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たいこ叩きのシューベルト 交響曲第8番「未完成」名盤試聴記
ニコラウス・アーノンクール/ウィーン交響楽団
★★★
一楽章、重い序奏。憂いを感じさせる第一主題。とてもリズム感の良い演奏です。サラッと流れる第二主題。ティンパニが入るあたりからホルンまでテンポを落としました。突然トロンボーンが飛び出してきてびっくりします。テンポはたまに動きますが、トロンボーンの音の頭にアクセントを入れたりするのが、通常の演奏とは違いますし、この作品のしっとりとした雰囲気とは合わないような感じがします。
二楽章、アーノンクールは新解釈をすることに必死なのか、普通では無いところにアクセントを入れたりしますがどこか不自然です。この作品から若々しい息吹きを感じさせることには成功しているとは思うのですが。
きっとスコアを研究した成果だったのでしょう。しかし、普段から聞きなれた演奏から抜け出せない凡人には何をやっているのか良く分かりません。とても若々しい演奏だったとは思うのですが・・・・・・。
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ハンス・クナッパーツブッシュ/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
★★
一楽章、深々とした冒頭。おもむろなテンポでの開始でした。厚い低音の上に軽く旋律が乗っかっているようなバランスで、堂々とした演奏です。
二楽章、
リッカルド・ムーティ/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
★★
一楽章、消え入るような序奏。滑らかで歌う第一主題。盛り上がりに合わせてテンポを速める部分もありました。
二楽章、あまり感情込めた演奏ではありません。また、緊張感などもほとんど感じられません。歌はありますが、ただ普通に演奏している感じがします。
特に目立った特徴も無く、普通の演奏と言う感じでした。
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クラウディオ・アバド/ルツェルン祝祭管弦楽団
★★
一楽章、芯があってゴロゴロと重い序奏。オーボエの方が強めの第一主題。とても響きのある第二主題。弦がレガートに演奏されて音楽が途切れることなく続いて行きます。強弱の変化はあまり大きくなく、平板な印象を受けます。わずかな間やさりげない歌など微妙な表現があります。
二楽章、特に美しい響きや深みのある表現があるわけでは無く、全体に緩い感じがします。
とても微妙な表現の多い演奏でしたが、深みのある表現や引き込まれるような美しさや静寂感は無く、緩い感じの演奏に聞こえてしまったのは残念です。
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小澤征爾/サイトウ・キネン・オーケストラ
★
一楽章、美しいし繊細な音楽です。ホルンのハーモニーも美しい、小沢の流麗な音楽が、この曲にはぴったりです。
少しテンポが動く部分もありますが、表現は奥ゆかしい。もう少し奥深さが欲しい気がするのですが、録音の問題なのか・・・・・。
演奏自体には過不足なく、不満と言うほどの不満はないのですが、この演奏を選ぶ理由も無いところが、残念なところです。
二楽章、模範演奏を聴いているような、何とも面白くない演奏で、私の心が騒ぐような部分が残念なことにありません。
小沢征爾/シカゴ交響楽団
★
一楽章、ゴツゴツと硬い序奏。浅い響きの第一主題。何とも深みや潤いの無い演奏です。
二楽章、歌ってはいるのだけれど、どこかよそよそしい感じで、あまり心に響きません。
あまりに潤いの無い音楽。カサカサとした肌触りはシューベルトの音楽とは相いれないもののように感じました。
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