした。

美しい演奏でしたが、祭りの大騒ぎは最後まで無く、少しは大暴れがあっても良かったのでは無いかと感じました。

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ロリン・マゼール/クリーブランド管弦楽団 1976年

マゼール★★★☆
チェルチェンセス、円形劇場に響くような空間を感じさせるトランペット。金管の表現はとても豊かです。

五十年祭、豊かな響きでうつろな別世界へと連れて行かれます。ゆっくりとしたテンポで濃厚な表現です。「ローマだ!」の部分もゆっくりで、歓喜の表現はあまり感じませんでした。

十月祭、ここもゆっくりですが、抑え気味のホルン。マゼールらしいテンポの動きもあります。マンドリンが通常演奏されるようなトレモロが続く感じでは無く、付点で弾む部分は単音です。

主顕祭、金管は気持ちよく鳴りますが、ここでもテンポは遅めで狂喜乱舞の雰囲気はあまり感じません。

マゼールらしいテンポの動きがあったりもしましたが、祭りの狂喜乱舞はあまり感じられませんでした。

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ユージン・オーマンディ/フィラデルフィア管弦楽団 1960年

オーマンディ★★★☆
チェルチェンセス、残響を伴って奥から古めかしい響きのトランペット。いかにもこすっている感じのヴァイオリン。整っていて狂気はあまり感じません。

五十年祭、速めのテンポですが、うつろな感じで寂しいです。イングリッシュホルンは少し遅くなりました。「ローマだ!」の部分はゆっくりとしていて、あまり歓喜の雰囲気はありません。

十月祭、離れたところから豊かな残響を伴ったホルン。セレナーデのマンドリンはあまり抑えていません。ヴァイオリンのソロもくっきりとしています。

主顕祭、RCAとの再録音ほど遅くはありませんが、落ち着いたテンポで大騒ぎにはなりません。

フィラデルフィアoが「どうだ!」と言わんばかりに軽~く演奏したような演奏でした。

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ユージン・オーマンディ/フィァラデルフィア管弦楽団 1974年

icon★★★☆
チェルチェンセス、空間に響き渡るトランペットが艶やかです。つづくトロンボーンはチューバも伴った分厚い響きです。豪華絢爛とはこのことです。

五十年祭、早めのテンポを取っています。イングリッシュホルンのメロディはテンポを落としてたっぷりと聴かせます。「ローマだ!」の頂点はゆったりとしたテンポで描かれています。

十月祭、たっぷりと遅めのテンポで演奏されます。朗々と歌うクラリネット。マンドリンのマイクセッティングが近いようです。

主顕祭、遅めのテンポで祭りの喧騒とはちょっと違うような気がします。トロンボーンのソロは茶目っ気たっぷりでした。少し重い演奏でした。

朝比奈 隆/北ドイツ放送交響楽団

朝比奈★★☆
チェルチェンセス、奥まったところから響くトランペット。遅いテンポです。続く部分はトロンボーンよりも弦の方が強かった。

五十年祭、ホールに広がる弦の響きが心地良い。頂点の少し手前からかなりテンポを落として壮大なクライマックスを描き出しました。

十月祭、NDRも明るい音色で作品に合わせた音作りがされています。マンドリンのソロはすごくテンポが速かった。あまりにも素っ気無い演奏です。

主顕祭、細かな楽器の動きまで拾いきれていないので、喧騒を表現するには至っていないです。

朝比奈にとっては珍しいレパートリーなので、ファンにとっては貴重な音源でしょう。

アンタル・ドラティ/ミネアポリス交響楽団

ドラティ★★☆
チェルチェンセス、とても近くタンギングのはっきりとしたトランペット。控えめなトロンボーンと低弦。ゆっくりとしたテンポです。トランペットだけが異様に近いです。

五十年祭、とても小さい編成に聞こえる弦。何か乾燥して味わいが無い感じです。とても表面的に感じます。音が短い部分が多いです。トランペットが近くとてもバランスが悪いです。

十月祭、冒頭のホルンも音が短かったです。少しアンサンブルが乱れる部分もありました。タッチが明瞭なマンドリン。とても艶やかなヴァイオリンのソロ。

主顕祭、やはりトランペットだけがクローズアップされているような感じです。ゆったりとしていて、祭りの大騒ぎの雰囲気はありません。

トランペットの近さが気になりました。

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ロリン・マゼール/ピッツバーグ交響楽団 1994年

マゼール★★
チェルチェンセス、ゆったりとして大人しい演奏です。柔らかく少し寂しげな弦。金管はそれなりに吹いているのですが、テンポがゆっくりなので、狂気の祭りの雰囲気はあまり感じません。

五十年祭、強く揺られる弦。ここもゆっくりで待ち切れなくなります。「ローマだ!」の歓喜の様子は感じますが、スケールの大きさはありません。

十月祭、同じテンポの遅い演奏でもオーマンディのRCAの録音のような色彩の多彩な変化などがあればまだ良いのですが、色彩も単調で極上の美しさもありません。マンドリンはクリーブランドoとの録音と同じで付点をトレモロでは無く単音で演奏しています。

主顕祭、何か一本調子で淡白で、面白さがありません。

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セルジュ・コミッショーナ/スペイン放送交響楽団

コミッショーナ
チェルチェンセス、こもったような弦。トランペットははっきりしていますが、トロンボーンやホルンなどは全体に紛れてあまりはっきり聞こえません。鈍い感じの録音です。トゥッティでは歪みます。

五十年祭、離れたところからボヤーッと響いて来る弦。これはこれで雰囲気があります。ゆっくりと感情を込めて歌うイングリッシュホルン。「ローマだ!」の前後はかなり遅いテンポで少し間延びした感じでした。

十月祭、マンドリンが入る前もかなり遅かったです。マンドリンはかなり大きめに録られています。

主顕祭、テナードラムが飛びぬけて聞こえます。テンポは遅めですお祭り騒ぎではありません。最後まで遅いテンポでした。

テンポの遅い部分が祭りの狂喜乱舞とは違う雰囲気だったのと録音が悪く細部の動きは全く分かりませんでした。

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レスピーギ:交響詩「ローマの祭り」の名盤を試聴したレビュー

ラヴェル「ボレロ」

ラヴェル「ボレロ」名盤試聴記

ラヴェルの「ボレロ」は、1928年に作曲された非常にユニークなオーケストラ作品で、彼の代表作の一つとして知られています。この作品は、シンプルなメロディとリズムの反復が特徴で、15分以上の曲全体がほとんど変化のない音楽素材の繰り返しだけで成り立っていますが、徐々に盛り上がっていく迫力ある構成で聴衆を圧倒します。

構成と特徴

「ボレロ」は、以下の特徴が際立っています:

  1. シンプルなメロディの繰り返し
    最初にフルートが提示するシンプルな旋律が、曲の最後まで何度も繰り返されます。メロディはスペイン風の舞曲を思わせるものですが、その旋律自体には変化がなく、リズムも同様に一定です。この単調さが独特の緊張感を生み出します。
  2. リズムの変わらないスネアドラム
    スネアドラムの一定のリズムが曲の冒頭から最後まで絶え間なく刻まれ、曲全体の土台を支えます。このリズムはスペインの舞曲「ボレロ」のリズムを模したものです。ラヴェルはこれを通して徐々に音楽の緊張感を高め、最後のクライマックスに向かわせます。
  3. 楽器の変化と音量の増加
    メロディとリズムは変わらないものの、演奏する楽器が次々と変わり、オーケストラの様々な楽器が順番に旋律を受け継いでいきます。最初は柔らかな音色のフルートから始まり、途中ではオーボエ、クラリネット、サクソフォーン、トランペットなど、色彩豊かな管楽器が加わります。曲が進むにつれ、音量も次第に増し、オーケストラ全体が加わっていくことで、圧倒的なクライマックスに到達します。
  4. クライマックスの爆発的なフィナーレ
    作品は終盤に向けて次第に緊張を高め、最後は壮大なフォルテッシモ(非常に強い音量)で爆発するようなフィナーレを迎えます。ここではオーケストラの全体が一体となり、聴衆を圧倒する迫力を生み出します。

作品の背景と意図

「ボレロ」は、ラヴェルが試験的に「楽器法とリズムだけでどれだけの変化を作り出せるか」に挑んだ作品とされています。当時、友人からバレエ曲を依頼されたラヴェルは、「ある種の音の実験として、変化のないメロディとリズムの反復だけで人を魅了する音楽を作りたい」と考え、この作品を作曲しました。

初演時にはその単調さから一部で批判もありましたが、ラヴェル自身はこの曲を「狂気の音楽」と呼び、意図的に「陶酔的な興奮を伴う音楽」を追求していました。曲が持つ独特のリズムと展開により、次第に聴衆が没入し、圧倒的な高揚感を得る体験ができるのです。

「ボレロ」は単純さと壮大さが融合した異色の名作で、クラシック音楽のみならず、さまざまなジャンルの人々に愛されています。

アンドレ・クリュイタンス/パリ音楽院管弦楽団

★★★★★

割と大きめでスネアの響きがはっきりと聞こえる冒頭。ゆったりとしたテンポで、テヌート気味で太い響きのフルート。ビブラートも含めてとても色気のあるファゴット。匂い立つようなオーボエダモーレ。ホルンが刻むリズムが大きいです。サックスは比較的ストレートな表現です。ピッコロとホルンとチェレスタは柔らかくブレンドされた響きです。トロンボーンもビブラートを効かせて極上のセクシーさです。木管群とヴァイオリンの爽やかなA。トランペットの八分音符が強く演奏されますが、しっかりと地に足が付いています。最後のAはトランペットが突き抜けて来ます。最後は二台のスネアの足並みが乱れる部分もあります。ボレロは優雅なAとセクシーなBの旋律を繰り返しますが、どちらも両立した演奏でした。極端に強弱の振幅がある演奏ではありませんでしたし、フランスのオーケストラらしいいい加減なアンサンブルもありますが、ソロのセクシーさでは群を抜いている演奏だと思います。

ピエール・ブーレーズ/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

★★★★★

リム付近を叩くコツコツと響くスネア。明るい響きのフルート。ドイツのクラリネットの響き。ファゴットもEbクラも歌いますがまありセクシーではありません。テヌト気味のオーボエダーモーレ。装飾音も付けて歌うテナーサックスとソプラノサックス。どのソロも洗練されていて上手いです。歯切れよく小気味よいスネア。トロンボーンは嬉しくなるほどセクシーです。2台目のスネアが入るのは分かりませんでした。個人的には、これくらい引き締まったスネアが理想的だと思います。コーダに入って自然なクレッシェンド。シンバルやドラが入る直前でさらにクレッシェンド。ソロはソロである程度自由に表現させて、アンサンブルは整然と整った美しい演奏でした。

シャルル・ミュンシュ/パリ管弦楽団

★★★★★

最初からスネアの音が聞こえます。この状態だと、ffではユルユルの響きになりそうですが・・・・。太く暖かいフルート。明るいクラリネット。独特の響きで色気のあるファゴット。Ebクラもとても豊かな表現です。フルートとミュートしたトランペットはトランペットが強いです。意外と素直なテナーサッククスとソプラノサックス。ピッコロとホルンとチェレスタはとても良くブレンドされています。なかなかセクシーなトロンボーン。木管と第一ヴァイオリンのAや続く第一、第二ブァイオリンのAでは、旋律が走る?かスネアが遅れる部分もありました。トランペットが八分音符を吐き捨てるように雑に演奏します。やはりスネアはユルユルです。最後のBでアッチェレランドです。トランペットも強烈です。ミュンシュのやりたい放題のかなり乱暴な演奏でしたが、なかなか聴きごたえがありました。

ヘルベルト・フォン・カラヤン/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 1966年

★★★★★
リムのギリギリを叩くコツコツと言うスネア。全くスネアのシャリシャリした響きはありません。ppからffまで演奏しないといけないので、どの音量でベストな響きにするのかは奏者の判断ですが、この締まったスネアはある程度の音量でベストな響きになるセッティングでしょう。かなり強く絞められたスネアは遠くで聞いても歯切れ良い響きになるとても良いチューニングです。芳醇なフルート。Bの旋律は割と自由に演奏させているような感じです。フルートとミュートしたトランペットがとても良くブレンドされています。歯切れの良いスネアが心地よく響きます。テナーサックスは艶のある表現です。ソプララノサックスもテンポの中で揺れる表現で、カラヤンが極端に制御している感じではありません。ピッコロ・ホルン・チェレスタもブレンドされた不思議な響きです。トロンボーンもセクシーな表現です。トロンボーンの後のスネアの響きは抜群です。木管群のAとBの間でスネアが2台になるのがはっきりと分かります。クライマッックスに近付くにつれて金管が遠くから抜けて来たりします。コーダでもトロンボーンが抜けて来たり、カラヤンが何もかも制御するのでは無く、楽員にも自由度を与えながら上手くまとめた演奏で、ベルリンpoもとても良い状態の演奏だったと思います。

大植 英次/大阪フィルハーモニー交響楽団

★★★★★

スティックをかなり短く持って、ヘッドの中央付近を叩いているスネア。指の感覚に近いフィーリングで叩こうとしているのか。明るい響きのフルート。抜けの良いクラリネット。表情はありますが、やはり真面目なファゴット。美しく響きますがやはりセクシーでは無いEbクラ。ビブラートも掛けて歌うテナーサックス。ソプラノサックスもビブラートを掛けて装飾音符も付けて歌いますがセクシーな表現ではありません。プツプツと締まった響きのスネア。ピッコロ・ホルン・チェレスタはバランスが良い感じです。木管群の演奏中に明らかにクレッシェンドしたスネア。トロンボーンは、はっきりとタンギンせずルーズな感じでとてもセクシーな演奏でした。トロンボーンの後の木管群も華やかでした。第一ヴァイオリンが入るとサラッとした感じになり、とても色彩感が豊かです。最後から3番目のBはまろやかな響きです。最後まで引き締まったスネアは素晴らしい響きです。コーダに入って大きくクレッシェンド。豊かな色彩感と、最後まで統率された素晴らしい演奏でした。

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ヴァレリー・ゲルギエフ/ロンドン交響楽団

★★★★★

リム付近を叩いているからか、胴鳴りなのか、スネアが僅かに響いているのか、良く分からないスネア。太く暖かいフルート。ニュートラルなクラリネット。途中少し走るような表現でした。フルートとミュートしたトランペットはトランペットがカップミュートをしているので、とても良くブレンドされています。セクシーなテナーサックス。ソプラノサックスも艶めかしく色気のある演奏でした。スネアは少し緩い感じがします。トロンボーンもなかなか良い演奏でした。木管群も華やかです。最後のAの直前で大きくクレッシェンドしました。スネアはユルユルになって来ました。最後の堂々としたエネルギー感は凄かったです。

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リッカルド・ムーティー/フィラデルフィア管弦楽団

★★★★★

かなり緩いようなスネアの響き。太めのフルート。クラリネットもファゴットも独特な響きです。Ebクラもゴムの管を吹いているような独特の響きです。ロウのような滑らかさのテナーサックスはセクシーな演奏でした。ソプラノサックスも装飾音を含んでセクシーでした。トロンボーンもクネクネとした表現でとてもセクシーでした。八分音符を刻むトランペットはとても柔らかく演奏しています。最後のAでピッコロトランペットが輝かしく響きます。最後はゆっくりとこれでもかとグリッサンドするトロンボーン。最後は堂々とした演奏でした。

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ヘルベルト・フォン・カラヤン/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 1985年

★★★★☆

1966年盤よりも若干緩いスネアです。フルートも若干細身か、これぞクラリネットと言う響き。あまり潤いの無いEbクラ。1966年盤ほどブレンドされないフルートとミュートしたトランペット。テナーサックスも細身で表現もあまり積極的ではありません。ソプラノサックスはかなり歌いました。トロンボーンもよく表現しますが、セクシーではありません。スネアは常に控えめで、2台目が入ったのもあまりはっきりとは分かりませんでした。かなりカラヤンによって制御されているようで、金管が突き抜けて来るようなことは無く、全体のバランスも保って演奏されています。最後のAは華やかで力強いです。スネアもどんどんクレッシェンドして来てかなりの存在感になっています。強弱の振幅は1966年盤よりもかなり大きかったように感じました。ただ、表現の自由さはかなり抑えられていて、最後の力強さを聞かせたかったのかなと感じました。

ジャン・マルティノン/フランス国立放送管弦楽団

★★★★☆

小さいスネアを使っているような響きです。最初からスネアが鳴っています。色彩感のはっきりとした演奏です。テヌートぎみの柔らかい表現です。ファゴットは際立った色気は感じません。Ebクラも表現は控えめです。フルートとトランペットのミュートの後半でフルートが旋律を間違えます。テナーサックスも取り立ててセクシーな演奏ではありません。ソプラノサックスも大きな表現はありませんが、ここまで、フランスのオケとしてはとても整った演奏です。トロンボーンは少しセクシーでしたが、抑制された表現です。二台目のスネアが入ったところは分かりませんでした。スネアは涼し気な響きです。トランペットの八分音符が大きく響きますが、ミュンシュの演奏ほど乱暴で突き抜けてはいません。コーダはかなりの音量になったように感じました。しっかりとコントロールされた演奏でした。

シャルル・デュトワ/モントリオール交響楽団

★★★★☆

冒頭からスネアの響きが僅かに聞こえるチューニングです。いつものデュトワの演奏と同様に温度感の低い、透明感の高い演奏です。細身のファゴットが少し表現を加えた演奏をします。滑らかなEbクラがさらりと演奏します。テナーサックスもあっさりとした表現です。ソプラノサックスもほとんど表現らしい表現が無くあっさりとしています。ピッコロとホルンとチェレスタはホルンが強めです。トロンボーンは少し表情のある演奏ですが、セクシーさは全くありません。二台目のスネアが入ったのはほとんど分かりませんでした。チューバの存在感がかなりあります。スネアが緩い感じがして来ました。弱音を優先したチューニングでffになると緩いです。コーダはかなり強くなりましたが、全体にとても制御された演奏で、オケはとても上手いのですが、セクシーさよりも清潔感のある清楚な演奏で、私がイメージするボレロとはかなり違う演奏でした。

ロリン・マゼール/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

★★★★☆

リム付近を叩く甲高い音のスネア。速めのテンポで滑らかなフルート。ウィーンらしい潤いのあるクラリネット。乾いた響きのファゴット。Ebクラはあっさりとした表現です。なまめかしいテナーサックス。ピッコロ・ホルン・チェレスタは盛大に響きます。暗い響きのトロンボーン。陰湿なセクシーさで独特の表現です。木管群やヴァイオリンなどの旋律もなぜか暗い。最後のBで急ブレーキ。陰湿で暗い、変態のようなセクシーさ。マゼール独特の表現でした。異色のボレロでかなり好き嫌いの分かれる演奏だと思います。私は、この変態のようなセクシーさは好きです。

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エルネス・アンセルメ/スイス・ロマンド管弦楽団

アンセルメ

★★★★

かなり緩いスネア。豊かな響きを伴ったフルート。フルートもクラリネットも歌おうとするのか、スネアより若干遅くなる部分もありました。ストレートな表現のファゴット。Ebクラもストレートな表現でした。間接音を含んだオーボエダモーレ。ミュートしたトランペットが強く響きます。テナーサックスもあまり大きい表現はしません。装飾音符を含んだソプラノサックスですが、やはりセクシーな表現では無く、後半で音を短く演奏する部分もありました。ピッコロ・ホルン・チェレスタはとても盛大に鳴ります。笑うようなトロンボーンは少しセクシーでした。木管群はとても華やかです。ヴァイオリンが入ると涼やかな響きになります。とても色彩感は豊かです。スネアはユルユルです。最後のAとBでピッコロトランペットが輝かしく響きます。表現はあま積極的ではありませんでしたが、濃厚な色彩感はさすがでした。

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ズービン・メータ/ロサンジェルス・フィルハーモニック

メータ

★★★★

径の小さいスネアでスネアは緩めです。明るいフルート。テンポも軽快です。ストレートでセクシーでは無いファゴット。明るく沸き立つようなオーボエダモーレ。軽快なテンポに乗って微妙な表情を付けるテナーサックス。ピッコロ・ホルン・チェレスタは盛大に鳴ります。少し沈んだ木管群。テンポに乗って歌うトロンボーンですが、やはりセクシーな表現とは違います。スネアがとても力強く推進力があります。マットなヴァイオリン。個人的にはもう少し締まっていて欲しいスネアです。2台目のスネアが入るのがはっきりと分かりました。2台のスネアが少しバラけます。最後もスネアはバラバラでした。若いメータの勢いそのまま。絶好調の時代の演奏でした。

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スタニスワフ・スクロヴァチェフスキ/読売日本交響楽団

★★★★

強くミュートしてあるようなスネア。陰影のあるクラリネット。豊かな響きを伴ったファゴットですが、正直な演奏です。Ebクラもセクシーではありません。オーボエダモーレも豊かな響きを伴って美しいです。フルートとミュートしたトランペットはトランペットが強いです。テナーサックスも素直な表現です。ソプラノサックスは少しセクシーでした。ピッコロ・ホルン・チェレスタはバランス良く響きます。木管群は控えめです。とてもセクシーなトロンボーン。スネアは良い音になって来ました。ウァイオリンが入ると涼やかな響きになります。2台目のスネアが入ったのははっきりと分かりました。最後までスッキリとした響きの演奏でした。

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イゴール・マルケビィッチ/スペイン放送交響楽団

★★★★

胴鳴りのような響きがするスネア。割と速めのテンポで進みます。サックスのような響きのファゴット。一本調子のEbクラ。タメも無くテナーサックスも一本調子です。ソプラノサックスは少し表現しました。軍隊の行進のような推進力です。笑うようなトロンボーン。ここでも表現は少しです。水彩画のような淡い色彩。ゴム毬が跳ねるようなチューバの響き。最後のAとBで見事なバランスで突き抜けて来るピッコロトランペット。スネアは少し緩いか。コーダに入って若干テンポが上がったか?表現は抑制されていて、色彩感もてとも渋いものでしたが、オケをしっかりと統率した演奏は見事でした。

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セルジウ・チェリビダッケ/ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団 1993年

★★★★

チェリビダッケらしくゆっくりとしたテンポ。極端な弱音でスタートします。リム付近を叩く硬い響きのスネア。ふくよかで暖かいフルート。ファゴットはあまり表現の無い平板な演奏です。フルートとミュートしたトランペットは明らかに分離しています。テナーサックスはかなりセクシーな演奏でした。ピッコロとホルン、チェレスタの後、トランペットのリズムを刻む音が大きくなります。トロンボーンも表現しますが、何かチェリビダッケから「表現しろ」と言われて、どうして良いのか分からずに戸惑いながら表現しているような感じがしました。この辺りになると、スネアの緩さが目立って来ます。2台のスネアも6連符では、リズムが揃わずダラダラになります。16回目の繰り返しでトランペットの八分音符を刻む音が強くなりますが、上の音だけで、下の音はほとんど聞こえません。テナーサックスとトロンボーン以外は表現を抑えて、整えられた演奏ですが、ライブと言うこともあって、細部の精度はそんなに高い演奏でも無く、最後の盛り上がりも強いものではありませんでした。

チョン・ミョンフン/東京フィルハーモニー交響楽団

★★★★

抜けの悪い感じはありますが、リム付近を叩くスネア。ゆったりと表現するクラリネット。明るい響きのファゴット。ストレートな表現のEbクラ。少しセクシーなテナーサックス。良く歌いますが、セクシーでは無いソプラノサックス。ピッコロ。ホルン・チェレスタはやはり大きく響きます。トロンボーンはテンポも揺らして表現します。スネアは引き締まった良い音です。第一ヴァイオリンが入ると華やかな響きになります。第二ヴァイオリンも入るとさらに華やかになります。二台目のスネアは明らかに入ったのが分かりました。何と二台目のスネアはステージ奥の客席にいます。オーケストラが一体になった盛り上がりは見事でした。チョン・ミョンフンの統率力を発揮した演奏でしたが、日本のオケにセクシーな演奏を求めても無理なのか?

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アルミン・ジョルダン/スイス・ロマンド管弦楽団

ジョルダン

★★★★

リム付近を叩いていますが、僅かに胴鳴りのような響きも聞こえます。ファゴットまで抑えた表現です。滑らかですが、ストレートな表現のEbクラ。フルートとミュートしたトランペットはトランペットが強く響きます。テナーサックスも抑制的でセクシーではありません。ソプラノサックスはテナーサックスよりも積極的に表現します。トロンボーンはかなり積極的に歌いますが、やはりセクシーではありません。スネアは若干緩い感じになって来ました。第一ヴァイオリンが入ると涼やかな感じになります。スネアのマイクポジションはバター側では無く、スネア側から音を拾っているような感じです。最後のAのトランペットが切れ味鋭い音です。最後はフルパワーの演奏で、ヴァイオリンが入った時には涼やかだった響きが熱い響きに変わるのは見事でした。

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ジャンルイジ・ジェルメッティ/シュトゥットガルト放送交響楽団

★★★★

ほとんどスネアの音が聞こえません。ゆったりとしたテンポで落ち着いて演奏されるフルート。内に秘めたようなクラリネットはなかなか良い表現です。大きく歌うファゴットですが、セクシーではありません。Ebクラも良く歌いますが、やはりセクシーな表現ではありません。オーボエダモーレはテヌート気味に表現します。抑え目の音量でやはり内に秘めたような表現のテナーサックス。スネアが引き締まった響きで聞こえて来ます。トロンボーンは色んな表現をしますが、やはりセクシーとは言えません。アンサンブルはとても整っています。第一ヴァイオリンが入るととても爽やかな響きになります。トランペットの八分音符はとても短く弱めです。最後もフルパワーにはならず、抑制された感じでした。良く歌う演奏でしたが、セクシーではありませんでした。それでも、とても良く鍛えられたアンサンブルは見事でした。

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クラウディオ・アバド/ロンドン交響楽団

★★★★

速めのテンポで径の小さく浅いスネアを使っているような響きです。遠くから響くようなフルート。速いテンポも相まってとてもあっさりとした演奏です。滑らかで潤いのあるクラリネット。Ebクラも滑らかに流れて行きます。フルートとミュートしたトランペットは明らかにトランペットが強いです。控えめでセクシーな感じはほとんどないテナーサックス。ピッコロ、ホルン、チェレスタはよくブレンドされています。直後のトランペットがスネアと同じリズムを刻みますが、モタモタです。トロンボーンも表現はしますが、セクシーではありません。木管だけのBはとても華やかです。最後のAとBはトランペットが突き抜けて来ます。このトランペットは凄いです。最後は弦楽器奏者が自然に歓声を上げたと記載されていますが、そんなことは無いだろうと思います。事前に準備されたものだと思います。色彩感や盛り上がりはありましたが、セクシーさが無かったのが少し残念でした。

ジョルジュ・プレートル/RAI国立交響楽団

★★★☆

リムの際より少し離れたところを叩いているようでたどたどしいリズムで始まったスネア。途中でテヌート気味の表現をするフルート。あまり大きな表現の無いファゴット。途中で少し遅くなるEbクラ。オーボエダモーレも途中でテヌートの表現です。ミュートしたトランペットに負けてあまり聞こえないフルート。テナーサックスも途中で遅くなったりします。Bの旋律は皆、下降旋律で遅くなります。ピッコロ・ホルン・チェレスタはバランスの良い響きです。Aの旋律は皆途中でテヌートです。細い響きのトロンボーンも途中で遅く演奏しますが、セクシーな表現とは言えません。リズムを刻む楽器が良く聞こえて小気味良いです。木管群のBも揃えて遅くなります。あまり色彩感は濃厚ではありません。クレッシェンドもあまり大きくはありません。最後のAとBでピッコロトランペットが突き抜けて来ますが、そんなに音量が増した感じは無く、埃っぽい響きです。独特の表現の演奏でしたが、セクシーさや色彩感や音量の変化も乏しい演奏だったのは残念でした。

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ゲオルグ・ショルティ/シカゴ交響楽団

★★★☆

リム付近を叩いていますが、僅かにスネアの音が聞こえます。径の小さいスネアを使用しているのか?フルートもクラリネットもくっきりと浮かび上がります。表現はしますが、セクシーでは無いファゴット。Ebクラも見事ですが、セクシーではありません。どの楽器も際立っていて、色彩感がとても豊かです。フルートとミュートしたトランペットはほとんどトランペットを聞いている感じです。アメリカ的で金属的なテナーサックス。装飾音もあってセクシーな感じです。トロンボーンは大きな表現をしますが、ちょっと作為的で、セクシーを通り越して滑稽に聞こえます。トロンボーン以降の木管群にヴァイオリンや、トランペット、トロンボーンが加わる色彩感もとても豊かです。色彩感はとても豊かな演奏でしたが、セクシーさはあまり感じませんでした。ショルティにセクシーさを求めても無理か!

エフゲニー・ムラヴィンスキー/レニングラード・フイルハーモニー交響楽団

★★★☆

物凄く遅いテンポで、リムよりも内側を叩いているようで、最初からスネアの響きがします。テンポはチェリビダッケにも劣らない遅さです。フルートも息が続きません。ファゴットは表現しますが、かなり抑えられています。フルートとミュートしたトランペットのあたりになるとかなりテンポが速くなりましたが、まだ一般的なテンポに比べるとかなり遅いです。聞きなれたテナーサックスの響きとは違います。そんなに大きな表現はしません。アルトサックスのような響きのソプラノサックス。もしかしたら本当にアルトサックスで代用したのか?独特の響きのトロンボーンですが、セクシーさは全くありません。厳格なムラヴィンスキーにセクシーな表現は元々無理な気はしますが・・・。ヴァイオリンはとても近く、残響もほとんど伴っていません。ヴァイオリンが入るあたりでは一般的なテンポになって来ました。叩きつけるようなスネア。ピッコロトランペットが歪んでいます。かなり埃っぽい録音になって来ました。コーダに入って猛烈に加速します。一貫してテンポを速める演奏はなかなか良かったと思います。ただ、ムラヴィンスキーはセクシーとは対極にある人なので、脱力するようなセクシーさは全く感じませんでした。

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クリストフ・エッシェンバッハ/パリ管弦楽団

★★★☆

胴の浅いスネアでコツコツとした響きです。太く暖かい響きのフルート。黄昏を感じさせるクラリネット。強弱の変化も付けて表現するファゴット。Ebクラはファゴットとは違う表現をします。フルートとミュートしたトランペットは少しトランペットが強い。軽快なテンポで進みます。装飾音も付けて少しセクシーなテナーサックス。割とストレートなソプラノサックス。スネアは緩い感じになって来ました。テンポよりも遅く遅くねちっこい表現でとてもセクシーなトロンボーン。滑らかな木管群。ヴァイオリンはマットな響きで、渋い響きになりました。パリ管とは思えないような渋い響きです。スネアはユルユルになりました。最後もピッコロトランペットが突き抜けることも無く、渋い響きのままです。ソロは色彩感がありましたが、楽器が重なるにつれて渋い響きになりました。

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クラウス・テンシュテット/フィラデルフィア管弦楽団

★★★☆

低音がボンつく感じで、スネアの響きが太く感じます。笛の音がするフルート。スネアはかなり緩い感じです。ファゴットはあまりセクシーではありません。Ebクラも積極的な表現ですがセクシーではありません。控えめに入って次第に大きくなる表現でセクシーなテナーサックス。スネアはかなり緩い感じがはっきりとして来ました。ビブラートを効かせたトロンボーンは笑いながらセクシーです。ヴァイオリンが入ってもくすんだ響きです。ミュンシュ/パリ管の演奏でもスネアは緩かったですが、それと同じかそれ以上に緩いです。トゥッテイの中からビブラートを掛けるトロンボーンが聞こえます。ピッコロトランペットが入って華やかで輝かしくなります。

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ジョセップ・ポンズ/スペイン国立管弦楽団

ポンズ

★★★

リム付近を叩くパツパツとした響きのスネア。ゆったりとしたテンポです。陰影のあるクラリネット。浅い響きのファゴットは割とストレートな表現です。ゆったりと大きな表現のEbクラ。装飾音符を含んで少しセクシーな表現のテナーサックス。ミュートしたトランペットの八分音符がはっきりと響きます。酔えるようにセクシーなトロンボーン。スネアは締まった良い音です。ヴァイオリンが入ったあたりから、ゆったりとしたテンポを少し持て余しているような感じもします。奥からピッコロトランペットが響きます。

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金 聖響/東京フィルハーモニー管弦楽団

金 聖響

★★★

匂い立つようなクラリネット。ミストーンはありましたが生き生きとしたファゴット。艶やかで生き生きとしたEbクラ。暖かいテナーサックス。とても濃厚な色彩感です。日本のオケにセクシーな表現を求めても無理なのか。とても歯切れの良いスネア。スッキリとした清潔感のある響きです。最後の六連符はゆっくりでした。あまり大きなクレッシェンドにはならず細身でスッキリとした演奏でした。

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リッカルド・シャイー/ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団

シャイー

★★★

冒頭からスネアの響きが少し聞こえるチューニングです。太くはありませんが、暖かいフルート。くっきりと浮かび上がるファゴット。細身のテナーサックス。ソプラノサックスもテナーサックスと同じような表現ですが、セクシーではありません。ピッコロとホルンとチェレスタは良くブレンドされています。トロンボーンも細身で、豊かな表現ではありますが、セクシーな表現ではありません。ホルンの刻むリズムが良く聞こえます。二台目のスネアが入ったのはほとんど分かりませんでした。スネアはかなり緩くなって来ました。最後のAの前からティンパニが強くなりました。若干テンポを上げたか?アバド盤と同様にコーダで歓声が入りますが、アバドほど大きくはありませんでした。コンセルトヘボウらしい濃厚な色彩を期待しましたが、あっさりとした色彩と表現で、セクシーさはほとんど感じませんでした。

モートン・グールド/ロンドン交響楽団

モートン・グールド

★★★

弦のピチカートは聞こえますが、スネアはほとんど聞こえません。静寂感の中に響くフルート。テンポはゆったりとしています。ソロはそれぞれ上手いのですが、色彩感はあまり濃厚ではありません。フルートとミュートを付けたトランペットは明らかにトランペットが強いです。テナーサックスもソプラノサックスも真面目です。トロンボーンは大きく、表現も積極的でしたが、やはりセクシーではありません。木管群は切れのいい響きで気持ちが良いです。ティパニが大きく響き、底辺を支えている感じです。14回目と15回目の繰り返しの間と16回目の間でスネアが大きくクレッシェンドしました。最後はフルパワーを感じさせる演奏で、強弱の振幅は最も大きい演奏だったかも知れません。しかし、Bの旋律に全くセクシーさが無かったのはとても残念でした。

小澤征爾/ボストン交響楽団

★★★

スネアの響きがする冒頭。自然で美しい、フルートとクラリネット。表現は控えめなファゴット。フルートとミュートのトランペットはトランペットが支配的です。ふくよかさは余り無いテナーサックス。ソプラノサックスもあまり大きな表現はありません。首が締まったような細いトロンボーン。軽快なテンポで推進力があります。2代目のスネアが入ったのは分かりました。スネアのリズムが独特で3連符の頭を少し強く演奏しています。最後、スネアはかなり緩く感じます。最後は若干テンポを速めて終わりました。とても音色に気を配った演奏のように感じました。最後も音が荒れることの無い範囲で収めた感じで、安全運転のような感じで禁欲的した。

ヘルベルト・フォン・カラヤン/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 1977年

★★★

ゆったりとしたテンポで僅かにスネアの響きが聞こえます。66年盤よりも少しスリムなフルート。小さく入ってクレッシェンドするクラリネット。大きくは歌わないファゴット。大きく入ったEbクラ。カラヤンの3回の録音の中では一番細いテナーサックス。表現も抑制的でした。ソプラノサックスもあまり自由な表現ではありません。フルートとミュートしたトランペットはトランペットが強かったですが、ピッコロ・ホルン・チェレスタは良くブレンドされていました。トロンボーンは作為的な表現もありましたが、セクシーでした。スネアは最後まで引き締まっています。最後まで大きな盛り上がりが無く、表現も3回の録音の中で一番カラヤンによって制御された演奏で面白みがありませんでした。

ダニエル・バレンボイム/ウェスト=イースタン・ディヴァン管弦楽団

★★★

リム付近を叩くパチパチとした響きのスネア。控えめで籠った響きのクラリネット。ほとんどセクシーな表現をしないファゴット。フルートとミュートしたトランペットはとてもバランスの良い響きです。テナーサックスは歌いますが、セクシーではありません。ソプラノサックスは上手い表現をしますが、セクシーではありませんでした。ピッコロ・ホルン・チェレスタも盛大にならず、良いバランスです。渋い響きの笛を含まない木管群。細く詰まったようなトロンボーン。大きな表現なのですが、やはりセクシーではありません。少しだけ華やかになる木管群。第一ヴァイオリンが入っても渋い響きです。トランペットが入ると、とても強くなったり引っ込んだりします。スネアは若干緩さが感じられます。パリ管との演奏よりも全体は盛り上がりましたが、色彩感の乏しい演奏でした。

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ダニエル・バレンボイム/シカゴ交響楽団

バレンボイム

★★★

少し遠いスネア。フルートも遠くにいます。どのソロもほとんど表情がありません。テナーサックスは美しい響きでセクシーでした。ソプラノサックスは表現しますがセクシーではありませんでした。弦のピチカートが克明に録音されています。ビブラートを効かせたトロンボーンでしたが、セクシーとは言えない演奏でした。続く木管は華やかです。最後のAはバランス良く華やかな響きです。バレンボイムが何をしたかったのか、ただ演奏しただけのような演奏に感じました。

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ダニエル・バレンボイム/パリ管弦楽団

★★★

ゆったりとしたテンポでリム付近を叩くコツコツとした響きのスネア。落ち着いた響きのフルート。あまりセクシーな表現をしないファゴット。丁寧なEbクラ。テヌート気味の表現のオーボエダモーレ。艶っぽくでセクシーさもあるテナーサックス。ミュートしているような打音が硬いスネアの響きです。ソプラノサックスは抑え気味の表現です。ピッコロ・ホルン・チェレスタは良くブレンドされていますが、これまでの音量から一段大きくなりました。トロンボーンは少し大げさな表現で興醒めします。木管群の色彩はとても華やかです。テンポの遅さにパリ管が乗り切れてないような感じがします。くっきりと浮かび上がるトランペットの八分音符。スネアがこれでもかとクレッシェンドして行きます。スネアの盛り上がりに比べると他のパートは醒めている感じがして、今一つ盛り上がりませんでした。「笛吹けど踊らず」では無く、「太鼓叩けど踊らず」でした。

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ロリン・マゼール/フランス国立管弦楽団

★★★

緩めではっきりとスネアの響きが聞こえます。軽快なテンポです。ウィーンpoとの録音と同じ表現のファゴット。テナーサックスは少し細身で、ファゴットと同じ表現です。このあたりでスネアが程良い響きになっているので、後半はかなり緩い響きになるのでは。ピッコロ・ホルン・チェレスタが盛大に鳴るのもウィーンpoの演奏と同じで。続く木管群で音量が落ちるのがとても変です。トロンボーンはファゴットやテナーサックスとは違う表現で積極的でしたが、セクシーさはありません。2台目のスネアが入るのははっきりと分かりました。コーダで一段とボリュームアップです。ウィーンpoのような急ブレーキも無く、マゼールらしい仕掛けはありませんでした。ウィーンpoのような変態っぽいようなセクシーさも無く、個性の無い演奏でした。

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レナード・バーンスタイン/フランス国立管弦楽団

★★★

コツコツと響くスネア。陰影のあるクラリネット。独特な響きで歌うファゴットですが、あまりセクシーな表現ではありません。ファゴットは違う歌い方をするEbクラ。フルートとミュートしたトランペットはトランペットがストレートミュートなので、トランペットが強く響きます。艶っぽいテナーサックス。表現はさほどではありませんが、音色自体がセクシーです。良く音が通るソプラノサックス。トロンボーンは豊かに歌いますが、あまりセクシーではありません。第二ヴァイオリンが入るととても華やかになります。大きく盛り上がることも無くなんとなく終わった感じです。バーンスタインの最晩年の濃厚な表現で聞いてみたかったと感じました。

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エルネスト・アンセルメ/パリ音楽院管弦楽団

★★★

ゆったりとしたテンポでスネアの響きが聞こえます。奥まって響くフルート。細い響きのファゴット。ほとんどセクシーな表現はありません。テンポを引き延ばすようなEbクラ。二枚リード独特の響きのオーボエダモーレ。リズムを刻む楽器も後ろ乗りするような、テンポを遅らそう遅らそうとするような感じで、推進力は全くありません。テナーサックスには全くセクシーさを感じませんでした。ビブラートを掛けたソプラノサックスはセクシーです。ピッコロ・ホルン・チェレスタは盛大に響きます。酔っぱらっているようなトロンボーン。テンポが前に進まないのがとても気になります。最後のAとBはピッコロトランペットが極端に突き抜けて来ます。かなり奏者にやりたいように演奏さているような感じでしたが、テンポが前に進まないのがとても気になりました。

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西本 智実/ロシア・ボリショイ交響楽団

西元

★★★

コツコツと響くスネア。何かノイズを含んでいるようなフルート。ロシアのクラリネットです。柔らかく美しいファゴット。かなり甲高く強い響きのEbクラ。フルートとミュートしたトランペットのバランスも良いです。テナーサックスは装飾音も入れて演奏しますが、セクシーな感じはありません。ピッコロ・ホルン・チェレスタもバランスが良いです。このあたりは日本人の繊細さか。積極的に表現するトロンボーンですが、やはりセクシーではありません。最後も極端に盛り上がることも無く、丁寧にまとめた感じです。日本人指揮者にセクシーなボレロを求めても無理なのか?

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ジャン=クリストフ・スピノジ/hr交響楽団

★★★

とても速いテンポで、リム付近を叩くスネア。テンポが速いので、乗りが良く一気に吹き終えるフルートとクラリネット。ファゴットにはテンポが速すぎるような感じがしました。Ebクラももう少し遅めに演奏したそうな感じでした。ミュートしたトランペットももう少しゆっくり演奏したそうです。テナーサックスは大きく表現しますが、あまりセクシーな表現ではありません。ソプラノサックスもテーナックスと同様の表現です。トロンボーンもサックスと同じような表現で、セクシーではありません。スネアは少し緩い感じです。最後のAとBでピッコロトランペットが強く響きます。後半に進むにつれてテンポに乗るようになったオケ。後半は良かったですが、最初のうち、テンポに乗り切れない演奏が残念でした。

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ヴィセンテ・アルベローラ/ガリシア交響楽団

アルベローラ

★★☆

少し緩めでスネアの響きが聞こえます。ゆったりとしたテンポです。太い響きのフルート。フルートもクラリネットもフレーズの頭を遅らせて出ます。大きな表現はしないファゴット。少しセクシーさのあるテナーサックス。装飾音符を付けて表現するソプラノサックス。かなり大きな表現をするトロンボーンですが、あまりセクシーな表現ではありません。スネアは三連符の頭を少し強く叩いています。華やかな木管群。ちょっと間が持たない感じで、ダレているような感じがします。八分音符も強く演奏されないので、ソフトな表現で、緩い感じです。単純な旋律の繰り返しなので、ゆったりとしたテンポでも緊張感を保つのは難しいのか?

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ベルナルト・ハイティンク/ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団

★★

弦のピチカートが強くてスネアはあまり聞こえません。あまり響きの無いフルート。ストレートな表現でセクシーでは無いファゴット。テナーサックスもあまり響きが無く、装飾音符を伴った演奏をしますが、セクシーではありません。絞り出すような響きのソプラノサックス。ピッコロ・ホルン・チェレスタは柔らかい響きです。木管群は渋い響きです。ビブラートを掛けたトロンボーンですが、グリッサンドを強調していて、セクシーではありません。スネアきかなり緩くなって来ました。トランペットの八分音符が強く響きます。ピッコロトランペットがねっとりとした響きで響いて来ます。

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ダニエレ・ガッティ/フランス国立管弦楽団

★★

リムよりも少し内側を叩いていて、スネアの音が聞こえます。若干細目で暖かいフルート。フランスのクラリネットです。割とストレートなファゴット。Ebクラもファゴッット同様ストレートです。ミュートしたトランペットが奥から聞こえますが、それでもフルートよりも強いです。装飾音を含んだテナーサックスでしたがセクシーではありません。滑らかな表現のソプラノサックスもセクシーではありませんでした。フルート・ホルン・チェレスタはホルンが少し弱い感じでブレンドされた響きにはなりませんでした。細く締まったトロンボーンも全くセクシーな表現ではありません。木管群も華やかにはならずまろやかです。ヴァイオリンが入っても渋い響きです。スネアは少し緩い感じになって来ました。最後になってもマットな響きで、色彩感も表現も盛り上がりも今一つの演奏でした。

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グスターボ・ドゥダメル/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

★★

太鼓の音がするスネア。ゆったりとしたテンポです。陰影のある秘めた響きのクラリネット。ストレートな表現のファゴット。ゆったりとしたテンポを持て余しているような感じが続きます。チェリビダッケの演奏では、こんな持て余しているような印象は無かったのですが、ちょっと密度が薄いかも知れません。細い響きのテナーサックス。装飾音符を含んで僅かにセクシーさのある演奏でした。ソプラノサックスも装飾音符を含んだ演奏ですが、セクシーではありません。ピッコロ・ホルン・チェレスタは盛大にならず、バランスも良いです。渋い響きの笛を含まない木管群。トロンボーンはセクシーでした。笛を含んだ木管群はそんなに華やかにはなりませんでした。第一ヴァイオリンが入ると少し涼やかになりますが、あまり色彩感は濃厚ではありません。二台のスネアが微妙にズレて、リズムが緩く感じます。コーダで六連符を少し遅くするところもありました。とても長い演奏に感じました。

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レナード・バーンスタイン/ニューヨーク・フィルハーモニー管弦楽団

★★

かなり緩いスネア。速めのテンポで、細いフルート。少しもたつくようなファゴットですが、表現は豊かです。金属的なEbクラ。アメリカ的なテナーサックスですが、控えめで響きを伴っています。ソプラノサックスは装飾音も伴った演奏です。ピッコロ・ホルン・チェレスタはかなり盛大です。ミュートしたトランペットの八分音符が強く響きます。トロンボーンも積極的ですが、表現が強くてセクシーではありません。スネアが緩緩になって来ました。第一ヴァイオリンが入ると少し金属的な響きになります。トランペットの八分音符は強いです。最後のAのトランペットも凄く強いです。スネアはもうダラダラの響きです。最後のBはもう混濁しているような埃っぽい響きになってしまいます。若い頃のバーンスタイン/ニューヨークpo独特の勢いに任せた乱暴な演奏に感じました。

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ユージン・オーマンディー/フィラデルフィア管弦楽団

★★

リム付近よりも内側を叩いているようなスネア。笛の音がするフルート。独特な表現です。陰影のあるクラリネット。テンポを揺らして表現します。ファゴットも豊かな表現です。あまり美しさを感じないEbクラ。フルートよりもミュートしたトランペットが強いです。アメリカ的なテナーサックス。トランペットが刻むリズムが強く響きます。ピッコロ・ホルン・チェレスタはかなり盛大です。続く木管群の方が音量が下がります。トロンボーンの前にスネアが一旦音量を落とします。トロンボーンはちょっと極端な表現で少し滑稽にも聞こえます。第一ヴァイオリンが入る前にまたスネアが音量を一段上げました。何故ストレートにクレッシェンドしないんでしょう。Aの旋律はオーマンディ独特の歌いまわしがあります。二台のスネアがズレてリズムが甘くなる部分もありした。最後はミキシングで音量を落とされたような不自然さを感じました。ちょっと不自然な演奏でした。

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ディーマ・スロボデニューク/ガリシア交響楽団

★★

深い胴で緩めのスネアです。途中スタッカートぎみに演奏するフルートとクラリネット。ファゴットの前でハープがはっきりと入ります。表現はしますがセクシーでは無いファゴット。Ebクラもストレートな表現です。装飾音符を加えて演奏するテナーサックス。大きい表現でセクシーなソプラノサックス。大きい表現ですが、脱力したようなセクシーさはありません。ヴァイオリンが強く清涼感のある響きです。2台目のスネアはかなり強く入りました。軍隊が進軍するようなスネアです。最後も大きな盛り上がりはありませんでしたが、優雅さやセクシーさはあまり無く、軍隊のように突き進むスネアが作品とは合わない感じがしました。

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ジャン・フルネ/チェコ・フィルハーモニー管弦楽団

フルネ

★★

深い胴でチューニングも緩めのスネア。途中スタッカートで演奏するフルート。セクシーさは全く無いファゴット。少しセクシーなEbクラ。ミュートしたトランペットとフルートはブレンドされず分離しているような感じです。セクシーな表現はしようとしているテナーサックス。あまりセクシーには感じないソプラノサックス。フルート・ホルン・チェレスタもブレンドされた響きではありません。真面目なトロンボーン。ゆったりとしたテンポを持て余しているような感じがします。アンサンブの精度のあまり高くは感じませんでした。

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ジャン・フルネ/NHK交響楽団

フルネ

★★

緩いスネア。途中でスタッカートの表現もあるAの旋律。セクシーさは無いファゴット。フルートを完全に上回って朗々と歌うミュートしたトランペット。テナーサックスはセクシーな表現をしようとしますが、イマイチでした。ソプラノサックスはまあまあの演奏。トロンボーンの前でもうすでに緩い響きになっているスネア。トロンボーンはかなり歌っていますが、いくつかやらかしてもいます。二台目のスネアが入ったのは分かりました。二台目にスネアを締めたチューニングにしてリズムをある程度はっきり出そうとしているような感じです。トランペットが刻む八分音符が上の音が聞こえません。そんなに大きく盛り上がることも無く程々の演奏と言った感じであまり印象に残りませんでした。

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レナード・スラットキン/リヨン国立管弦楽団

スラットキン

★★

弦のピチカートがボンと響きスネアの音があまり聞こえません。表現はしますが、セクシーでは無いファゴット。Ebクラもラクシーではありません。セクシーに表現しようとするテナーサックスですが、脱力するようなセクシーな表現にはなりませんでした。ピッコロ・ホルン・チェレスタはホルンが弱いです。木管群は華やかでは無くマットな響きです。表現は大きいですが、セクシーでは無いトロンボーン。ヴァイオリンが入ってもマットな響きで色彩感は乏しいです。スネアはあまり強くありませんが、かなり緩い響きになって来ました。ピッコロトランペットも響いて来ますが輝かしい響きでは無く最後を飾るような響きにはなりません。セシクーな表現も無く、色彩感も乏しい演奏であまり魅力を感じませんでした。

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コンスタンティン・シルヴェストリ/パリ音楽院管弦楽団

シルベストリ

いかにも古い録音で、鈍いスネアの響き。お風呂で聞くような太くたどたどしいフルート。フルートとミュートしたトランペットの部分で、弦のピィチカートが強く演奏されます。かなり強いソプラノサックス。自由に演奏させているのか、表現が統一されていないのか、かなりバラバラな表現のソロが続きます。二枚リードの木管とクラリネットでは音量が落ちます。かなり音程が怪しいトロンボーン。高音域の木管と第一ヴァイオリンのAでスネアがリズムを間違えます。三連符の頭を強めに演奏する独特のリズムです。最後はトロンボーンのグリッサンドが強烈でした。プロの演奏としてはかなりいい加減な演奏でした。

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ケント・ナガノ/ロシア・ナショナル交響楽団

二拍目の八分音符を強く叩く独特のリズムで、少し緩いスネア。ソプラノサックスまで、あまり大きな表現はありません。テナーサックスも表現はありますが、あまり大きな表現ではありません。詰まったような響きであまり伸びやかでは無いトロンボーン。表現はしますが、セクシーではありません。二拍目の後の八分音符が強いスネアがとても不自然です。あまり華やかにならない木管群。第一ヴァイオリンが入ってもマットです。最後のAで大きくクレッシェンド。ピッコロトランペットが突き抜けて来ます。最後のBはピッコロトランペットがかなり強いです。スネアのリズムが変でとても気になりました。色彩感も乏しくあまり楽しめませんでした。

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ネーメ・ヤルヴィ/デトロイト交響楽団

スネアの音が聞こえます。浅い響きのフルート。ファゴットも浅い響きで、ほとんど表現はありません。Ebクラも素っ気ない演奏です。オーボエダモーレは少しテヌート気味の表現です。フルートのミュートしたトランペットもテヌートした演奏です。色気のある音色のテナーサックスですが、表現はあまりセクシーではありません。ソプラノサックスもほとんど表現の無い素っ気ない演奏です。スネアは緩い感じになって来ました。木管群も華やかではありません。少しセクシーなトロンボーン。ヴァイオリンが入っても渋い響きです。楽器が重なっても色彩感はほとんど無くモノトーンのような演奏です。最後までスネアのリズムが強く、オーケストラは大きな盛り上がりもありませんでした。何をしたかったのかあまり分からない演奏でした。

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