ブルックナー 交響曲第9番

ブルックナーの交響曲第9番は、彼の最後の交響曲であり、未完のまま残された作品です。ブルックナーはこの曲を「愛する神への捧げもの」として構想しており、深い宗教的な感情と壮大なスケールを兼ね備えています。以下に、交響曲第9番の特徴を紹介します。

1. 未完の交響曲

  • ブルックナーはこの交響曲を4楽章構成で書く予定でしたが、最後の第4楽章を完成させることができませんでした。彼は第4楽章のスケッチを残していますが、亡くなるまでに完成には至らず、現在も第3楽章までが演奏されることが多いです。
  • 一部の音楽学者や作曲家によって第4楽章の補作が試みられており、補完された「全4楽章版」もいくつか存在しますが、最も一般的には第3楽章までが「ブルックナーの交響曲第9番」として知られています。

2. 楽章構成と内容

この交響曲は以下の3つの楽章で構成されており、それぞれが独特な性格と深みを持っています。

  • 第1楽章 (Feierlich, misterioso): 「荘厳に、神秘的に」と指示されたこの楽章は、ブルックナー独特の「呼吸するような」緩やかな進行が印象的です。広がりのある音楽が何度も盛り上がり、雄大なコラールのような部分が現れ、聴き手を神秘的な世界に引き込みます。ブルックナーの晩年の内面的な葛藤や宗教的な敬虔さが表れています。
  • 第2楽章 (Scherzo: Bewegt, lebhaft – Trio: Schnell): 荒々しく、時には不気味な印象さえ与えるスケルツォです。リズムの激しさと不協和音が印象的で、生命力に溢れつつも、不安や不安定さを感じさせる部分があります。中間部のトリオは速く、軽やかな要素も含まれており、第1楽章とは異なる動的なエネルギーを感じさせます。
  • 第3楽章 (Adagio: Langsam, feierlich): このアダージョ楽章は、ブルックナーの最高傑作の一つとされる、極めて深い宗教的感情が込められた音楽です。彼の最後の祈りとも言われるこの楽章は、壮大でありながらも切ない響きを持ち、特に弦楽器の美しさが際立ちます。楽章全体が静寂とともに消えゆくように終わり、未完のまま作品が閉じる形となっています。

3. 宗教的なテーマ

ブルックナーは敬虔なカトリック信者であり、この交響曲には神や死、そして来世への祈りが込められていると考えられています。「愛する神への捧げもの」として構想されていたことからも、彼にとってこの作品がいかに個人的かつ崇高な意義を持っていたかがうかがえます。特に第3楽章の深い静寂と崇高な響きは、彼の信仰心と魂の救済への願いを表しているとされています。

4. 音楽的な特徴

  • ブルックナーの交響曲第9番は、彼の他の作品と同様に重厚で荘厳な響きを持ちます。分厚いオーケストレーションと長いフレーズが特徴的で、特に金管楽器が重要な役割を果たします。
  • 音楽の構成が厳密でありながらも、各楽章に深い感情と精神性が宿っており、特に後半の静謐さと劇的なコントラストが印象的です。

5. まとめ

ブルックナーの交響曲第9番は、未完でありながらも、深遠な宗教的テーマと壮大な音響美が凝縮された作品です。ブルックナーの人生や信仰、そして死への覚悟が感じられ、彼の交響曲の中でも特に崇高な雰囲気を持つ作品として、多くの聴衆に愛され続けています。

4o

たいこ叩きのブルックナー 交響曲第9番名盤試聴記

オイゲン・ヨッフム/ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団

icon★★★★★
一楽章、ゆっくりとしたテンポで霧の中から次第にはっきりと姿を現す第一主題。ホルンに続いて登場する木管がスタッカートぎみに演奏します。頂点に入る前に少し間を置きました。見事に鳴り響く頂点。美しく歌われる第二主題。ライブ録音ですが、とても美しい音で録られています。物寂しいオーボエからホルンへとつながる第三主題。強力な金管!展開部の頂点でもすさまじい金管の咆哮でした。チェリビダッケが主席指揮者をしていた頃のミュンヘン・フィルなので、とても美しい音色で音楽を奏でます。強奏でもとても美しいです。

二楽章、鮮明な木管と弦のピチカート。暴力的なトゥッティではトロンボーンが音をテヌートぎみに演奏しました。すごく鮮度の高い音で襲い掛かってくるような強奏です。生き生きとして生命感を感じるトリオの演奏。瑞々しい美しい音です。すごい咆哮に圧倒されます。ものすごい音の洪水に引き込まれます。

三楽章、神の世界へ上り詰めるような上昇音階。最初の頂点ではトランペットが長い音をクレッシェンドして壮絶な頂点です。登場してくる全てのパートが極上の音で出てきます。ライブとは思えない美しさです。ヨッフムは音楽を刻み込むように克明に描いて行きます。壮絶、狂気のような咆哮のクライマックスでした。穏やかに天に召されて行くような最後でした。

ヨッフム渾身の演奏でした。すばらしい克明な表現でした。

カルロ・マリア・ジュリーニ/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

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一楽章、ゆったりと、非常にゆったりとしたテンポで深みのある音色がとても作品に合ってるようです。
歌が素晴らしい!抑揚や微妙な間がとても良いです。遅いテンポでたっぷりと歌われる音楽にはこの世のものとは思えないような美しさがあります。
響きに奥行き感があって、音楽が軽薄にならないので良いです。
トゥッティではカラヤンの演奏のような豊麗さはありませんが、オケが一体になった強固な響きがあり共感の強さが伺えます。特に低音域の厚みは素晴らしく、オケ全体をしっかり支えていて響きに抜群の安定感を与えています。
カラヤン/ベルリンpoの演奏では響きが左右いっぱいに広がる豊かさが魅力でしたが、ジュリーニの演奏では、音が中心に集まって強いエネルギーを持って迫ってきます。
弱音部でも、豊かさよりも簡素な素朴さが表現されています。

二楽章、音楽が間延びしないような適度なテンポ設定です。個々の楽器が適度に分離していて、それぞれの楽器の動きが分かりやすい録音です。
もう少し豊かな響きがあったらさらに良かったような気がします。

三楽章、木管やホルンの旋律が際立って美しい!すごくゆったりとしたテンポで噛みしめるような音楽の運びがとても良いです。
ffでのトランペットとホルンの受け渡しも絶妙で素晴らしい演奏です。ジュリーニの音楽にオケが共感している様が分かる集中力の高い演奏です。

音楽が激しいうなりとなって押し寄せてくる部分は素晴らしい!
美しい終わりでした。

レナード・バーンスタイン/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

icon★★★★★
一楽章、暗く重い冒頭部分です。同じウィーンpoの演奏でもジュリーニの演奏よりも骨太でがっちりしています。
対旋律を強調する傾向の演奏です。一音一音に作品に対する共感が強く伝わってきます。
しなやかで美しい演奏とは違い、男性的で筋肉質な演奏です。

二楽章、この楽章も重く暗いトーンで開始しました。ゆっくりとしたテンポ。バチーンと決まるティパニ!すごい演奏です。

三楽章、感情がこもった歌です。切々と語りかけるような歌に満ちています。突然のffも激しい。音楽の高揚感と静寂感の対比もすばらしい。

次第に巨大な音楽になってきた。トゥッティの巨大さは正に神や宇宙を連想させるものでした。

ギュンター・ヴァント/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

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一楽章、遅いテンポでたっぷりとした演奏です。ホルンの主題に続く弦の旋律がスタッカートで演奏されました。分厚い低音の支えられた安定感のある音楽が展開されます。聴いたことのないホルンが聞こえたりもします。ヴァントの演奏は4番の時にも感じたのですが、音楽の情報量が非常に多いと思います。普段聞こえない音が随所に聞こえてきます。また、この情報量の多さが巨大なブルックナー像を形成することに繋がっています。P方向を抑えずにffを伸び伸びと響かせる演奏で、ppでも音楽が瑞々しく生き生きとしていますし、ffの伸び伸びと響き渡る金管にも感動します。

二楽章、ピチカートの音の一つ一つが立っています。流れがとても良い演奏です。一つ一つのフレーズに濃厚な表現付けをすることはありませんが、全体をしっかりと捉えて音楽を構築しているような感じがします。この楽章でも今まで聴いたことのない音が聞こえます。

三楽章、トゥッティでベルリンpoのすばらしい音の洪水に見舞われます。とても線の太い演奏です。男性的で筋骨隆々な演奏を聴いている感じがします。最後は神の元へといざなわれていく。

朝比奈 隆/NHK交響楽団

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一楽章、非常にゆったりとしたテンポで神秘的な冒頭。巨大なスケールの頂点を築きました。柔らかく包み込むような第二主題。第三主題も一音一音確かめるような確実な足取り。凄いオケの鳴りっぷりと言い、遅いテンポの巨大なスケール感がすばらしい演奏でした。

二楽章、一楽章とは打って変わって軽快なテンポです。朝比奈の演奏なので、極端な表現はありませんが、自信に満ちた堂々とした演奏です。オケも日本のオケだとは思えないほど豪快に鳴り響きます。

三楽章、すごく感情の込められた冒頭。すばらしい頂点のスケール感。基本的にインテンポでがっちりとした堅固な安定感があります。オケのアンサンブルも見事で、木管の一体感などもすばらしい。クライマックスへ向けて登りつめる切迫感も見事です。コーダの天に昇るような穏やかさ。

この日の朝比奈とN響は異次元の世界にいたのではないかと思うようなすばらしい演奏でした。

セルジウ・チェリビダッケ/ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団

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一楽章、チェリビダッケ入場の拍手から始まりました。原始霧の中からボヤーッと浮かび上がる第一主題。ゆっくりとしたテンポで整然とした圧倒的な頂点を築きます。弦のピチカートも凄い精度でくっきりとしています。第二主題も非常にゆっくりと安らぎを感じさせます。押しては返す波のように次から次へと歌が押し寄せてきます。こんなに密度の高い演奏は初めてです。第三主題も非常に遅いですが濃密で弛緩した感じは一切ありません。展開部も遅いですが、見事に統率されたオケの響きの充実がすばらしい。再現部では、童話を子供に読み聞かせるような一音一音に魂が込められたような演奏です。最後も見事でした。

二楽章、通常のテンポからすると、もの凄く遅い演奏です。この遅いテンポと見事なアンサンブルでスコアの奥底まで見えるような感じさえします。聞き進むうちに、この遅いテンポにも違和感を感じなくなり、一般的なテンポの演奏を聴くとせわしなく感じるかもしれないなと思ったりします。

三楽章、ゆったりと壮大な頂点です。ワーグナーチューバがはっきりとコラールを歌います。大河の流れのよう豊かな第二主題。トゥッティでも余力を残した透明感の高い美しい響きです。チェリビダッケに鍛えられたミュンヘンpoはとても精緻で美しく、指揮者の意図を見事に音楽にして行きます。テンポは非常に遅いもののアゴーギクを効かせたりデフォルメも感じさせず、作品自体に語らせるような演奏です。壮絶ですが、美しいクライマックス。正に天に昇るようなコーダでした。

非常に遅いテンポの演奏でしたが、十分に納得させられる一音一音の密度の高い名演でした。

ベルナルト・ハイティンク/シカゴ交響楽団 2009年

ハイティンク★★★★★
一楽章、非常にゆったりとしたテンポで神の言葉を伝えるような第一主題。続く弦は少し音を短めに演奏します。十分余裕を持ったトゥッティ。とても優しい第二主題。2010年のバイエルン放送交響楽団とのライヴよりも感情が込められているようで振幅も大きいですしたっぷりと歌います。展開部の頂点もかなり余裕を残していますので、演奏は常に美しいです。再現部では第二主題が祈るように演奏されます。充実した分厚い響きがブルックナーらしく響きます。コーダは壮麗な響きで終わりました。

二楽章、暴力的と言うよりも軽く美しくトランペットやトロンボーンが鳴り響くトゥッティ。トリオは速いテンポですが、良く歌います。ハイティンクのいつもの演奏の通り、非常に引き締まった表情で、決して弛緩しません。

三楽章、トゥッティでも絶叫することは無く、雄大です。神が降臨するようなワーグナーチューバのコラール。穏やかですが、伸びやかな第二主題。広大な展開部。不協和音の音がぶつかる感じがとても良く伝わって来ます。地獄を見るような強烈なクライマックス。コーダに入って、天上界へいざなわれて行くような音楽です。ワーグナーチューバも静かに消えて行くような最後でした。

非常に美しく、雄大なスケールの演奏でした。絶叫しないところがかえってスケールを大きく感じさせるような感じで素晴らしい演奏だったと思います。
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ダニエル・バレンボイム/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

バレンボイム★★★★★
一楽章、ゆったりとしたテンポで、濃い霧のなかから響いてくるような第一主題。主題を演奏するホルンのダイナミックの変化がすごく大きいです。強力に鳴り響く金管が素晴らしい。弦もとても美しい響きです。第三主題はとてもゆっくりと演奏しています。展開部は少しテンポが速いですが、音楽は前へ進もうとはしません。展開部の頂点でも見事に鳴り響く金管。再現部でも弦や木管が美しい。ベルリンpoが伸び伸びと自分達の音楽や響きを作り出しているような感じがします。とても大きな音楽です。コーダも明るく輝かしい金管の見事な響きでした。

二楽章、静寂感のある現のピッィカートと暴力的なトゥッティの対比もなかなかです。トゥッティは僅かにテヌートぎみに演奏しています。躍動的に歌う金管。トリオの繊細で静かな音楽、また、テンポも動いています。

三楽章、美しい弦がうねるようです。雄大で余裕のある頂点。豊かな響きのワーグナーチューバ。繊細な第二主題。繊細さと雄大さが両立する演奏はなかなか良いです。展開部に入って、強奏部分はさらに力強くなりました。壮絶なクライマックス。音楽の振幅が非常に大きくて、ベルリンpoの能力をフルに引き出したような演奏です。コーダは優しく繊細に天に招かれるような演奏です。最後のホルンも感動的でした。

音楽の振幅が非常に大きく、繊細さと雄大さが混在した演奏は大変魅力的でした。素晴らしい演奏でした。
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ヘルベルト・フォン・カラヤン/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 1978年ライヴ

カラヤン★★★★★
一楽章、遠く深いところから響く第一主題。圧倒的な頂点です。強弱の振幅もすごく大きいです。ゆったりと美しく歌う第二主題。川の流れのように途切れることなく次々と現れる音楽がとても豊かです。滑らかで美しい第三主題。展開部でトランペットが突き抜ける力強いトゥッティ。頂点はかなりテンポを速めました。再現部もカラヤンらしく洗練された美しい演奏です。不協和なクライマックスも豊麗でした。コーダも豊かな響きでした。

二楽章、吐息のような木管。くっきりと刻まれる弦のピツィカート。分厚い響きでかなり激しいトゥッティ。軽々と鳴り響く金管が気持ち良いです。強弱の振幅もかなり広いです。颯爽とリズミカルに流れていくトリオ。スタジオ録音のように表面をきっちりと整えた演奏とは違い、勢いに任せてかなり豪快に演奏しています。

三楽章、速いテンポですが、金管が遠慮なく入ってきて深みと生命感に溢れた演奏です。壮大な頂点でスケールが大きいです。マットな響きのワーグナーチューバの祈るような演奏。第二主題も広大な雰囲気です。木目の細かい弦が美しい。展開部に入っても思い切りの良い金管。弦楽器の絡みも生き生きとしています。ffの後の静寂感。非常に美しい弦の響き。凄い緊張感と切迫感。地の底から叫ぶようなクライマックス。コーダの終結部では、速めのテンポであっさりと曲を閉じました。

ウィーンpoの能力を最大限に引き出して、ライヴならではの豪快な演奏でした。カラヤンのライヴはスタジオ録音のような表面ばかりを整えた演奏とは違い、かなり感情の吐露があって素晴らしいです。
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サー・レジナルド・グッドオール/BBC交響楽団

グッドオール★★★★★

一楽章、合唱のように聞こえる弦のトレモロ。薄くモヤのかかっているようなホルンの主題。8番同様ゆったりとしたテンポです。ほの暗い雰囲気で、絶叫までには至らないホルン。続く弦は微妙なテンポの動きがあって夢見心地です。ノイジーな録音ですが、一音一音丁寧な演奏です。金管は奥まっていますが、塊となったエネルギー感が凄いですがそれでも余力を残している感じがします。一音一音刻み付けるような弦のピチィカート。優しくうっとりするような第二主題。テンポの動きは絶妙です。切々と訴えかけて来る演奏で涙が出そうです。とても静かな第三主題。ホルンも遠い。ブルックナーらしい常に霧に覆われているような雰囲気があります。不穏な空気になる展開部。再現部のクライマックスもトランペットが奥から強烈な響きが聞こえますが全体としては余力のある演奏です。クライマックスでは壮絶な響きです。コーダのタメも素晴らしい。決して全開までオケを追い詰めませんが、壮絶な響きも凄いです。

二楽章、打って変わって速めのテンポですが一音一音克明で魂がこもっているような演奏です。暴力的になりがちな金管は制御されて落ち着いています。アンサンブルの精度も高く精緻な演奏です。軽く、快活にを忠実に演奏しています。

三楽章、録音が悪いのでトランペットが輝かしく響きません。鳥肌が立つような非常にスケールの大きな広大な頂点です。微妙なテンポの動きで演奏される第二主題部。不協和音の強奏の合間に演奏される優しい木管も見事。展開部でも微妙なテンポの動きと、堂々とした表現もさすがです。クライマックスへ登り詰めるガラガラと不協和音を伴いながらの演奏もなかなかでした。クライマックスの地獄から響くような低音域の塊のような響き。それでもかなり余裕を残している。最後は穏やかに光芒に乗って雲の上へ登って行くような演奏でした。

録音が悪いのはとても残念ですが、堂々としたスケールの大きい演奏はさすがでした。これだけの演奏をしていた指揮者がほとんど脚光を浴びず不遇な時代が長かったのは不幸なことです。もっと多くの録音を残して欲しかったと思います。

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巨匠たちが残したクラシックの名盤を試聴したレビュー ・ブルックナー:交響曲第9番の名盤を試聴したレビュー

投稿者: koji shimizu

「ブルックナー 交響曲第9番」に4件のコメントがあります
  1. このまま忘れ去られるであろう「ブルックナー指揮者としてのグッドール」を正当に高評価なさっていてさすがと思いました。是非、残りのBBC響74年の9番も取り上げて下さい!音質の問題から敢えて外されたのかも知れませんが、やっぱり物凄いです。私のお気に入りです。たいこ叩きさんがお書きになれば、グッドールの知られざる真価を多くの方に認知して頂けると思います。よろしくお願いします。
    https://www.youtube.com/watch?v=aLcJJz_bkEI&t=1657s

  2. さすらい人様
    コメントありがとうございます。
    グッドオールはブルックナーの8番を聞くまでは、全く知らない指揮者だったのですが、余裕たっぷりでスケールの大きい演奏に感動いたしました。
    9番の音源があることも知りませんでした。
    是非、試聴してみたいと思います。
    ありがとうございました。

    1. グッドールの9番を早速取り上げて頂きありがとうございます。感謝の言葉が見つからないほど嬉しく思っております。拝読致しました。感無量です。私などの理解では絶対書けない。最初から最後まで共感しかありません。お忙しいところ、ブルックナーを聴く気分でおられないかも知れないのに、無理強いをしてしまったのではないかと大変恐縮しております。
      私は普段専ら歌手メインのワグネリアンで、グッドールの楽劇録音は愛聴していたのですが、20年くらい前にBBCレジェンドのCD群がリリースされたときも気にせず、不覚にも彼のブルックナーはずっとノーマークでした。チェリ、ヴァント、朝比奈らのライヴに親しんで名盤漁りに精を出した世代ではありますが、よもやグッドールなんか(失礼!)に四半世紀ぶりに私のブルックネリアン熱が呼び覚まされるとは思いも寄りませんでした。彼の録音を聴いてると、やっぱりワーグナー指揮者としての彼の歌心の資質が、同じくワグネリアンだったブルックナーに共鳴してるのを強く感じます。「雄大な流れの中で自然にドラマティックに歌わせる、なだらかなフレージング」に精通してる人ならではで、ショルティとかへのアンチテーゼですね。《パルジファル》等と同様、グッドールは極端にテンポを落としても呼吸感が澱まず歌もドラマの緊張も決して途切れない。だから切々と胸に迫ってくるし何より崇高で甘く美しい。壮絶ではあっても絶叫せず、存在しないはずの歌手にオケが寄り添うというスタンスで、そこが謙虚さを感じさせる所以なのかな、と思ったりもします。オペラリスナー視点では、グッドールはその点でチェリ辺りより本質的にブルックナーに向いてる気がします。彼には不本意でしょうが、むしろ《指環》よりこっちの方が向いてると言っていいほどです。多分ワーグナーをなかなか振らせて貰えないイライラを募らせながら、余技みたいな感じで交響曲を振っただけなのに、本職のブルックナー指揮者たちをときに凌駕しちゃってるのが「聖なる愚者」グッドールらしくもあります。もっとバランスよくオケ指揮者の仕事も引き受ければ良かったのに…。
      長々と拙文を失礼致しました。アップして頂いた明晰な筆致の詳細な分析を参考にさせて頂きながら、改めてグッドールの7,8,9と、もう一段理解を深めながら聴き返してみたいと思います。多くを学ばせて頂き本当にありがとうございました。これからも素晴らしい文章を楽しみに訪問させて頂きます。

      1. ご丁寧な返信ありがとうございました。
        私も初めてグッドオールのブル8の演奏を聴いて、とんでもない指揮者を聞いていなかったと震える思いを感じました。テンポの絶妙な動きと、余裕のあるフォルテシモの堂々とした風格とスケール感は、これまでどの指揮者にも感じなかった感動でした。
        本当にもっと多くの録音を残していてくれればと思います。
        YouTubeをご紹介いただいて、また新たな名演に出会うことができました。
        ありがとうございました。

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